熱闘!後楽園 -12ページ目

into The Fight 2013 by Steve-K

試合開始30分前に後楽園ホールに到着してエレベーターに乗ったところ、私以外は全員女性という状態でロビーに到着。
事前に男色ディーノにお願いしていたチケットを受け取ります。

正月の興業を家族で観戦したときは、初観戦や10年ぶりの人などが多かったですが(回りの会話でわかる)この日は女性が実に多い。それもリピーター客が。

会場の男女比率は6:4。レディースシートはもちろん、南側で観戦した私の回りも女性ばかりでした。

現在放映中のフジテレビのドラマ「最高の離婚」にて 
主人公の結夏(尾野真千子)と祖母の亜以子(八千草薫)がDDTのファンというのも関係しているはずです。
劇中、尾野がDDTのウサギパーカを身につけたり、DDTのDVDがアップで写ったり、八千草薫が「先日の飯伏とケニーが・・・」というセリフを言ったり。

昔のプロレスファンが戻ってくるのもいいですが、新規客が増えることは大歓迎。
「素直な気持ち」でプロレスを楽しんでもらう事で、ライトなファンがマニアになっていくわけです。

北側は半分使用。南側も空席なしの超満員(1532人)

試合結果はこちらから

ダークマッチ
DJニラVS福田洋


福田はバックボーンが柔道でアメブロマニアという「ミスターパーフェクト」と名乗るカート・ヘニングのフォロワー。オチャラケているけど基本は出来ていますね。
そういえば正月のオープニングマッチ「驚異の高校生(武道館でのデビュー戦にてエル・ジェネリコに対してと初々しさの欠片もない試合運び)」竹下幸之介戦では、ヒジやヒザや関節を取って何気なく竹下くんを「ヒーヒー」言わせていましたっけ。


第1試合(8人タッグマッチ)
アントーニオ本多&佐々木大輔&星誕期&火野裕士vsMIKAMI&マサ高梨&松永智充&遠藤哲哉


アントン率いる「モンスターアーミー」が緩急つけた試合運びで会場を温めます。


第二試合(タッグマッチ)
 高木三四郎&中澤マイケルvsマイケル大鷲透&大家健

前回の後楽園大会でDDT復帰を直訴した大鷲とユニオン退団となった大家の査定試合。
4WAYマッチ化した内容だけど、ちょっとグダグダ。
最後は大社長が大家をフォール。

大社長「 俺たちDDTとファンは2年間、アンタを待ち続けてきたんだよ。査定試合やらなくても俺の答えは決まっているんだ。お帰り、鷲関!」そして大鷲と友情の握手。

そして亜門GMの財布から15,000円抜き取り「大家、お前新団体を旗揚げしろ!!」とメチャクチャな愛のムチを振りました。


第三試合(タッグマッチ)
坂口征夫&彰人 vs 獣神サンダー・ライガー&高橋広夢

先日のレジェンドプロレスで
蝶野から「お前ドームを目標にしないのかオラ!」
ライガーから「格闘技からポッと出てきてプロレスが出来るほど甘くないんだ!」
挙句の果てに「お前なんか「坂口」を名乗るな!!」と絡まれた坂口。
煽りVTRで「善悪の基準を勝手に作って押し付けんなよ!!」と静かに語っていました。

坂口の心中は「ライガーおじさん、構ってもらい貰いたいんでしょ」という気持ちと
幼児の頃から道場で遊んでくれたライガーさんへ感謝の念が見え隠れします。

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ライガー組の奇襲攻撃から始まった試合、ライガーの攻撃が全く印象に残りませんでした。
「昔の名前で出ています」になっちゃったようです。
パートナーの高橋は、いかにも「ヤングライオン」という匂いがプンプンする選手で、ノアで永田や小島と組んだりして、次世代としてプッシュされている選手だけどまだグリーンボーイ。
そんな2人と食ったのが彰人。高橋にフォールを取られましたが、アマレスをバックボーンにした執拗な足攻めと独特な間合いで新日組を圧倒。坂口も気持ちよく戦っていました。
試合後ライガーが「次はシングルだ!!」とアピールするが、自分探しをしているようでなんか痛々しかったですね。


