ご覧の皆様もご存知のように、平成29年7月に福岡県を中心に発生しました「九州北部豪雨」におきまして、日田彦山線の添田~夜明間では大変大きな被害を受けまして、上の画像にあります列車の運行もこの災害を境に見られなくなった事は記憶にある方もいらっしゃるのではないかと思います。
この区間では、これまでも豪雨による被害が特に見られる区間でもありまして、この災害の前にも何度か被害が見られておりましたが、2週間前後で運行再開に至っておりました。
けれども、ご紹介しております平成29年の「九州北部豪雨」におきまして、再びこの区間が寸断されておりまして、この時の場合には被害箇所が非常に多く、特に画像の筑前岩屋駅に関しましては、ホームを含めまして周囲も崩れている所もありまして、数年間は手付かずのままで至っておりました。
その後、JR側が鉄道での復旧を断念させた上で、かねてから代替案として入っておりましたバス高速輸送システムであります「BRT」に移行させる事になりまして、その区間に日田彦山線の一部区間も使用する事で周辺自治体が了承、そして令和2年に最後まで鉄道復旧を求めてきておりました福岡県東峰村の村長が鉄道での復旧を断念する伝えを福岡県知事に伝えた事で、「BRT」での代替へと進む事にもなりました。
それ以降は、現在まで彦山~宝珠山間の線路跡をバス専用道路に移行する工事が行われまして、画像の宝珠山橋梁(全長79.9メートル)含め複数ありますアーチ橋も、列車ではなくバスが通るように整備が行われまして、この区間も「日田彦山線BRTひこぼしライン」と呼ばれる愛称の区間となる事になっております。
そして、この路線では使用車両に画像の電気バスや、ディーゼルエンジンでありますいすゞエルガミオがこの区間で使用される事になっておりまして、JR九州バスや委託事業者として日田バスも運行に関わるようにもなっております。
そして、この運行が8月28日からとなっておりますが、それに伴いまして8月27日に運行を終了しますのが複数の事業者によりまして運行されております日田彦山線代行バスであります。私も、この8月に乗り納めを行いましたが、今回と次回ではその乗り納めの模様を皆様にご紹介しますが、今回は(博多駅→)鳥栖駅→夜明駅までの模様をご紹介してまいります。
日田彦山線代行バスは、西鉄グループ(日田バス・西鉄バス久留米(現在は終了))をはじめ、田川地区の田川構内タクシーなどによりまして運行されておりました。
(西鉄グループ(西鉄バス久留米)、2260・いすゞPA-LR234J1改)~現在は日田バスに移籍
(田川構内タクシー、筑豊300あ・・41、トヨタハイエース)
そして、添田~日田間の全区間にわたりまして運行されておりましたのが、大分県日田市にあります藤山観光バスでありまして、画像の日野リエッセや日野ポンチョなどの中型・小型車両が使用されております。
(大分200い22-62、KK-RX4JFEA)
(大分230あ22-65、形式不明)
尚、上の画像の大分230あ22-65は、6月に秋田県の事業者に移籍しておりまして、既に藤山観光バスから姿を消しております。正直、もうこのような動きを見せている訳でもありますので、今後運行を終了する事になりますと、このような姿がさらに既存車両の間で見られるようになるのか気になる所でもあります。
さて、ここからは乗り納めに至るまでの模様をご紹介してまいります。今回の行程は、博多→鳥栖→久留米→夜明→(代行バス)→添田→小倉と言う行程でありまして、この時はICカードを通しての利用でありました。
ちなみに、ICカードと述べましたが、ICカード「SUGOCA」では運賃計算の特例と言うものがありまして、今回の行程上の「SUGOCA」区間の久大線久留米地区末端であります善導寺駅から、日豊線の城野駅までの区間は、「運賃計算の特例」区間となっておりまして、途中下車しなければ通過可能の区間として利用する事が可能となっておりまして、今回もこれだけ回りましても博多→小倉間は1310円で利用できております。
(JR九州「SUGOCA」HPより)
しかし、28日からの「BRT」化ではこのような特例はなくなるようでありまして、鉄道駅から「ひこぼしライン」の区間を経由しまして鉄道駅へ完結する事ができなくなるようであります。したがって、このような「SUGOCA」特例も8月27日までと言う事にもなるようであります。
ここからは、乗車の模様であります。博多駅から813系電車で運行の3229M→鳥栖駅から821系電車によります5357Mに乗りまして、久留米駅へやってまいりました。3229Mに関しましては40分かけてでしたが、5357Mはわずか8分の乗車でしたので、鳥栖駅から久大線直通もほとんどが特急列車である分、乗り換えが生じないといけないのは致し方ない所ではありましょうか。
久留米駅からは久大線に入ります。ここからは、キハ200系気動車によります(103番ユニットであります)1855Dに乗り換えまして、夜明駅へと向かいます。
久留米駅から約20分、久留米地区の「SUGOCA」の末端駅でもあります善導寺駅の隣の駅であります筑後草野駅へとやってまいりました。ここで特急「ゆふ4号」の通過待ち合わせのため、約4分停車する事になります。
