NO.2713 JR西日本の新たな検測車の初めての撮影、DEC741系検測車、筑肥線検測リポート | コウさんのコウ通大百科 PART3

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(平成24年1月〜平成30年3月の記事はPART2の内容です)

 

 JR西日本に所有しまして、JR九州など他社に乗り入れている検測車両と言いますと、これまでは気動車でもありますキヤ141系検測車や、電車であります上の画像のクモヤ443系検測車が存在しておりまして、それぞれ活躍する姿が見られている事はご存知の方がいらっしゃるのではないかと思います。

 

 このうちクモヤ443系検測車は昭和50年に導入されていた車両でありましたが、令和3年に惜しまれつつ引退・廃車となっておりまして、485系電車をモデルにしたと言われておりますフロントスタイルも残念ながら姿を消しております。

 

 また、九州検測では直流電化区間であります筑肥線の西唐津・唐津~姪浜間の検測も行われておりまして、その際唐津線の区間では非電化区間でもありますので、以下画像のようにDE10形ディーゼル機関車に南福岡~西唐津間を牽引した形で運行されてもいまして、電化区間の飛地であるとともに直流電化区間でもありますので、このような姿が毎回見られてもいました。

 

 

 しかし、新たな車両の導入、そしてクモヤ443系検測車の引退に伴いまして、今後はそう言った姿が見られなくなってしまっております。そして、このほどその「新たな車両」が九州内の各電化路線の検測に来ておりましたが、7月23日の筑肥線検測時にその姿を収める事ができておりました。今回は、これまでの検測車とは異彩を放つ車両であります「新たな車両」に関しまして皆様にご紹介してまいります。

 

 

 その「新たな車両」とは、DEC741系検測車でありまして、JR西日本がクモヤ443系検測車に変わる新たな検測車として導入されておりまして、1編成2両が近畿車輛で製造されております。

 

 特徴としましては、従来からの架線検測装置に加えて電気設備撮像装置と電気設備測定装置、さらに地上に設置するAI画像解析装置を搭載しているそうでありますが、何と言いましてもクモヤ443系検測車が電車であったのに対しましてこちらは電気式気動車であるのが特徴であります。

 

 そのため、形式の「DEC741」の「」は電気式気動車、「」は事業用車、「」は設計順をそれぞれ表しておりまして、電化区間の検測も気動車で行う事もできる事から、この筑肥線のように直流電化区間、さらに長崎線のように交流電化区間、そして唐津線のように非電化区間でありましてもディーゼル機関車の付け替えもなしで行く事ができるのも特徴でもあります。

 

 

 さて、ここからは7月23日撮影時の模様をご紹介してまいります。今回は佐賀県唐津市の浜崎駅で撮影を行いましたが、この駅で数分停車を行う事になっておりましたので、そう言った事からここで収めるに至っておりました。

 

 

 12時30分頃、お目当てのDEC741系検測車が浜崎駅1番ホームへとやってまいりました。塗装も濃い青黄色のラインが入っておりまして、このような姿を見ますとかつて国鉄時代の検測車両を思い出させるような姿でもあります。

 

 (浜崎駅到着)

 

 

 このDEC741系検測車は、先に導入されまして現在は試験走行中のDEC700系気動車に次いでの電気式気動車でありまして、そのDEC700系気動車をベースにしております。車体には黄色のラインの中に青を表しますJR西日本の社章、そしてシンボルマークもありまして、マークからも電化区間でも検測できる車両である事を表しております。

 

 (JR西日本の社章)

 

 (シンボルマーク)

 

 (銘板)~ステッカー式

 

 

 配置は、これまでのクモヤ443系検測車、キヤ141系気動車と同様、吹田総合車両所京都支所所属でありまして、「近キト」がそれを表しております。また、定員も2名から3名と、検査にかかわる方もそう多くはない事がわかりますし、機器類が多く見られている事もわかるのではないかとも思います。

 

 

 さて、これからは車ごとにご紹介してまいります。まずは西唐津方にありましたDEC741-101からご紹介します。

 

 DEC741-101は、架線検測装置・電気設備測定装置を装備しておりまして、そう言った所から以下画像にもありますようにパンタグラフも装備しております。こういう所が気動車でありましても電化区間でも検測できるという大きな利点へとつながる部分ではないかとも思います。尚、架線検測装置はクモヤ443系検測車から移設したものでもありまして、既存車両で使用されていたものを受け継いでおります。

 