第四試合 (タッグマッチ)
飯伏幸太&伊橋剛太&ヨシヒコ vs 石井慧介&入江茂弘&高尾蒼馬


チームドリフのリーダー石井。
プッシュされて世代闘争を仕掛けたけど、パッとせず。
入江や高尾が光っていき、追い越されるのも時間の問題の石井くん。
大社長も「これじゃイカン」と路線を変更したようで
2月3日の千葉から「石井、お前には何かが足りない」と謎かけを仕掛けた。
答えを知っている相手と戦えと、石井くんはMIKAMIやニラに快勝しますが
試合後相手が失神したため答えが聞けず。
今日はヨシヒコを指名されました。

試合は飯伏のヨシヒコ使いの上手さと、158センチ110キロ伊橋のゴムまりのような動きが群を抜きました。
試合に勝ったけどチームドリフはこのまま終わりそうですね。

入江は相変わらず活きが良く、高尾は安定してきた。
いかんせん石井くんがショボイ。
「驚異の新人」竹下にもある「説得力」が、石井くんには無いのです。
突き詰めていくと、肉体的にも雰囲気もレスラーらしさが無いのです。
従って、がむしゃらに肉体改造してマッチョにしたり、イメチェンするしかないでしょう。

ここで休憩

セミファイナル KUDO復帰戦 30分一本勝負
KUDO&ヤス・ウラノ vs 男色ディーノ&大石真翔


煽りVTRでKUDOとヤスとディーノが36歳(大石は34歳)で同じ年で
お互い頑張ろうとエールを送って、試合開始。

ディーノがKUDOの攻撃を全身で受け止め、垂直式ブレインバスターの連発で叱咤激励。
単なる色物ではなく、DDTの支柱である男色ディーノの心意気と「友情」が伝わります。
後半は「ケツ出し合戦」になり、KUDOがディーノからフォール勝ち。
最後はケツを出してKUDOが四方にお辞儀。


メインイベント KO-D無差別級選手権試合 60分一本勝負
ケニー・オメガ〈44代王者〉 vs HARASHIMA〈挑戦者〉

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思いっきりパチパチのやり合いから、四天王プロレスを彷彿する危険な形のボム系の技でカウント2.9の攻防。HARASHIMAの蒼魔刀を受けきったケニーが、片翼の天使で防衛。
お互いに思いっきり技や感情がぶつけられる相手なので、どうしても四天王プロレス気味になってしまいましたが、最後はビシッと締めた好勝負でした。

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この試合でHARASHIMAは下顎骨骨折とのことで、KUDO復帰と入れ替わりで欠場となります。

時期挑戦者は、2月から始まった「into the Fightシリーズ」の大会MVP4名(大石・ウラノ・入江・KUDO)でトーナメントを行い、勝者が次回後楽園でケニーに挑戦となることを発表。

しかしケニーが「チョットマッテクダサイ、自分で相手を決めたい」と発言。
「DDTにとって、特別な存在で俺の親友でタッグチームパートナーだ」観客の殆どが飯伏と考えていた瞬間
「それはオマエだ」と通訳をしていた中澤マイケルを指名。
「なんで自分が??」とビックリするマイケルに「今まですごい助けて支えてくれたから、恩返しがしたい」と熱く語り、マイケルが受諾。2月28日新木場で、ケニーVSマイケルの「友情」のワンマッチ興行開催が決定しました。

