NO.2797 正直残念です、北九州~別府・大分線「ゆのくに号」路線廃止へ、これまでの画像から | コウさんのコウ通大百科 PART3

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(平成24年1月〜平成30年3月の記事はPART2の内容です)

 

 令和4年2月から運休、そして4月には休止となっておりました、西鉄バス北九州の自社路線として存在しておりました北九州~別府・大分線「ゆのくに号」でありますが、このほど復活する事もなく運行終了(廃止)となる事が発表されました。

 

 この「ゆのくに号」に関しましては、令和4年の休止までは「新型コロナウイルス」によります需要減もありまして運休が続いておりまして、休止の発表もこの運休中に発表されたものでした。したがって、「運休」と言うトンネルに入りまして、その後「休止」と言う流れへと至りますが、結局トンネルを抜ける事もなく終了へと至ってしまう事は正直残念に思います。

 

 私自身も、運行開始時よりこの路線の話題を動きがあるたびに話題をご紹介しておりましたが、休止発表の際は正直驚きましたし、その後復活に至らなかった事は残念にならない所ではなかったかなと思っております。それほどこの「コロナ禍」と言うのがより追い討ちをかけていたのかなとも思う所でもあります・・・。

 

 

 さて、今回はその「ゆのくに号」(←愛称なし)の運行開始時から現在までの動きに関しまして、過去画像を使いまして皆様にご紹介してまいります。

 

 

 この「ゆのくに号」の前身は東九州自動車道が開通する以前の平成22年~平成23年に西鉄バス北九州・亀の井バス・大分交通によりまして一度運行されておりました「愛称なし」「北九州~別府・大分線」でありましたが、この当時は東九州自動車道がまだ部分開通時でありまして、運行区間もほとんどが下道区間が中心であった事から所要時間も長くかかっていた路線でありました。

 

 そして、平成27年3月に東九州自動車道の椎田南~豊前間を除く区間が開通した事に伴いまして、西鉄バス北九州・大分交通・大分バス・亀の井バスによりまして運行を開始(再開)しまして、当初は再び「愛称なし」「北九州~別府・大分線」と称されておりまして、9往復が設定されました。

 

 (7611・日野LKG-RU1ESBA)~愛称なしのため、表示は「高速

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 運行開始当時の停車地は以下の通りです。先述のように椎田南インター~豊前インター間が開通しておりませんでしたので、この区間は国道10号線バイパスを経由する形で運行されておりました。


 砂津~小倉駅前~平和通~三萩野~[篠崎南ランプ]~(北九州都市高速道路)~[小倉東インター]~(九州自動車道)~[北九州ジャンクション]~行橋今川~(東九州自動車道~椎田道路)~[椎田南インター](国道10号線)[豊前インター]~(東九州自動車道~宇佐別府道路~大分自動車道(速見ジャンクション~))~[日出ジャンクション]~(大分自動車道)~高速別府湾APU~[別府インター]~鉄輪口~別府北浜~高崎山~大分トキハ・フォーラス前~大分新川

 

 

 同年9月には、一般公募によりまして「ゆのくに号」と愛称が付けられまして運行されるようになりました。この「ゆのくに号」の愛称は、現在運行されております、京都・大阪・神戸~別府・大分線「SORIN号」の前身でありまして、大分交通・亀の井バス・阪急バスで運行されておりました「ゆのくに号」の愛称を復活させたものでありました。

 

 

 北九州~別府・大分線→「ゆのくに号」の大分側事業者の各社主な使用車両です。当時は西日本車体(西工)S型架装車も他路線から転用の上で存在していた頃でもありまして、実際に使用される姿も見られておりました。

 

 (大分交通、大分200か・422、三菱BKG-MS96JP)~現在は大交北部バスに移籍、「ノースライナー」用

 

 (大分バス、42158・三菱KL-MS86MP)~現在は廃車

 

 (亀の井バス、大分200か・250、三菱KL-MS86MP)~現在は廃車

 

 

