NO.2732 かつては福岡市の中心部の北側まで運行されていた、「博多臨港線」廃線跡探訪(後編) | コウさんのコウ通大百科 PART3

コウさんのコウ通大百科 PART3

在住する九州を中心に、鉄道・バスを中心としました記事を毎日更新しております。
(平成24年1月〜平成30年3月の記事はPART2の内容です)

 
 かつて福岡市の中心部でもあります天神の北側も運行されておりました、JR貨物「博多臨港線」の廃線跡探訪の話題、前回の前編では旧福岡市場駅から現在の那珂川付近までの模様をご紹介しておりました。
 
 現在鹿児島線の貨物支線扱いとなっております「博多臨港線」は、千早操車場~福岡貨物ターミナル駅間2.2キロで存在しておりますが、かつてはその先の画像2にあります旧福岡市場駅と称します貨物駅までの約8キロも延びておりました。
 
 その間には、画像1にもあります旧福岡港駅が設けられておりまして、ここからさらにスイッチバックした形で須崎埠頭への貨物側線も設けられておりましたが、現在は面影はほとんど見られなくなってしまっております。それでも以下画像にあります温浴施設・立体駐車場はJR貨物直営となっておりまして、かつての名残はそう言った所で残されていると言ってもいいかとも思います。
 
 (温浴施設「天神湯の華」)
 
 (立体駐車場「エフパーキング北天神」)
 
 尚、「天神湯の華」は10月1日で閉店する事が決まっておりますし、周辺に存在しました「ざうお」やスポーツクラブ「NAS」は既に8月末までに閉店しております。これはJR貨物が示しました再開発に伴うものですが、再開発のテナントに再び温浴施設を設ける事を切に願いたい所ではあります。
 
 また、「博多臨港線」は、福岡都市高速道路天神北ランプから那の津口交差点の間にあります道路(「天神那の津線」)を横切っておりました。現在面影は見られませんが画像の乗用車・西鉄バスが通過している部分にかつては線路が存在しておりました。それにしても、この通りは非常に交通量が多いだけに、現在も「博多臨港線」があるならばどうなっていたのかとさえも思う所ではありましたでしょうか。
 
 そしてこの路線は「ボートレース福岡(福岡競艇場)」のそばも通っておりました。そんな以下画像の所には、平成元年に「アジア太平洋博覧会(よかトピア)」のタイアップ企画として臨時駅「福岡ボート前」と称します駅が設けられておりましたが、ここには8620形蒸気機関車58654号+12系客車の編成や、当時香椎線を運行しておりましたキハ58系気動車「アクアエクスプレス」も運行されておりました。
 
 (福岡ボート前駅があった所)
 
 
 ここまで、前編の模様を改めてご紹介しましたが、今回は後編として福岡貨物ターミナル駅までの廃線跡探訪を、前編に引き続き皆様にご紹介してまいります。
 
 

 線路は、那珂川の橋梁を渡りますと、画像の中央部を通っておりました。この先には、福岡国際センター・福岡サンパレス・福岡国際会議場と、福岡の主要公共施設が続いておりますが、福岡国際センターなら大相撲などのイベント、福岡サンパレスならコンサートなどのイベントがよく開催されている場所でもありますが、こんな場所を沿うかのように博多臨港線は存在しておりました。私も、今も存在していたならば、11月の大相撲九州場所時にかかりますのぼりとマッチして撮りたかった所でもあります。

 

 (国際センター方面を望みます(中央部に線路が存在しておりました))

 

 (福岡国際センター)

 

 (福岡サンパレス)

 

 (福岡国際会議場)

 

 こちらは国際センター前より緑地帯を収めた所ですが、この緑地帯部分に線路が存在しておりました。けれども、現在は片側2車線の道路が設けられてもいますので、そう言った面影も見られなくなっております。

 

 こちらは上の画像10との反対側であります、福岡国際会議場より旧福岡港方を撮影した画像でありますが、先述のように中央部に線路は存在しておりました。しかし、現在はそういった面影は全くなく、片側2車線の道路となっている事がお分かりいただけるのではないかと思います。

 

 
 こちらの画像は、上の画像の撮影場所と反対側にあたる部分であります。現在ここには新たに東側へ道路が開通しておりまして、この後「マリンメッセ福岡」・博多港国際ターミナルからの道路でもあります「マリン通り」と突き当たる事になります。
 
 
 そんな中で、ここは現在有料駐車場が設けられておりますが、かつてこの地は西鉄観光バス(旧九州観光バス)の車庫が設けられておりましたが、かつてこの敷地の一部に「博多臨港線」が通っておりました。
 