今日の興行のテーマは「友情」 
友情が重なり、様々なストーリーを作っていく。
因縁遺恨で流れを作る既存のプロレスと違う、DDTの真骨頂を観ました。


Dream Anniversary 2013 by megane1964


熱闘!後楽園-image  最初に言っておくけど、本日は写真なしである。まあ、これ←を見てほしい。健介オフィス改めダイアモンドリングの後楽園大会は約1年ぶりなのだけど超・超・超・・・満員なのである。仕方がないので、南側スタンド後ろの立見席からの観戦。まあ、いくらなんでもここからでは写真はムリ、である。


 それにしても入りましたねえ、お客さん。昨年もすごかったけど、今年はそれに輪をかけて、って感じでした。北側の上にスクリーンは吊ってあるけどフル仕様。リングサイドも結構近くまで座席を詰めている。全6試合の詳細はこちら(http://www.kensuke-office.com/ )を見てくださいね。


 ダイアモンドリングというのは、なかなか面白い団体で、まず第一にメジャーなのかインディーなのかがよくわからない。もちろん、規模的にはインディー中のインディーですよ。ボスである佐々木健介以外、所属選手は5人なのだから。…え? 中島勝彦、宮原健斗、梶原慧、北宮光洋の4人だろって?…なまずマンってのがいるんだよね。外の団体には出てこないけど。


 で、そのなまずマンが登場した第一試合は、「くす玉割りバトルロイヤル」。リング中央上部に吊るされたくす玉を割った選手が勝ち、ってルール。いわゆる「楽しいプロレス」ですね。しかし、参加メンバーはある意味豪華だったねえ。書きだしてみようかな。


 高山“帝王”善広、CHANGO、バラモン兄弟、菊タロー、アントーニオ本多、めんそーれ親父、マリーンズマスク、NOSAWA論外、井上雅央、それになまずマン×2。


 バラモンとかアントンとか親父とか、インディー界の「おもしろヤロー」がズラリ並んでますねえ。菊タロー、論外はおなじみ、どこにでも現れる「曲者」。菊ちゃんはクリーンで論外はいろいろ前科持ち、って違いはあるけどね。CHANGO、マリーンズもインディーファンにはおなじみだし、高山、雅央が来るあたりが、さすが健介、顔が利くって感じだねえ。


 試合の方は、高山と勝負に行こうとした雅央が空ぶって、集中攻撃をくらって最初に退場。親父のトペ・スイシーダに刺激されたマリーンズがオーバーザトップルールをついつい失念してトペ・コンヒーロに行き失格。バラモンケイと親父と菊ちゃんが、「ロープの上に乗れば、くす玉に手が届く」と考えて「拝み渡り」に出るのだが、アントンがロープをゆすって、全員股間を打って場外転落、と「楽しい」試合らしいカラフルな展開。そういえば、くす玉を割ると、「100万円相当の賞品」がもらえる、ってことなので、全員が真剣になっております。


 で、最後に残ったのが、アントンと論外。「オレが3、先輩が7の取り分でどうです」との提案を受け入れた論外に手を取られて「拝み渡り」をしたアントンがくす玉を割ると、そこに現れたのは「佐々木健介と一騎討ち」の文字。うーん。健介との試合権利が100万ってのは高いのか安いのか。「お前が全部やれ」と受け取りを拒否した論外に代わり、次回、2月24日の道場マッチでアントンが健介と闘うハメになったのでした。


 第二試合は豊田真奈美&里村明衣子vs堀田祐美子&加藤園子。北斗の仕込ですが、豪華なメンバーですねえ。豊田に往年のスピードがないのが残念ですが。まあ、加藤からフォールを奪ったのは豊田なんですが、これは「お約束」ということで。


 会場を見渡すと、結構な数の「プロレス初心者」がいるようで、幼稚園、小学校低学年ぐらいのお子様とその両親、という組み合わせも目立ちます。その反対に、「ワシも昔はプロレスが好きだったんじゃ」的中年も大勢。現在のプロレスを追いかけているコアファンに加え、こういうライト層や往年層をキチンと掘り返しているからこそ、超・超・超(しつこい)満員の会場が生まれるんでしょうね。そういう方々には、プロレスの見方・面白さをあらためて理解してもらう必要がある。この2試合は、そういう「助走」の試合のニオイがする。よく考えられた構成です。