 一方、西鉄バス北九州の使用車両です。使用車両は愛称なしの時から日野セレガ(LKG-RU1ESBA)が使用されておりまして、福岡~熊本線「ひのくに号」からの転用車でもありましたので、4列シート・後部トイレ付となっておりました。

 

 (7610)~別府・大分行き

 

 (7611)~小倉行き

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 (7612)~別府・大分行き

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 また、同じく「ひのくに号」からの転用車としまして、西工E-III架装車(5982・日産デPKG-RA274RBN)も転用されておりまして、日野セレガとともに使用される姿が見られておりまして、こちらも4列シート・後部トイレ付きの装備となっておりました。

 

 

 そう言った形で「ゆのくに号」として運行されておりましたが、平成28年4月には、未開通区間でありました椎田南~豊前間の開通によりまして東九州自動車道が全線開通した事に伴いまして区間変更を行いまして、それによりまして以下のように北九州市内の競馬場・北九州市立大学前・中谷各バス停を経由する形で運行されるようになりました。

 砂津~小倉駅前~平和通~三萩野~競馬場前・北九州市立大学前~守恒駅~徳力公団前~中谷~[小倉南インター]~(九州自動車道)~[北九州ジャンクション]~行橋今川~(東九州自動車道~宇佐別府道路~大分自動車道(速見ジャンクション~))~[日出ジャンクション]~(大分自動車道)~高速別府湾APU~[別府インター]~鉄輪口~別府北浜~高崎山~大分トキハ・フォーラス前~大分新川

 

 

 しかし、軌道に乗っていたと思われていた「ゆのくに号」でありますが、その後西鉄バス北九州において画像のようなポスターが見られておりまして、これには「一生のお願いです」と書かれたポスターが見られておりました。
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 このポスターからわかりますのは、おそらくは「利用者が多くない事もありまして、一生のお願いだから「ゆのくに号」を利用してください!」という思いが書かれていたようでしたが、私自身にとりましても当時衝撃的なポスターではなかったかと思っております。それほど、運転士を含めこの「ゆのくに号」の運行に関わっている方々が上の画像のように出て来られておりましたので、よりそう思う所ではなかったでしょうか・・・。

 

 

 けれども、同年の12月24日「クリスマスイブ」にはノンストップ便(3往復、各停便は6往復)を新設しまして、その結果、北九州~大分の所要時間は2時間を切るようになりました。

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 このノンストップ便では、別府市内を経由せずに、ダイレクトに大分市内を結ぶ形で運行されておりまして、所要時間も上の画像のポスターにもありますように2時間を切る事になりまして、1時間56分で結んでおりましたので、約30分も時間が短縮されておりました。

 

 

 「ゆのくに号」ノンストップ便の停車地であります。この便では、新生北九州~大分線の運行区間でありました篠崎南ランプ~小倉東インターを再び通っておりまして、大分側も大分インターに近い椎迫バス停に停車するようになっておりましたので、そう言った所が大分市内へダイレクトに運行されるようになった証かなとも思ったほどでした。

 

 砂津~小倉駅バスセンター~平和通り~三萩野~[篠崎南ランプ]~(北九州都市高速道路)~[小倉東インター]~(九州自動車道)~[北九州ジャンクション]~(東九州自動車道~大分自動車道)~[大分インター]~椎迫~要町(大分駅前高速乗り場)~大分(トキハ・フォーラス前)~大分新川

 

 (大分トキハ前停留所にて、時刻表)
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 画像はノンストップ便の姿です。以下画像は西鉄バス北九州便(小倉行き)、その下の画像は大分バス便(大分行き、リアのみ)でありますが、大分行きに関しましては別府を経由しなくなっておりましたので、「大 分」と表示されている事がわかります。また、ノンストップ便でありますので、「ノンストップゆのくに」と表示されている事もわかるのではないかと思います。

 