今回の「ゆふ4号」は、キハ185系気動車5両編成による運行でありました。最近は、インバウンド需要も回復してきている事もありまして、所定の2両編成から3両・4両・5両と増結運行する姿が見られておりまして、所定では連結相手でもない中間車キハ186形も連結しての運行が見られております。
そんな今回の運行では、キハ185+キハ186+キハ185の3両から、キハ186・キハ185の間に2両編成のキハ185を組み込んだ形での運行となっておりまして、2号車と3号車の間、4号車と5号車の間には片運転室と言う形での運行となっております。この「ゆふ」では、これまでも片運転室が数両続いたという例も見られているだけに、正直そのような姿も見たかったなと思ったほどでした・・・。
こうして、久留米駅から約50分少々で夜明駅にやってまいりました。今回乗車列車では、途中駅で観光客がICカードを見せて、使えませんと運転士から言われまして、運賃を払われたと言った事がありました。そのため、数分遅れて運行されておりましたが、今回夜明駅では私が「代行バスに乗り換えます」と言いますと、運転士の方も了承しまして下車に至っておりました。
さて、今回下車しました夜明駅は、現在は2面2線の駅へと変貌しておりまして、久大線の駅としての姿を見せております。
しかし、以前日田彦山線が乗り入れていた頃は2面2線のホームとなっておりまして、その下の画像にもありますように線路もありまして、田川後藤寺・小倉方面への列車が運行されておりました。しかも、現在は線路も撤去されておりますし、柵も設けられてもいまして、面影も見られなくなっております。
(平成27年撮影)
ここからは、こ線橋から収めました現在と過去であります。先述のように、現在は3番ホームの線路が撤去された事もありまして、2面2線のホーム配置となっている事が両方向見ましてもお分かりいただけます。
(奥が久留米方)
(日田方)
一方、こちらは平成24年撮影画像であります。もちろんこの時には3番ホームも設けられておりましたし、かつ日田彦山線からの列車が運行されていた頃でもあります。
上の画像の現在の画像と見比べましても、日田彦山線が運行されなくなりましたので、その後線路がはぎとられてしまった事がお分かりただけるのではないかと思います。
この後、日田彦山線代行バスの乗り換え時間が約30分ほどありましたので、来るまでの間、この夜明駅駅舎内におきまして待つ事にしました。
この駅舎内では、「BRTひこぼしライン」の運行状況案内が置かれておりました。しかも、この時は試験案内が行われておりまして、時より「日田行きは大幅に遅れております」や「添田行きは大幅に遅れております」とも流れておりました。正直、このような試験案内を行う事は構いませんが、代行バスが遅れているのかな・・・?とも思うほどあるだけに、もう少し考えて放送してくれれば・・・と思ったほどでした。
この駅舎内には、様々な貼り紙が見られておりますが、こちらは行事報告や行事予定が書かれた学校通信であります。ここには、様々な行事の中に試乗会や開業日も見られておりまして、この学校自体も通学する方もいらっしゃるからこそである事が伺わせる部分ではないかと思います。
この後、日田駅からの久留米行き1862Dがやってまいりまして、数名乗車する姿が見られておりました。今回は、キハ200系運行されておりましたが、この時は佐世保車両センターからやってきておりました12番ユニットが入ってきておりました。ところで、この12番ユニットも、佐世保所属時代に貼り付けられました黄色いステッカーが目立っているのではないかと思います。
(黄色いステッカー)
(久留米行き発車)
この後、バス乗場へと向かいます。所でこの夜明駅はバリアフリーに特化したものはなく、階段の所にあります手すりがメインとなっております。私自身も、ひざの手術をやっていましたので、正直残念ながら1段ずつしか降りる事ができない階段を降りる時が大変ではありました・・・。
(階段下にある案内看板)
バスの時間が迫りましたので、バス乗場へとやってまいりました。「ひこぼしライン」に関しましたバス停も置かれておりましたが、今後使用される時の姿が待ち遠しくも感じさせられる所ではないかと思います。
そして、見にくいですが代行バスの時刻表であります。全区間(筑前岩屋通過も含みます)で運行されておりますのが4往復のみ、筑前岩屋発着が日田行き5本・筑前岩屋行き4本、添田発着が彦山行き9本・添田行き10本で運行運行されておりますが、災害以降支えていた路線でもありますので、このバスの貢献度も非常に高いと言えるのではないかと思います。
(添田→彦山→筑前岩屋→日田)
(日田→筑前岩屋→彦山→添田)
今回は、前編として夜明駅までの乗車の模様、そして夜明駅構内の現状をご紹介しましたが、夜明駅の線路が取られた姿を見ましても正直残念に思います。それほど長らく運行されてきました日田彦山線の鉄道としての終焉を迎えてしまった事に尽きるのではないかとは思いますが、代替交通機関「BRT」化を思いますと仕方のない所でもありましょうか。それにしても、細かい部分で「BRTひこぼしライン」の姿が見られている部分も、開業が近い事も伺える所ではないでしょうか。次回後編では、夜明駅から添田駅までの代行バスの乗車記、そして変化した添田駅の姿もご紹介しますので、次回後編もご覧いただきたいと思います。