 したがって、休憩前の第三試合が、その「助走」の総決算なわけですが、ここに持ってきたのがジュニアヘビーの6人タッグ。普段から付き合いのあるドラゴンゲートからk-nessとアラケンこと新井健一郎を連れてきて、それにみちのくプロレスのエース、フジタJr.ハヤトを組ませる。対するは、自団体の梶原と土方隆司、TAJIRI。


 ちょっとびっくりしたのが、「外敵側」の入場曲がハヤトのテーマだったこと。それだけ、マッチメーカー北斗はこの人を評価しているんでしょうね。まあ、ワタクシは何度も書いてますが、この人好きだからいいけど。


 TAJIRIとかアラケンとか曲者を並べた割にはおとなしい試合。ハヤトが相変わらずキツーイ蹴りを打っていくのが印象に残ったぐらいかな。最後は梶原がムーンサルトプレスでアラケンをやっつけました。


熱闘!後楽園-image で、休憩ですが、まあ予想通り大混雑ですねえ。ただでも狭い後楽園ホールのロビーが人、人、人、でございます。手前では豊田真奈美が撮影会をやってます。

 

 ここまで見てもわかるけど、ダイアモンドリングというのは、非常に「いい運営」をしている団体なんですね。規模的にはどインディーって書いたけど、そこの部分はメジャー以上かもしれない。「運営がいい」というのはどういうことかっていうと、①マッチメーキングがいい②試合の進行にミスが少ない③選手の育成・管理がしっかりしている--ってことかな。


 特にいいのは「マッチメーキング」で、今回の大会もプロレス初心者にとって肩のこらない試合あり、DRの団体ファンを満足させる試合あり、プロレスを見慣れた人をちょっと感心させる試合あり。バラエティーに富んでおりました。


 ワタクシが「ちょっと感心」したのは、休憩明けの北宮vs西村修ですね。団体一番の若手が、プロレス界きっての理屈っぽいオジサンに挑戦。このオジサン、ただ理屈っぽいだけでなく、ちゃんと基礎ができているからコーチ役としては適任。さて、若手はどこまで通用するのか…という試合。


 初っ端から北宮が挑発します。ロープブレイクの離れ際に、一発ヒジを入れて、闘争心をあらわにする。理論派かつクリーンファイトが売り物の西村センセイ、ちょっとムカッとして北宮をヘッドロックにとらえる。北宮は西村センセイをロープに飛ばそうとするのですが、そこはセンセイ、ムッとしているから飛んであげない。グッと腰を下ろしてヘッドロックを絞り込む。


 いいですねえ。こういう大人げない西村センセイは、あまり見る機会がないからねえ。しかも丸め込みに来る北宮に、見事な逆さ抑え込みを決めて、技術の差を見せつける。区会議員になってね、試合後にお客さんたちに名刺を配るのもいいけどね、最近の西村センセイはちょっとオトナすぎる、と思ってたんですよ。もっともっと、こんな風に「若手に何もさせない」試合をしてほしいですね。まだまだ、丸く収まっちゃう年齢でもないでしょうよ。


 セミファイナルは団体ファン向けの試合。全日本をとある事件で追放されたTARUらVM(ブードゥ・マーダース)の面々がDRに殴りこんできて、それを「第三の男」宮原が迎え撃つ、というアングルありの試合。古き良き、団体抗争プロレス時代を思い出しますね。


 とりあえず、VMの4人とDR勢がくんずほぐれつして最初の試合をノーコンテストにしたうえで、「えーんーちょー」の客席コールに応じる形で再試合。新日本ですねえ。WWEに行き損ねた滝沢大志と宮原が、ラフファイトをしのいだうえで、TARUを捕獲。2連続ジャーマンで宮原が3カウントを取ったのだけど、「物語」はこれから。


