2024 Mt.FUJI100 アナザーストーリー | おつまみ研究所(おつ研)

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先日投稿した「もうひとつのMt.FUJI100ものがたり」。

それとは別のアナザーストーリー。

 

2024年のMt.FUJI100。

今年は各所で1時間以上の渋滞が発生しました。

 

今回のアナザーストーリーは、その渋滞発生の中で偶然に1年ぶりの再会をしたトレイルランナーのお話しです。

 

 今年も渋滞か…

スタートして17kmあたり。

送電線の入り口で渋滞の最後尾に並ぶ。

 

毎年、渋滞するこの場所。

覚悟はしていた。

 

完走した一昨年もここは渋滞していた。

その時は第2WAVEのスタート。

 

今年は第4WAVEで、しかも深夜0:30のスタート。

最後尾についたときに一昨年よりも並ぶだろうな…と瞬間的に感じました。

 

携帯を取り出して、渋滞の写真を撮った。

すると、後ろから声がした。

 

「こーじさん、ですよね?」

 

渋滞の最後尾についた直後。奥の方までライトが光っているのが見える

 

 

 話しは1年前に遡る…

2020、2021とコロナ禍でレースは中止。

2022年はレースは復活し完走するも、天候不良で天子山地は迂回。

 

2023年は正規のコースで完走を!、と意気込んでいましたが残念ながら、抽選にハズれてしまいました。

 

毎年「麓エイド」で地元のラン仲間がボランティアとして参加しているので2023年はわたしもボランティアで参加してレースに関わらせてもらいました。

 

昨年はここで夜通し誘導灯を降り、声をかけ続きました

 

ただ、やはりどこかで走りたいので、代わりにどこかのレースに出ようかと思案していました。

 

 東京初の100マイルレース「Tokyo Grand Trail」

ネットでレースを検索していると、わたしの育った地域で100マイルレースが開催されることを知りました。

 

わたしの育った地域は東京都の多摩西部のエリア。

レースのコースマップをチェックするとよく知った山域でした。

 

「そうか、これに出るためにあれはハズレたんだな。」

 

ポジティブ番長な思考をフルに発揮します。

エントリー期間中だったので、迷わずにポチります。

 

これで春の勝負レースが決まった。

 

レース名はTokyo Grand Trail(略してTGT)。

累積標高は10,000mを超える超ハードコース。

 

競技規則ではコースマーキングはなし、と記載されていました。

さらにトレイルとトレイルを繋ぐコースは地図に乗っていないような破線ルート。

 

2023年のゴールデンウィークは試走三昧でした。

 

ヤマップの第1回試走データ

 

レース直前にコース変更があり、試走には合計6回行きました。

コールの累積標高は12,000mになりました。

ビビりが加速します。

 

ヤマップの第6回試走データ

 

 

 遅いのにトレインができるナゾ

試走も万全にレースの日を迎えました。

スタート直後から直登、急登なコースですからゆっくりと無理せず進みます。

 

最初のウォーターエイドの地点で最後尾の集団にいるのは把握していました。

 

こんなハードなレースに出場する猛者たち。

みんなはやい。

 

でも、気がつくと、前にいたはずの人がわたしを抜いていく。

しかも、何度も。

そして、何人も。

 

そんなことが繰り返されているうちに、次第にその人たちと話しをするようになる。

 

よくよく聞いてみると、みなさんちょっとずつロストしていて、その度にわたしと順位が入れ替わっているようだった。

 

遠方から出場の方は、土地勘もないし、試走もできていない。

破線ルートが多く、マーキングもない。

しかも、夜。

 

ある方から「後をついて行っていいですか?」と言われたので「わたし、遅いですよ。」と返しても「頑張って走ってもロストして、また追いつかれるのだけだから」と…。

 

迷って止まっている人もこのグループに加わり、気がつくと5〜6人くらいの御一行様になってしまいました。

 

 トレインの終着駅

そんな感じで自然発生したトレイン。

人数が増えたり減ったりしながら進みます。

 