 こちらは台車でありますが、近畿車輛製のWTR253A(前位、後位はWTR253)であります。こちらは付随車でもありますので、軽量ボルスタレス台車でもありますこういった台車が使用されております。

 

 

 一方、こちらがDEC741-1であります。

 

 このDEC741-1には、電気設備測定装置に加えまして、電気設備撮像装置と呼ばれるものも装備されておりまして、それは後述であります。台車は、WDT71台車をはいておりまして、こちらの方が駆動台車と言う事にもなります。

 

 また、この台車にも何らかの機器の姿も見られております。恐らくは、線路設備診断システムに関わるものではないかと思われますが、こういったものが装備されますと検測車としての姿が見られている事が伺えるのではないかとも思います。

 

 尚、このDEC741系検測車には走行用エンジンおよび発電機は-1・-101の両方に搭載されておりまして、これで-1の前後台車を駆動する電力を発生させるようになっております。また、-1の車内には検測のための発電用エンジンも搭載されておりますので、この2両編成で3基のエンジンが搭載されているのも特徴でもあります。

 

 そして、DEC741-1の天井に装備されております多くのカメラであります。これが「電気設備撮像装置」と称するものでありますが、このカメラの多さには誰もが度肝を抜かれたのではないかとは思いますが、私自身も最初見た際には「そんなにいるの?」と大変驚いた事を覚えております。それほどこの検測に対しましていくつものデータを集めるためにもこのカメラは必要でもある事がわかるのではないかとも思います。

 

 (カメラ部分アップ)

 

 

 さて、今回は姪浜駅へ向かう姿を収めておりましたが、この時は筑肥線の列車の行き合いで待っていた時でもありました。この撮影からしばらくしまして103系1500番台電車で運行の筑前前原駅からの西唐津行き列車(E18編成)がやってまいりまして、ここで並びも収める事ができました。ちなみにこの差は39歳差、まさに新旧の並びが実現した時でもありました・・・。

 

 その後、同時に西唐津行き・検測の姪浜行きが浜崎駅を発車して行きました。冒頭でもご紹介しましたように、濃い青黄色のラインと言う所が国鉄時代の印象を受け継いでいる事がわかりますが、それでもご紹介しましたように新しい所も見せている訳でもありますので、より正確な検測を行っていただきたいと思ったほどでした。

 

 

 場所は変わりまして、唐津車両センターに隣接した所にあります西唐津駅であります。この時は筑肥線の検測を終えまして戻ってきた所を収めたものでありますが、この後伊万里方面の列車が入る事から2番側線に入って来ておりました。

 

 この後、キハ125形気動車の伊万里行きがホームに入ってまいりまして、ここでも並びを収める事ができました。こちらはキハ125形気動車(-2)とでありますが、この場合でも29歳と言う車齢の差が見られておりますので、まさに新旧の差が伺える所でもありました。

 

 (29歳差も違う並び)

 

 

 この後、西唐津駅構内の入換信号機が動きましたので、2番側線にいましたDEC741系検測車もこの後電車留置線へと進んで行きます。

 

 編成は、一旦入換信号機前で停車、その後気動車留置線ではなく電車留置線へと進みまして、しばらく休憩する事にもなります。こう言う所も、クモヤ443系検測車と同じ扱いである事が伺える所ではあります・・・。この後、この編成は唐津線経由で自走で竹下駅(博多運転区)へと回送しておりまして、翌日の検測へと至る事にもなりました。

 

 尚、翌7月24日以降も九州内検測が行われておりまして、7月24日が篠栗線、7月25日~7月29日までが日豊線検測を行いまして九州検測を終了、さらに7月30日~7月31日までが山陽線・宇部線・小野田線を検測しまして8月1日に京都支所に帰区しております。そして、翌8月2日より北陸線・第3セクター区間の検測を行っておりましたが、8月4日からの豪雨によりまして金沢総合車両所に足止めされておりまして、戻るのもいつになるのか不透明との事であります・・・。

 

 

 今回は、JR西日本の新しい検測車両でありますDEC741系検測車に関しまして、筑肥線検測の模様を含めましてご紹介しましたが、やはり多くのカメラが搭載された姿は違和感さえも感じさせられます。しかし、先述のように多くカメラを搭載するのもそれだけ地上の設備を詳しく調べるためにあるものではないかとは思いますので、そう思いますと必要な存在である事もわかるのではないでしょうか。とにかく、そう言った変わった部分も見られる検測車ではありますが、これからもJR西日本を含めまして、他社各地での活躍を願う所ではあります。