 「なかなかお前らやるじゃねえか」と青息吐息のTARUがしゃべりだす。「どうだ、VMに来ぇへんか」と露骨に勧誘を始める。「ミヤハラ、ここにいても、健介と中島がいたら、なかなか上に行けへんやろ」


 宮原、「DRは今日までだ」とこの勧誘に応じる。滝沢もついでにVM合流に賛同する。あれあれ。これは何を意味するのか--。


 もともと全日本に参戦していたVMだけど、とある事件のおかげで試合に出れなくなってたわけだよね。TARUが復帰したってことは「禊は終わった」ってことなんだろうけど、果たして全日本マットに戻ることができるのか--。


 それとも、健介さんが定期参戦しているノアマットに、新たにヒールユニットとして参加することになるのか--。


 宮原が加入したってことは、後者の可能性が強いけどね。ノアは秋山とか潮崎とかの一線級が離脱したわけだし。いずれにせよ、単なるDRマットだけでないアングルに成長しそうな仕掛け。ここらへんにも、「運営のうまさ」が出るよねえ。


 で、メーンが四か月休んでいた健介の復帰戦。自らは杉浦と組んで、相手は中島と大谷晋二郎。


 ふと思ったんだけど…ホントは中島の相方は橋本大地だったんじゃないのかなあ。それなら若手vsベテランの図式がぴったり出てくる。だけど、大地がケガをしたから、社長が代打ちで出てきたんじゃないのかなあ。想像だけど。


 まあ、これは、健介お得意のゴツゴツしたプロレスでした。健介の逆水平と中島の蹴りの打ち合いなんて、「四天王プロレス」から流れる「意地」と「張り」の日本的プロレスの真髄を見せてくれました。うーん。伝統芸。


熱闘!後楽園 まあ、大谷社長が入っていたから得意の「顔面ウォッシュ」なんかのMOVEもちゃんと入れてましたけど、基本的にはバシッとした「王道プロレス」でした。最後は、ラリアットで中島をぶちのめした健介がブレンバスターから3カウント。完全復帰をアピールしたのはいいけど、次期エースをノックアウトしてもいいのかねえ。


 「楽しいプロレス」から「アングル」「王道」まで過不足なく詰め込まれた2時間半。2人の新加入練習生も紹介されて、DRは右肩上がりの好景気って感じですね。それでは落語界に伝わるクラシックななぞかけを。


 「DRとかけまして、満塁ホームラン2本とときます」

 「そのココロは」

 「8点(発展)間違いなし」


 


 

2.8 大日本プロレス by チャン・マメルトン

昔から興行の世界では、「ニッパチ」と呼ばれる2月と8月は客入りが良くないと言われる。
記憶が定かではないのだが、2月は寒さや正月興行の反動、8月は暑さや夏休みなどが理由なのかな? 
ただ、いつまでもその流れに甘んじているわけにはいかないのが、興行界で生きる人々。
あれやこれやと様々な策を打って、事態打開を図ってきた。
その代表的なものが新日本の「G1クライマックス」で、ノーマークの蝶野が第1回目を制するという
サプライズな結末が功を奏してか、以降ブランドを確立させ、今や1月の東京ドームと並ぶ金看板イベントになっている。
とはいえ、全体から見ればそれは数少ない方の成功事例で、やっぱり今も苦戦しているところが多いんだろうとは思う。