深夜の御嶽駅エイドでインナーファクトさんの特製カレーも、夜明けの日向和田のファミマも、灼熱の五日市のセブンも共に補給をしながら、先へ先へと進みました。

 

金毘羅尾根に入るあたりで「このペースだと次の十里木のエイドに間に合わないので、それぞれでいきましょう。」とみなさんに伝え、約15時間ほど先頭をひいたトレインはここで運行停止。

 

集団はバラけ、それぞれで進むことになりました。

 

わたしは、十里木のエイドに制限時間内に滑り込み、その先へ進みましたが、次のエイドの制限時間に間に合わず関門アウト。

チャレンジは終了となりました。

 

そのときのレースの模様はこちら

 

 

 

 

 その声の主は…

 

「こーじさん、ですよね?」

 

送電線渋滞の最後尾で振り返り、ヘッドライトを手で隠しながら答えた。

「はい。」

 

「TGTでご一緒したMです。」

 

先に記載したTGTのトレイン。

そのトレインで15時間以上ご一緒しMさんだとすぐにわかった。

 

「おーー!!よく気づきましたね。」

わたしは応えた。

 

1年前のTGT以降のランニングライフなどのよもやま話しをしながら渋滞に並びます。

 

記念に1枚パチリ

 

 

 二人のトレインが走り出す

Mさんはトライアスリートでもあり、TGTが初100マイルレースだとあの夜に聞いた。

それ以来、100マイルレースにはエントリーしておらず、今回初完走を目指しているそうだ。

 

Mさんのおかげで渋滞のイライラは回避できたが、渋滞に並んでいた時間は1時間を超えてしまった。

 

大きな渋滞は2箇所あった

 

最初の渋滞を過ぎて、走り出す。

1年前の奥多摩でのトレインの光景が頭の中で甦る。

 

しばらくすると2箇所目の渋滞。

汗冷えしないようにウィンドシェルを羽織る。

 

渋滞を過ぎて、また走り出す。

列はバラけることなく、歩きになる区間もある。

 

その隙に歩きながら、ウィンドシェルを脱いで、ザックにしまおうとすると「入れますよ」と後方から声をかけていただく。

優しい心遣い感謝。

 

遅れた時間を取り戻すべく、先を目指す。

 

富士宮エイドの手前の登りで走れずに歩く。

その時に後方へ「前へどうぞ」とハンドサインを送り、Mさんは前へ走って行った。

 

離れていく後ろ姿にエールを送った。

 

 最初のエイドから関門時間ギリギリの攻防

1時間以上、渋滞に並んだ影響で富士宮エイドに駆け込んだのは関門時間の11分前だった。

 

エイドに到着すると富士宮エイドの関門時間は30分延長されるとアナウンスされた。

 

ただ、麓エイドの関門時間は延長はしないと、このときはアナウンスされていた。

滞在時間6分で出発した。

 

F1 富士宮エイドに関門11分前に到着

 

麓エイドに向かう途中で「関門時間を1時間延長する(13:20まで)」と知らされた。

 

当初の関門時間12:20前には到着したかった。

F2 麓エイド12:05到着。

 

次のエイドに向けて出発したもののF3 精進湖エイドでタイムオーバーとなりDNFとなった。

 

精進湖エイドの関門時間は延長はされず、当初の関門時間のままだった。

 

私は渋滞の遅れを取り返すことができなかった。

 

遅れを取り返すことができなかったのは、お腹の調子が悪くなって各所トイレに長く篭ってしまった。

ワントラブルも許されない状況だったが、その賭けに負けたって感じだった。

 

間に合わなかった時間は17分。

渋滞で並んだ1時間を恨みましたが、精進湖エイドのボランティアの方々がわたしの心を救ってくれました。

 

あの光景はわたしの宝物です。

 

その精進湖エイドの模様がおさめられてるのがこちら

 

 

 

 

 100マイラー誕生

翌日、宿で目を覚まし、速報を確認するとMさんは完走していた。

完走のタイムやエイドの時間をチェックする。

 

わたしとMさんとの富士宮エイドの到着時間の差は約5分。

Mさんのデータを見ると、富士宮エイド以降のタイムは僕が実行しようとしていたタイムが刻まれていた。

まさに僕の理想としていた内容だった。

 

