さとやんですニコニコ


それは何の変哲もない火曜日の朝のこと…


いつものようにコーヒーを
淹れる
カリッと焼き上がった
マーガリンしみしみの食パン

ここまではいつも通りの
「ええ朝」

二口ほど食べたときに気づく
「…ん?味ないやん」
もう一口食べてみても
やっぱりが味がない
コーヒーを飲んでも
ただの熱い液体…
そういえば…ニオイもしない

「どないなってんね〜ん!!」

その日から「食」という
最大のエンターテインメントが
音もなくログアウトした

食事は単なる栄養補給という
名の作業に成り果ててしまった

おいしいとか、まずいとか
以前の問題「無」なのだから…

それでも私は余程
食いしん坊バンザイなのか
味覚がなくても食欲が落ちる
ことなく自分の好きな
ものをいつも通り食べる

今なら大嫌いなキュウリも
バリバリ食べれるかも!?


そんな時「一緒に食べよ!」
知り合いが差し出してくれた
鮮やかな緑色したヨモギ餅




久しい友人じゃないので
「味覚ないからええわ」とは
言えず1つ頂くことにした

吸い付くような質感
口の中で解けるように広がる
優しく儚い口当たり

それでも鼻に抜けるような
ヨモギの香りも心地よい甘さ
も塩味もすべてが「無」に
書き換えられている

ヨモギ餅を飲み込みながら
「柔らかくて美味しいね〜」
そう言って美味しそうに
食べるフリをする

味覚がないというのは
食事の楽しみ奪われて
想像以上にストレスも大きい


3日ほど過ぎた頃
味のない世界の歩き方も
覚え始めた
味覚がない代わりに記憶を
頼りに食べる日々

「なってしもたもんは
しゃあない!」


娘ムコが私を振り返り
「確実にコロナですね!」と
明るく言う
え?私コロナやったん!?


せっせと亜鉛を飲んで
1週間ほど過ぎたある日
何の期待もせずに口にした
味噌汁
舌の上で味噌の甘さと旨味が
微かに点滅した


お〜!こ、これは!
砂漠で一滴の水を
見つけたような感動!
食事が作業から
喜びに戻る瞬間

「おいしい」は生きる力
そのものやったんやと
よ〜くわかった

今は少しずつ味覚も回復し
特別なものじゃない
炊きたての白米の甘さが
「美味いやないか〜い!」と
思える

食事が「おいしい」と感じられることが、これほど贅沢で
鮮やかなことだったとは!
味覚を無くしてみて
良かったとさえ思える

お腹いっぱいは
幸せいっぱいやなあ


今日の皆さまの食卓が
心からホッとできる時間に
なりますように照れ