特殊な事情 | 手話通訳者のブログ

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5月15日(水)のブログ記事「後日」の続き。
 

 

「すみません・・・個夢さんは20年近く勤務してきた大先輩なので、信じてしまって」
そうですか・・・
「木曜日勤務することになって、川村さんに初めて会って、たいしさんを派遣して欲しい、と言われてびっくりして・・・」
・・・・・
「改めて考えてみると、派遣通訳者は女性に限る、って、変ですよね」
よほどの男嫌いか、よほどの女好きか、特殊な場合だけでしょうね。
「はい・・・」
特殊な事情があるなら、コーディネーターとして情報共有する必要がある。
「そうですね」
個夢さんは、コーディネーターとして、ポンコツですよ。
「・・・・」
もし、川村さんが命を落とすことになったら、個夢さんに殺された、と言っても過言じゃない。
「・・・・」
個夢さんが、川村さんに派遣する通訳者は女性でなければならない、と言ったのは、嘘です。
「はい・・・」
どうして、こんな嘘をついたと思いますか?
「・・・・」
俺が嫌いだから、です。
「・・・・」
ろう者が、たいしさんを派遣して欲しい、と言うのが許せないんですよ。
「そうかもしれません・・・」
これは、個夢さんの個人的感情です。
「はい・・・」
個人的感情を仕事に持ち込んでいる段階で、コーディネーター失格だし、市役所職員としても失格です。
「はい、すみません・・・」
小川さんを責める気はありません。大先輩の言うことを真に受けてしまうことも、無理からぬことです。
「すみません・・・」
何か変だ、と感じたら、その感覚を大切にしてください。
「反省しています。もっと早く、たいしさんに電話するべきだった」
・・・・
「一年間、ただの一度も、たいしさんに電話しなかった。私もコーディネーター失格です」
まだ一年しか経験していないし、俺は一番評判の悪い通訳者だから、そこは仕方ないと思います。
「いえ、こうやってお話してみて、先輩から聞いた話を鵜呑みにしていたことを反省しています」
噛みつかれるのが怖くて、電話できなかったんでしょう(笑)
「すみません・・・正直言って、そうです」
小川さんを責める気はありません。今回のこと、最も責任が重いのは福祉課の係長です。
「・・・・」
近いうちに、係長にアポをとって、話をしに行きます。
「できれば、私が勤務している日に来てくださると嬉しいです」
そうします。小川さんに会うのを楽しみにしています。

手話世界の闇は深い。小川さんとは電話で冷静に話をしたが、係長に会ったら、狂犬の顔になるかもしれない。


<続く>