そんな2月の大日本の後楽園ホール。3連休前の金曜日の夜、19時の試合開始直前は
まさに「ニッパチ」通りで、いつもは満席となる東・西・北の各席も空きが目立つ。
この状況では、登坂社長の挨拶もやはり少し元気がない。
でも、それって2月という時期のせいだけではないと思う。まずはこちらのカードをご覧頂きたい。

http://www.bjw.co.jp/vm/game-sec_3225.html

megane1964さんの原稿に、平日と書いて「“ひらび”と読んでね」なる行が時々出てくる。
要するにこれという目玉がない、言わば谷間的な興行の日だが、この日の大日本がまさにそれ。
強いて目玉を挙げるなら、負傷欠場していた河上の約1年ぶりとなる復帰戦と、
メインにラインナップされた石川修司、佐々木貴、シャドウWXが新たに結成したチームである“奥羽越列藩同盟”、
略してORDのお披露目くらいか。
でも、リング上の流れとは全く関係ないところで唐突に結成されたORDなので
(まぁ、本人たちや会社側には何らかの意図はあるはずだけど)、
一体何を目的にしてこのメンバーでチームを作ったのかさっぱり分からない。
だから、観る側からすれば、この時点では申し訳ないけど何の“引き”も感じない。

しかも興味深いのは、大日本は毎年2月に平日的興行を後楽園ホールで打つのである。
5月と12月の横浜文体でのビッグマッチを年間スケジュールの柱にする関係上、
1月は新春興行ということもあって派手目に、3月は5月の横浜文体に向けて隔年で
デスマッチとストロングBJのリーグ戦を交互に行っている(ちなみに今年はデスマッチリーグ戦の“一騎当千”を開催予定)。
よって、2月はどうしても平日的になるようだ。
これだけの陣容が揃っているなら何らかの手を打てそうな気もするが、それでもやらない。
逆に言えば、目玉に頼れない平日にこそ、団体の現在の勢いが如実に分かるということなんだろう。

では、こちらもレスラーの実力が分かる客席後部から観戦するとしましょう。
と言うことで、今回も写真はありません。悪しからず。でも、試合をじっくり観ようとすると、
どうしても写真撮影が疎かになってしまうんですよ。不器用な者ですから…(高倉健風に読んでね)


第1試合は飛ばして、第2試合にはデスマッチタイトルを手放して身軽になった(体重じゃないよ)アブ小さんが、
バカ兄弟と組んで早くも登場。対戦相手は平成極道コンビの星野・稲葉に、アミーゴ鈴木を加えたトリオ。
しかも、メキシカンスタイルだったアミーゴまで、極道コンビに合わせた髪型と格好になっている。
このキャラチーム、本気で続ける気なんだなぁ。まぁ、似顔絵入りの手ぬぐいまで作って、
休憩時間中に“押し売り”に歩いているんだから、今さら簡単には辞められなくなってしまったんだろうけど。
であれば、前座戦線の“楽しいプロレス”担当のスペシャリストになることが要求されるわけで、
この試合に限って言えば、お約束の動きもいくつか出てきていたから、お披露目戦に比べたら
随分板についてきた感じはする。
でも、相手がバカ兄弟とアブ小さんだと、試合を持って行かれるのは仕方ないところ。
特に衝撃だったのは“ボウリング攻撃”。通常、コーナーを背に大股開きで座らせ、股間に置いたスーツケース目がけて
ボウリングの球を転がすわけだが、なんとアブ小さん。スーツケースをどかさせると、
ボウリングを勘九郎の胸目がけて投げつけた。
もちろんオーバーアクションで痛がるのだが、それ以上に「こんなことをするのか…」という精神的なインパクトの方が大きく、
これには観客ばかりかバカ兄弟も驚かされたようだ。
それにしても、ボウリングを投げつける人など初めて見た。
さすがは前デスマッチチャンピオン。王座から陥落しようが容赦ない。


二試合目のバタバタ感から一転してじっくりと観ようという雰囲気だったのが、この日の目玉の1つである河上隆一復帰戦。
丁度上り調子に乗った感があっただけに、約1年前の負傷が残念だったことを思い出す。
その約1年ぶりのリングは、石川晋也とタッグを組んで岡林・忍組と対戦。
故障個所の様子を確かめるような、実戦感覚を思い出すようなじっくりとしたペースは、
アマレススタイルのコスチュームにマッチする。パートナーの石川も、パワーファイターが多いストロングBJにおいては
少し異質の、テクニックを主体とするスタイルで自身を主張する。
これに忍も岡林も呼応したので、観る側に気を緩めさせない展開となる。