 (西鉄バス北九州、小倉行き、7610)
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 (大分バス、大分行き、12768・KL-RU4FSEA)~現在は廃車 
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 (アップ)
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 尚、これまでの画像からもわかりますように、小倉行きの場合は、各停便・ノンストップ便とも青地の表示になっておりましたが、大分行きとなりますと、白地の行先となっておりまして、それぞれの行先によって色が違っておりました。

 

 

 ここまで経営努力も見られておりました「ゆのくに号」でありましたが、利用者の増加にはあまりつながっていなかったようでありまして、その結果平成30年4月のダイヤ改正に伴いまして、大分県内3事業者が撤退しまして、その結果西鉄バス北九州の単独運行になりまして、ノンストップ便が廃止、その結果運行本数も各停便のみ4往復に減便されました。

 

 (トキハ前停留所時刻表)

 

 ただ、この改正ではそれとともに北九州市内の停車地を追加、さらに行橋今川停車をこれまでの大分方面乗車のみ・北九州方面降車のみから両側から乗り降り可能に、また運賃を北九州・行橋今川~別府・大分間が1500円一律に固定、そしてこれまでの予約制から非予約制に変更されました。

 

 砂津~小倉駅前~平和通~三萩野~片野駅~北方駅~競馬場前・北九州市立大学前~守恒駅~徳力公団前駅~徳力嵐山口駅~中谷~[小倉南インター]~(九州自動車道)~[北九州ジャンクション]~行橋今川~(東九州自動車道~宇佐別府道路~大分自動車道(速見ジャンクション~))~[日出ジャンクション]~(大分自動車道)~高速別府湾APU~[別府インター]~鉄輪口~別府北浜~高崎山~大分トキハ・フォーラス前~大分新川

 

 

 そう言った事もありまして、利用者が大幅に増えるにも至っておりまして、同じく平成30年6月には北九州行きが亀の井バス鉄輪2番のりばに停車、8月からは東九州自動車道の高速バス停でありまして、休止状態でありました高速安心院バス停にも停車するようになっておりました。

 

 【平成30年8月~】

 砂津~小倉駅前~平和通~三萩野~片野駅~北方駅~競馬場前・北九州市立大学前~守恒駅~徳力公団前駅~徳力嵐山口駅~中谷~[小倉南インター]~(九州自動車道)~[北九州ジャンクション]~行橋今川~(東九州自動車道)~高速安心院~宇佐別府道路~大分自動車道(速見ジャンクション~))~[日出ジャンクション]~(大分自動車道)~高速別府湾APU~[別府インター]~鉄輪口(大分行き)・鉄輪2番のりば(小倉行き)~別府北浜~高崎山~大分トキハ・フォーラス前(平成31年4月~中央通り)~大分新川

 

 (高速安心院バス停)

 

 

 運賃値下げ後の車内です(平成30年8月改正後乗車時)。この時には相席利用者も見られまして、40名近い乗車があっておりましたし、多客時には続行便まで仕立てられるようになっておりまして、ここまでの経営努力が功を奏したような姿が見られておりまして、格安でもある分若年層を中心に別府温泉へ行く姿さえも見られておりました。しかも、この頃には各座席にコンセントも設置されるようにもなっておりまして、電源の心配もいらなくなっておりましたし、後にWi-Fiも設置されるようにもなりまして、インターネットも楽しむ事ができるようにもなっておりました。

 

 (7612)~この時乗車、「ゼンリン」ラッピング時

 

 ただ、それでも「ゆのくに号」は増便は行われませんでした。その背景には乗務員の人手不足もあったようでありまして、この4往復でもいっぱいではあったようであります。けれども、多くの利用者を得てはいましたので、正直しばらくは安心かなとも思っておりました。

 

 

 しかし、令和2年からの「新型コロナウイルス」によりまして、この路線は全便運休となる機会が見られるようになりました。その後運行再開へ至りましたが、令和3年に入りましてからは約9ヶ月間にわたりまして運休しておりました。そして運行再開へと至ったものの、10月の改正より本数が2往復に減便されまして、令和4年になりましてからも2月に入りましてから運休するに至っておりました。