素晴らしい走り。

ついに100マイラーの誕生だ。

しかも、WAVE4上位のタイム。

 

僕はMさんにおめでとうのメッセージを送った。

心よりおめでとうございます、と。

 

 数字はウソをつかない

リザルトが出たのでWAVE4に絞って、あれこれと数字を叩いてみる。

 

【WAVE4完走率】

・出走者数:534人

・完走者数:227人

・完走率:42.51%(全体:67.19%)

 

【F1 富士宮エイドデータ】

・当初関門時間5:00〜渋滞緩和処置5:30までの到着者数:111人

・うち、完走者数:23人

・5:30以降到着者数:0人

 

【F2 麓エイドデータ】

・当初関門時間12:20〜渋滞緩和処置13:20までの到着者数:62人

・うち、完走者数:2人

・13:20以降到着者数:13人

 

【F3 精進湖エイドデータ】※緩和処置なし

・関門時間19:00以降到着者数:2人

・11分オーバー1人、17分オーバー1人

・精進湖エイドをアウトしなかった人数:30人

 

【F4 北麓公園エイドデータ】※緩和処置なし

・関門時間23:45以降にインした人数:0人

・エイドinデータなし人数:55人

・F3-F4間のタイムが2時間台のデータが散見される

※データに信頼性がないので掘り下げることは控える

 

2024年リザルト -Mt.FUJI100オフィシャルHPより-

https://mtfuji100.com/wp-content/uploads/2024/05/Mt.FUJI100FUJI-RESULT.pdf

 

第4WAVEのデータを分析した資料はこちら

 
Mさんのように、渋滞の影響を受けても、諦めずに進んでフィニッシュした選手たちのデータには大変勇気をもらいました。
中には序盤の送電線渋滞と杓子山での渋滞の両方を耐え抜いてフィニッシュした選手もいるでしょう。
 
その反面、精進湖と北麓でDNFとなった約100人くらいの人の中に渋滞で失われた1時間が大きく影響してるのも読み取れます。
 
ワントラブルなら修正する時間の余裕はあるけど、ツートラブル重なるとなかなか厳しい。
今回は素直に受け止めよう。

 

 こころの声を少しだけ…

渋滞はない方がいいに決まっている。

いたしかたないことも十分理解している。

ただ、1時間以上とはいかがなものか…。

 

毎年同じ場所で同じように発生する渋滞については、思うことはある。

 

その場面を見ている訳ではないが、大会の会長が最後方からスタートしている。

渋滞箇所ではどのように対応したのだろうか。

 

もし、ちゃんと列に並んでクリアしたのなら「こんなに並ぶのか。本気で解決しよう。」と思うだろうし、もし渋滞をハイタッチとかしながらすり抜けて前に行ってるとしたら、それは渋滞を酷い方向へ助長している可能性もある。

 

オフィシャルのコース解説動画で「スタート直後は下り基調だから飛ばさないように」とアドバイスしているが、ネット上では「渋滞回避のために前半は死に物狂いで飛ばす」なんて言われてる。

 

ある別の大会では、吊り橋で必ず渋滞していて話題になってたりしたが、ここ数年で渋滞しなくなっている。

 

今年は杓子山での渋滞もあった。

2時間以上も稜線上で強風にさらされたと友人から聞いた。

大きな事故が起きなかったのは幸いだが、運がよかっただけかもしれない。

 

 結果ははじめからわかっていたのかも…

ついでに、ちょっとボヤかせてもらうと、2回出場して、2回ともゼッケンの名前が間違っていた。

一度も自分の名前のゼッケンをもらっていない。

 

一昨年は苗字が、今回は名前が

エントリー時の入力を自分が間違えたのかと思って2回とも確認したけど両方ともあってた。

ってことは、手入力してるのかしら。

 

このレースとはあんまり相性がよくないのかな。

 

そういえば、暗闇で、しかもゼッケンの名前間違っているのに、よくわかったなMさん。

 

おアトがよろしいようで。

(笑)

 

 

こちらのお話しもぜひ