藤原組長やUWF、さらには総合格闘技の登場で、レスリングの基本であるグラウンドや関節技は、
地味なつなぎ技ではなく、実はスリリングで高度なスタイルだとの認知が広がったが、
デスマッチからパワーファイトと広がってきた大日本マットでも、このスタイルが確立されると
さらに面白味が増す。そういう意味でも、河上の復帰は大きい。
一方で驚いたのが、河上の身体がよりゴツくなっていたのだ。並び立てば岡ちゃんと遜色なく、
欠場中に地道のトレーニングしてきたことがうかがえる。結局、レスラーは身体を見れば、何をやってきたのか一目瞭然なのだ。
しかし、身体だけで勝てないのもプロレス。最後は岡ちゃんが河上をパワーボムで沈め、
1年間リングで戦い続けてきた者の差をまざまざと見せつけた。


ここから休憩を挟んでセミファイナル終わりまで、場内の雰囲気はヒートアップしていく。
第四試合は、蛍光灯+有刺鉄線ボードデスマッチで、軸は元045邪猿気違’sの沼澤・葛西の戦い。
約2か月前に葛西が復帰した試合後から仲違いをして以来事あるごとに対戦してきて、どう展開するのかと思っていたが、
この日はラッシュした沼澤が葛西からピンフォール勝ち。
葛西が「オレッちが欠場する前の狂った沼が戻ってきた」というコメントを受けて、
時期デスマッチリーグ戦「一騎当千」の初戦で対決することになった。

なるほど、こういう流れか。実は沼澤がデスマッチ王者だった頃を見ていないのだが(第21代。もう5年前のこと)、
最近の沼澤は盛り上げ役や後輩の引き立て役、あるいは負けるシーンが多いなど、試合の中で“良い人”が滲み出ていたのだが、
フィニッシュに至る技の数々や流れはまるで別人。「どうせ葛西が逆転するんだろう」という読みを、見事に裏切ってくれた。
それは観客の声援にも表れている。この“怖いバージョン”でリーグ戦を戦ってくれると、結構面白くなるだろう。


そして、場内が最高の声援とブーイングで盛り上がったのが、休憩明けのセミファイナル「大日本vs全日本」。もう“鉄板”である。
普通、これだけ両団体でラリーが続いていると、若干食傷気味になるものだがさにあらず。
別に総帥・武藤さんや三冠王者の船木、エース・諏訪魔が出てくるわけではないのにだ。
これ、ひとえに浜ちゃんの存在感なんだろうなぁ。

いささか差別的表現になってしまったら申し訳ないのだが、例えば一般社会でもいわゆる“太った人”への印象は、
「ユーモアがある、明るくなる」というポジティブなものと、「暑苦しい、自己管理ができない人、憎々しい」というネカティブなものと、
両極に分かれると思われる。この2つの印象の間を、浜ちゃんは状況に応じて行ったり来たりして、まるで楽しんでいるかのようだ。
つまり、全日本では「ユーモアがある、明るい」浜ちゃんで、
大日本では姿かたちばかりか、団体間の対抗心を煽りまくる「憎々しい」浜ちゃんだ。
しかも、身体が大きくて重たいから、大日本自慢のパワーファイター達でもなかなか太刀打ちできない。
これがさらに大日ファンのイライラ感を増す。
さらには勝っても負けても全日本プロレスのロゴ入り大タオルを
これ見よがしに見せつけられては、フラストレーション爆発で大ブーイングある。
ところが、そのアウェー感を心の底から楽しんでいる感じは、ホーム・全日本でのファイトよりもイキイキして見える。
そう考えると浜ちゃんにとっても、大日本マット参戦はメリットが大きいんだろう。
これではそう簡単に越境タッグなど実現しないよね…と思えることが、
実は大日本と全日本の対抗戦が長続きしている最も大きな成功要因ではないだろうか? 

