まだ塾を始めたばかりのころ、僕は「学校の授業よりも分かりやすい授業を提供」することが塾の役割だと思っていました。
おそらく世の中の大半の人もそう考えていると思います。学校の授業よりも分かりやすい授業を受けるから、塾へ行けば成績が上がるのだと。
だから、どうやって教えたら理解しやすいのかをずっと考えていた時期があります。
しかし数年も経つと、それでは「一部のできる子たち(上位3割から4割)しか成績が上がらない」ことに気がつきました。
なぜ一部の子たちしか成績が上がらないのでしょうか。
それは「伸びない子」たちは「授業を聞く力」とか「問題集のやり方」が身についていないからです。
テスト期間中に塾生の様子を見ていると、ときどき教科書で調べながら問題を解いている子を見かけます。
教科書で調べながら問題を解いてはダメだと伝えても、
「だって学校の先生が教科書で調べながらやれって言ったもん。」
と言われることもあります。
本当に困ったものです。
子供たちに対して、ではありません。
学校の先生に対してです。
こんなことを教えたら、できない子たちは二度と立ち上がれなくなります。
確かに、教科書で調べながら問題を解いた場合には、
①勉強が苦手な子供たちにとっては、自力だと1割も解けない問題集を7割以上○にできるからうれしい。
②だから勉強が嫌いな子たちも少しずつ学習意欲が向上し、楽しく勉強できるようになる(かもしれない)。
などのメリットはあるでしょう。
だから、教師としてもこのような指導をするのだと思います。
しかし、勉強が苦手な子たちにとって、「調べ学習」は弊害しかありません。
【弊害①】
数学で言えば、公式を「調べて」しまえば問題を解けるから、公式を覚える必要性がなくなってしまいます。
脳は覚える必要性を感じない情報を記憶してくれないから、ずっと公式や知識を覚えられなくなります。
だから、普段の宿題も毎回調べ学習をしてしまう子たちは、中3になっても全く公式が頭に入ってないとか、県名・国名をまったく覚えてないという状態になるのです。
カンニングをする子や宿題の答えを丸写して提出する子がどんどん学力低下していくのも同じ理由です。
【弊害②】
教科書で調べて問題集を「ある程度」解けるようになってしまうと、授業を聞いていなくてもあとで調べながらやれば大丈夫という感覚を身につけてしまいます。
すると、「先生の話を聞きながら理解したり、聞きながら覚えたりする力(=授業を聞く力)」がいつまでたっても身につきません。
授業を聞く力がないと、習った知識が蓄積されず、問題集を自力ではほとんど解けないため「調べ学習」やテスト直前の丸暗記に頼ります。
そして調べ学習や丸暗記に頼るから授業を聞く力が身につきません…以下ループ
ぱっと見では分からないちょっとした勉強のやり方の差異が、取り返しがつかないほどの差を生じさせます。
テスト勉強会というのは、それを僕が確認する機会でもあります。
思うように成績が上がらない人や一生懸命やっているはずなのに全く結果がでない人は是非テスト勉強会に参加してみましょう。
成績が激変するかもしれませんよ。