 平成23年撮影の西鉄観光バスの車庫です。前年平成22年に旧九州観光バスが西鉄観光バスを吸収合併しまして新たな西鉄観光バスとなっておりましたので、そう言った事から今川橋(西新の東側、現在のサンリアン・レガネットがある所)の西鉄観光バス車庫からやって来た車両もあったほどでした。もちろん、この地はかつて旧九州観光バスの車庫でもありましたので旧九州観光バスの塗装の車も見られておりました。
 
 尚、西鉄観光バスは、その後須崎埠頭に移っておりまして、旧九州観光バスの車庫でありましたこの地は上の画像にありますように道路化されております。
 
 
 そんな西鉄観光バスの敷地内に、画像のように「博多臨港線」が存在しておりました。ちょうどカーブもありまして、そう言った所がかつてを偲ばせる部分であったと言ってもいいかとも思います。
 

 そしてこちらが現在の同位置であります。この部分は隣接していたバルブ会社の敷地と化しております。それでも建物のくぼみ部分のそばを「博多臨港線」が存在していた訳ですので、その名残が見られている事はまだ良かったかなとも思う所でしょうか。

 

 こちらがバルブ会社の裏側の部分であります。線路は、ちょうど白い車が駐車している部分から、その下の画像の斜め向きに建てられておりますマンションの所へと通っておりました。

 

 

 さらに進みまして、そのマンションの道路に面した部分です。この道路は先述の「マリンメッセ福岡」・博多港国際ターミナルからの道路でもあります「マリン通り」にあたりますが、不自然に廃線跡の部分にあたります斜め向きにマンションが建てられている姿は、そのまま廃線部分をそっくりマンション化させてしまっている事を伺わせる姿であると言ってもいいかとも思います。

 

 

 上の画像の反対側であります、香椎方の撮影です。こちらはアスファルトで整備されている事がわかりますが、このような姿からも廃線跡としての姿が残されている事が伺えるのではないかと思います。
 
 
 その先の駐車場となっている部分からの撮影です。ちょうど以下画像の付近で中央埠頭への枝線(博多港駅構内扱い)が設けられておりまして、かつて埠頭内にありました倉庫へ線路が延びておりました。その下の画像が上の画像の反対方向へと通じる事にもなりますが、廃線跡としての姿が残されている分わかりやすくていいのではないでしょうか。
 
 (この付近で中央埠頭への枝線のポイントがありました)
 
 (旧福岡港方)
 
 
 その枝線は、画像中央の車の位置から右方向へ延びておりまして、先述のように倉庫がありました埠頭内へと続いておりました。しかし、今はそう言った面影も見られないほど整備されておりまして、枝線の線路跡は道路化もしくは「マリンメッセ福岡」の駐車場等に変化が生じております。
 
 (奥に「マリンメッセ福岡」)

 

 

 その先へ進みますと、御笠川にかかっておりました鉄橋が存在しておりまして、この先を行きますと東区へと進む事になります。現在この付近は福岡都市高速千鳥橋ジャンクションの部分にもなりますが、その下にも線路が存在してもいまして、その下の画像の部分まで橋梁が続いておりました。

 

 

 こちらが対岸部分になります。現在川沿いの廃線跡部分は駐車場となっておりまして、先の旧博多港駅方面へと続いております。この駐車場はマンション利用者向けの駐車場ではないかと思われますが、今の実情を考えますとこの整備は良かったかなとも思う所でしょうか。

 

 (旧福岡港方)~この先に橋梁がありました

 

 (香椎方)

 

 

 これら駐車場へと進みますと、旧博多港駅があった場所へとやってまいります。この旧博多港駅跡には以下画像の「ニトリ」、そして「ゆめタウン博多」と施設が設けられるに至っております。

 
 特に「ゆめタウン博多」に関しましては、画像のように縦長の店舗でもある事がお分かりいただけますが、実際旧博多港駅であった所をそっくり商業施設と化しております。尚、これら場所はいずれもJR貨物が所有している土地でありまして、そこにこうしたゆめタウンなどの建物が建設されるに至っております。
 
 (別の位置(東側)より撮影)
 
  そんな旧博多港駅には、実際側線が数本ありましたし、その側線沿いには倉庫も存在していたなど、国道3号線沿いであった割には寂しい印象も感じられるような場所でもありました。しかし、平成10年に駅廃止後に整備されまして、現在はこういった商業施設となりまして、かつての雰囲気とは一変しております。
 