実名を出すが、かつての新日本を主体とする対抗戦は、
現実にできるはずないのに「ぶっ殺してやる!」など殺伐とした言葉を発して対抗戦意識を煽り、
そのくせ何度が対戦すると相手の実力を認めて、そのうちタッグを組むというのが定番の流れだった。
これが1度ならずも2度3度とやらられば、観る側としては「どうせ、そのうちタッグ組むんでしょ」と
始まる前から興醒めしてしまっていた。この雰囲気を今のところ全く感じない。だから、いいのだ。
浜ちゃんにはこのまま、かつての“サンダーストーム”北尾光司や小川直也のような、
大日本マットにおけるナチュラルスーパーヒールでいて欲しいと思う。

あっ、試合ですが、最後はワイルド風情の征矢が橋本和樹からピンフォール勝ち。
その直後、マイクを持って名指ししたのが関本。保持するストロングヘビー級王座に挑戦してこいという趣旨で、
関本もこれに呼応。次の後楽園大会でのタイトルマッチが決定した。
しかし、3月大会は豪華なラインナップだこと。一騎当千の初戦で葛西vs沼澤。それに征矢vs関本。
律義で丁寧な大日本は、こういう流れを経ない、唐突なマッチメークはほぼ皆無だ。
でも、どちらか一試合でもこの日に組めていれば、客入りとか雰囲気はまた変わっていたんじゃないの? 
まっ、勝手な意見ですが…。


続くメインは、奥羽越列藩同盟お披露目の6人タッグデスマッチ。
冒頭にも書いたが、石川修司、佐々木貴、シャドウWXの3人が何故チームを組んだのか? 
観客にはその経緯が全く分からなかったせいか、あれほど盛り上がったセミファイナルから一転、
試合開始から暫くは場内は静かな雰囲気に。
これ、石川と宮本の次期デスマッチ選手権の前哨戦だけなら、分かりやすい分もう少し雰囲気は違ったのかもしれない。
ただ、試合中盤から盛り返し、最後はいつもの盛り上がりを作ったのは、さすがは大日本のデスマッチファイター。
誰がメインを張っても、確実に観客を満足させてくれる。


さて、平日(くどいようですが“ひらび”と読む)の全6試合。
観る側より出る側の都合を優先した、どーでもいいカードを組まれての7試合より、分量も、
また試合スタイルのバランス的にも丁度良かった印象です。
一方で、このようなラインナップでも8割以上の観客が入ると、大日本の底上げも進んできたと言えるんでしょう。
さぁ、この差をどう埋めていくのか? 
ただね、この日が決して良くなかったと言う訳ではないんですよ。
大日本のコアファンって、ファンというよりサッカーのサポーター的と表現すれば適切かな。
あるいは四天王プロレス時代の全日本ファンと言うか。とにかく「観に来てやっている」という高飛車な雰囲気はまるでなく、
「みんなで応援しよう、支えよう」という雰囲気があるんですね。
だから、変なアングルに頼らなくても、選手たちを応援し、また盛り上がる。
そんな良い循環が出来ていると思います。


あっ、最後にいつもと違う光景を一つ。休憩明け、登坂社長の挨拶から主旨を要約します。
「大日本プロレスの代表は、たまたま今は僕が務めていますが、この会社は誰のものでもない。みんなの会社。
もしかしたら、みんながいつでも帰ってこられるようにするために、興行をやっているのかもしれない。
それは今日、病気でお休みしている今井リングアナウンサーもそう。詳しくは述べませんが、
また必ずこのリングに帰ってきて、あの名調子を聞かせてくれると信じています…」。

それはすべての大日本ファン、かつての全女ファン、そして心優しき全プロレスファンも同じ気持ちです。
完全復活を待ってます、今井リングアナ!

https://twitter.com/imainagaharu