 

 

 さらに、令和4年4月には運行休止が発表されます(画像は砂津バスセンターにて)。一時は軌道に乗っていたとされていたこの「ゆのくに号」も、「新型コロナウイルス」と言う見えない敵によりまして乗客を奪われて行ってしまった事は本当に残念ではなかったかと思います。ご紹介しましたように、これまでも経営努力が見られていただけに、ここに来て休止へと追い込まれてしまった事は正直残念かなと思ったほどでした・・・。

 

 

 そして、このほど正式に廃止が発表されました。以下画像のように3月31日で運行終了日と記されておりますが、残念ながら運行する事もなく運休のトンネルの中から出て行く事もできなくなっておりまして、そんな中での廃止発表へと至ってしまっております。

 

 尚、「ゆのくに号」専用車でありました4台は休止発表までの間に全車転属がなされておりまして、既に西鉄バス北九州所有車は見られなくなっております。このうち、7610~7612はいずれも福岡高速営業所に戻りまして「ひのくに号」に復帰しておりますし、5982に関しましては福岡高速営業所に戻ったものの、その後西鉄バス久留米御井町支社に転属、貸切登録されまして「ザ・レールキッチンチクゴ」のラッピングを施しまして運行されております。

 

 (7610)

 

 (7612)

 

 

 これによりまして、東九州自動車道を通る高速路線バスは、大分・別府からは、以下画像の延岡・宮崎方面の「パシフィックライナー」が令和2年に廃止、そして「ゆのくに号」も廃止となりますので、これで大分・別府から南北を結ぶ都市間が運行されなくなると言った事になりまして、この都市間の交通機関はJRが頼りと言う事にもなります。

 

 (亀の井バス、大分200か・248、三菱KL-MS86MP)

 

 (宮崎交通、宮崎200か・460、日野2TG-RU1ASDA)

 

 また、昨年秋には宮崎交通運行の西都~宮崎空港間を結びます路線が廃止されております。使用車両も古参車両も使用されていたのが特徴でもありましたが、そういった姿も見られなくなったのも残念でしょうか。本当に、東九州自動車道は片側1車線が多いとはいえれっきとした高速道路ではあるだけに、その都市間に高速路線バスが運行されなくなる事に関しましては正直残念としか言えようがないのではないかと思います。

 

 (宮崎22か・901、日野P-RU638BB)

 

 (宮崎22か・794、三菱P-MS725S)

 

 (宮崎空港~西都間のサボ)

 

 

 現在、東九州自動車道を通ります路線は、以下画像の西鉄バス北九州の「北九州空港エアポートバス」

 

 (1187・いすゞQTG-RU1ASCJ)

 

 (3286・三菱2TG-MS96GP)

 

 大分空港~臼杵~佐伯線「佐臼ライナー」が運行されておりまして、いずれも「空港バス」としての運行となっております。この他、宮崎交通の宮崎~高千穂線も存在しておりますが、こちらは現在運休となっている事から、運行されております路線ではこの2路線のみとなっております。

 

 (32111・いすゞPKG-RU1ESAJ)

 

 (12784・日野KL-RU4FSEA)

 

 

 今回は、運行廃止が決まりました「ゆのくに号」について、これまでの画像からご紹介しましたが、特に西鉄バス北九州の経営努力には自社路線でもある事から守って行こうとする姿が見られていたように思います。その結果、一度は満席になるほどまで回復してもいただけに、「新型コロナウイルス」の存在が正直もどかしい所ではありましょうか。もしもこう言った流行病がなければもしかしたら増便もあったのでは?とも思ってしまうだけに、運休→休止→廃止の流れは正直残念な所ではないでしょうか。とにかく、東九州自動車道路線も都市間もない分寂しくなりましたが、この路線の存在は忘れないでいただきたい所でもあります。

 

 (注)今回は、休止発表時の令和4年4月記事を再編集したうえでご紹介させていただいております。