 
 ちなみに、「ゆめタウン博多」向かいにあります「馬出緑地」がある部分も、かつては西日本鉄道(西鉄)の旧福岡市内線(←旧宮地岳線)の線路が設けられていた所でもありまして、現在の千鳥橋付近の「はま寿司」など料理店などがある部分(西鉄バス旧千代営業所←西鉄旧新博多駅)から線路が続いておりました。したがって、国道3号線を挟みまして、線路が両側見られていた事もわかるのではないかと思います。
 
 
 「ゆめタウン博多」から進みまして、上の画像の位置と逆の位置であります、香椎方の撮影です。ちょうどこの付近で東浜埠頭への引込み線が数本存在しておりました。しかし現在はそんな面影は見られず、その下の画像の手前側にはコンビニがありますし、さらには料理屋やマンションが建設されているなど、徐々に変化が生じてきております。
 
 (奥に「ゆめタウン博多」(←旧博多港駅))~コンビニは撮影場所の手前になります
 
 
 さらに進みますと、駐車場が香椎方にかけてまっすぐ延びておりますが、ここはJR貨物が管理・運営する駐車場となっておりまして、数十台は駐車する事が可能になっております。
 
 ちなみに、上の画像の現在の駐車場付近にあります昭和自動車(昭和バス)福岡営業所も、実は「博多臨港線」に面した所に設けられているのがわかります。もしも今も存在していたならば貨物列車とバスと一緒に撮影できていたのかもしれません・・・。
 
 
 その駐車場となっている所を過ぎますと、「福岡県神社庁」の敷地の所を「博多臨港線」は通る事になります。ちょうどこの奥は立ち入りはできませんでしたので、こうして撮影だけ行っておりますが、神社関係の施設のそばも通っていた事が見ていて伺えるのではないかと思います。
 
 
 国道3号線沿いの部分から「お潮井(箱崎)浜」方向への撮影です。この「お潮井浜」も、「博多祇園山笠」の行事の中にあります、「お潮井取り」で有名な場所でありますが、博多臨港線もこの「お潮井浜」の手前側であります、奥の緑がある部分に線路が延びていたのではないかと思われます。残念ながら立ち入りはできませんが、立ち入りができる時には廃線跡もぜひとも見ておきたいものであります。
 
 また、この奥には箱崎宮の本殿もあります。この箱崎地区では、現在鉄道はJRと地下鉄とがありますが、かつては先述のように西日本鉄道(西鉄)の路面電車とこの博多臨港線と存在していた訳ですので、この箱崎地区の鉄道の変化には驚かされるほどではないかと思います。
 
 尚、地元箱崎地区のシンボル的な存在でありました大鳥居は平成30年に解体されております。私自身も「放生会」などによく訪れておりますが、やはりシンボルが見られなくなったのは寂しい所でもありましょうか。
 
 (平成29年撮影)
イメージ 9
 
 
 こうして、福岡貨物ターミナル駅の南側にやってまいりました。こちらは、先述の箱崎宮付近ではある訳ですが、現在は塀を見る限りではそういった面影を見る事ができなくなっていますので、10数年の間にここまで生じた事が伺える所でもありましたでしょうか。
 
 その逆方向の撮影です。こちらでは駐車場となっておりますが、その奥には福岡貨物ターミナル駅が存在しております。実際この奥を見ますと、かつての線路もすでに剥ぎ取られておりまして、かつてのその先への姿もわからないほどになっておりました。
 
 (駐車場奥の線路が剥ぎ取られた姿)
 
 
 その線路は、さらに福岡貨物ターミナル駅構内へと進む事になりますが、手前(以下画像左、その下の画像は右)側の博多港方面の線路は車両留置線として存在しております。尚、それ以外の内側の線路は出発線になる所でもありまして、その出発線から各地へ向けて運行されております。
 
 (旧博多港方)
 
 (香椎方)

 
 
 前回・今回と2回に分けまして、かつて存在しました「博多臨港線」の廃線跡に関しましてご紹介しましたが、ご覧の皆様の中には正直こんな所に貨物線が存在していたのか!?と思われた方もいらっしゃったのではないかと思います。しかも、中心部天神の北側にも存在してもいた訳ですので、よりそう思う所ではなかったかと思いますし、貨物駅跡も商業施設などに変化している所もある訳ですので、尚の事そう言ったものが存在していたのかと思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。ご覧の皆様も、2回にわたりましたこの話題によりまして、貨物線が存在していた事を存じていただければと思っております。