もうひとつのMt.FUJI100ものがたり | おつまみ研究所(おつ研)

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2024年のMt.FUJI100は精進湖エイドでわたしの戦いは終了しましたが、その数十時間前、わたしはある選手とスタート地点で待ち合わせをしていました。

 

その待ち合わせに至るまでの経緯はとても不思議な巡り合わせでした。

1年越しでスタート地点で初対面を果たしたふたりのトレイルランナーのおはなし。

 

残念ながらDNFとなった2024年のレースの模様は動画にまとめていますのでこちらで。

 

 

 2023UTMFの抽選にハズレる

2020、2021とコロナ禍でレースは中止。

2022年はレースは復活し完走するも、天候不良で天子山地は迂回。

 

2023年は正規のコースで完走を!、と意気込んでいましたが残念ながら、抽選にハズれてしまいました。

 

毎年「麓エイド」で地元のラン仲間がボランティアとして参加しているので2023年はわたしもボランティアで参加するよう申込みました。

 

 麓エイドでの担当割り振り

同じように抽選にハズレたりした仲間6人でボランティアで参加。

抽選に当たった仲間のスタートをこどもの国で見送り、麓エイドへ向かいます。

私の担当はエイドでの補給スタッフ…ではなく、エイドから2kmほど先の分岐点での誘導でした。

 

ここが誘導ポイントです(選手通過前の昼間に撮影)

 

2023年は15時スタートなので選手が通過するのは夜から朝方にかけて活動。

ぼくらは暗闇の中、ひたすら誘導灯を振り、選手に声をかけ続けました。

 

実際の誘導の模様(サイリウムは私物を使用)

 

 

昨年の誘導の模様を動画で公開しています。

 

 

 

 トレイルで落とし物を発見

 

スタートを見送った仲間も全員通過し、以降の選手たちに声をかけ続けます。

そして、あたりが白み始めた朝方、皆が通り過ぎたトレイル上に小さいビニール袋が落ちているのが目にとまった。

 

拾い上げてみると〝手紙〟と書いてるように見えた。

一晩寝てないので、不確かなので何度か見直したが、やはり手紙と書いてあった。

 

後で撮影時間を確認したら4時20分でした。

 

 

 行動予定が変更になった

ボラの任務を終えた私たちは仲間の選手のあとを追って応援する予定になっていました。

氷穴のロード、富士吉田の道の駅、フィニッシュシーンを見届けるためにハイランドへ行く計画。

 

道の駅で仲間の選手を待っていると、わたしを車に同乗させてくれた方が「調子が悪いからしばらくしたら帰宅する。」

とのことで、別の友人の車に乗せてもらうことに。

 

その別の友人はハイランドには寄らずに帰宅する予定とのことなので、道の駅の応援が終わるとそのまま帰宅となりました。

当初、拾った手紙はフィニッシュ地点のハイランドに行った時に大会本部に届けようと思っていましたが、結果的にはそのまま持ち帰ることとなりました。

 

 さて、どうしたものか…

帰宅して、目が覚めると全員完走したとの知らせがありました。

しばらくすると、〝打ち上げをしよう〟という連絡があり、みなで祝杯をあげた。

2023年4月23日の出来事。

 

大会本部に届けようと思っていた拾った手紙はまだ手元にある。

 

翌日から仕事、数日してゴールデンウィーク。

早く返したいと思いながらも行動できずにいた。

 

本部に郵送で届けようと思い調べてみると、大会本部に送ったとて、名乗り出るものがいない場合は警察に渡されて期間が過ぎると廃棄されると書いてあった。

 

2022年の大会HPより

 

きっと、この手紙は小さい子どもが、出走したお母さんかお父さんに宛てた手紙。

そうに違いないと、ぼくは仮説を立てていた。

廃棄される選択肢はない、そう思っていた。

 

 

 いちかばちか、やってみる

とは言え、落とし主を探し出す方法はあるのか?

 

考えてはみたものの、そんな方法は簡単には見つからない。

手をこまねいてるうちに、気がつくと5月5日、子供の日を迎えてしまった。

 

子供が親に書いた手紙という仮説を立てているのだ。

今日やろう。

 

そう思い、5月5日、ダメもとでツイッターに投稿した。

 

実際にツイートしたもの

 

 

 そして事態は動きだす

 

投稿してから8時間くらいして、Twitterに返信がきた。

落とし主本人からだった。

 

急展開。

TL上で、相互フォローしてDMで、、、と返信しあとはDMでやり取りを行う。

 

住所を教えてもらい、発送。

5月10日、無事に手紙が届いたと落とし主さんからDMがきた。

 

落とし主さんは完走は果たしたものの、レース後半に手紙を落としたことに気づいていたそうです。

 

娘さんから「辛くなったら読んで」と渡された手紙。

きっと、後半の辛い場面で読もうと思って探したときに無くしたことに気づいたのでしょう。

 

「手紙が読めたので、これで本当にレース完走です。」

と、DMに書かれていた。

 

よかった、本当によかった。

 

ハイランドへ行っていたら、本部に届けて廃棄されていたかもしれない。

Twitterに投稿しなかったら、まだこの家にあったかもしれない。

ちいさな、小さな、なにげない事柄が繋がって手元に返せたんだと思う。

 

 すげーな、Twitter

のちに聞いたら、私のツイートが「おすすめ」に出てきて投稿に気づいたそうです。

彼がタイムラインを「フォロー中」でしかみていなかったら気づかなかった。

 

おすすめに出てきたのも共通の趣味がワードに引っかかったんでしょうね。

これも、手紙が返せた要因かと思います。

 

 

 そして、1年後…

その後、相互フォローはしたことをきっかけに積極的に交流!!

と、いう訳でもなく、ときどき〝いいね〟を押す程度のお付き合い。

フォローを解除する訳でもなかった。

 

ただ、そのおかげで、○○レースにでた、とか、✖︎✖︎をケガしたとかいう情報はチェックしていました。

 

2024Mt.FUJI100に出場することもツイートで知っていた。

ただ、そのことでやり取りすることはありませんでした。

 

2024年4月25日(木)レース受付日

北麓公園に向かう途中でDMを待ち合わせの連絡を送ります。

 

Twitterのメッセージ機能で送信

 

返信がきたものの、残念ながら高速の渋滞もあり受付会場ではご対面できず。

私たちは宿へ向かうため、北麓公園の受付会場を離れます。

 

 感動のとき、きたる

レースは受付したり、仮眠したり、支度したり結構忙しい。

次にお目にかかるチャンスはスタート地点の「こどもの国」。

 

今回はお目にかかれないかぁ、と思っていましたがその後もDMでやり取りをして待機場所を伝えます。

するとひとりの男性が話しかけてくれました。

 

それはスタート20分前。

ギリギリで1年越しで感動の初対面です。

 

顔を知らない者同士が待ち合わせするのは大変

 

握手をし、完走しようぜ!

とエールを交換します。

 

「今年は手紙は?落とさないようにしなくちゃね。」

と訊くと…

 

「もう、年頃になっちゃったので書いてくれなかったんですよ…」

 

「…」

 

やっぱり、去年手紙を返せてよかった。

 

 

 ものがたりの結末は…

レースの結果は今年は残念ながら、二人ともDNF。

と、いう事はまた1年後に会うのかなw

その場合は、今度は顔がわかるから、すぐに会えるか。

 

昨年の子供の日に、連絡が取れて、

子供(娘)さんの手紙を返して、

スタート地点のこどもの国で初対面。

 

なかなかよくできたお話し。

 

お後がよろしいようで。