「記載事項」

❶ 山梨県議会R2年11月議会に上程された、県有地(県有林)等に対する議案について

❷ 山梨県内全ての県有地(県有林)山中湖村県有地等の借地契約等についての確認事項

❸ 委員会等に於ける議員発言に係る、議会と議員の責任について

  本頁では以下の青色着色❹項目を記載

❹ 山梨県議会R3年2月議会に上程された賛否経緯について

 賛否経緯の詳細を 

(1)R3年2月議会に於いて上程の、2億円を超える弁護士費用の多寡について

   ①何故現在の弁護士に委任契約したのか?

   ②何故弁護士費用が2億円を超えるのか、不適切では無いのか?

   ③弁護士費用の減額交渉などの努力は成されないのか?

(2)2月議会に於いての弁護士費用全体について

(3)2月議会での弁護士費用2億円余の71万への減額修正について

  <2億円余の減額処置の経緯>

(4)2月議会での「弁護士費用の債務負担行為」への反対表明の経緯について

(5)2月議会での「山梨県顧問弁護士の選任等に関する条例制定」と「付帯決議」の賛否について

❺ 山梨県議会R3年6月議会に上程された賛否経緯について

 賛否経緯の詳細を 

(1)R36月議会での弁護士費用143百万円余の着手金について

(2)6月議会での、第77号「山中湖畔県有地に係る損害賠償金等の一部の支払いに係る反訴提起」について

(3)R3(2021)217日ブログ記載「県有地問題 発言を含めた議会と議員の責任(所感まとめ)」の総括と、議決に関する整合性の確認

(4)6月議会での新たな「調査機関設置」の賛否について

(5)6月議会 総務委員会質問『弁護士委任契約に対する「住民監査請求書」』について

❻ 山梨県 監査委員事務局のR3年8月、監査結果について

❼「県民のための県有地の貸付及び賃料に関する特別委員会」における議論内容について

❽ 2022年12月臨時会 第235号議案及び第236号議案「訴えの提起及び訴訟関係経費に係る補正予算案」質疑について

❾ 2023年8月4日、東京高裁判決。事実上の結審について

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 2020R2)年11月議会から続いた和解即決では無く、議会の継続審査で熟議すべきとの議決を経た後。R32月議会での、そもそも論での県有地問題に係る弁護士選定について。続いて提起された、弁護士費用に関する調査費用の多寡、弁護士費用全体、債務負担行為について。その可決までの賛否についてを時系列で述べていきます。

 一連の採決までの経緯に付き、専門的な行政用語を出来るだけ平易に記し、正しく解り易く項目別に示すことに留意し記載していきます。拘泥せず公平性を持ち、県民福祉向上に資する政策、施策を最優先に議決することを、心掛けて参りました。

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山梨県議会R32月議会に上程された賛否経緯について-

 賛否経緯の詳細を 

(1)R3年2月議会に於いて上程の、2億円を超える弁護士費用の多寡について 

 始めに弁護士費用についての背景と共に、議会から提起された弁護士費用の異例な高さについての疑問点を順次整理していく。

〇 始めに確認として、自治体の住民訴訟等の弁護士費用についての対応は、大方の場合は年間契約での顧問弁護士料で対応しています。また住民訴訟などには、年額契約金額内での対応が通例です。しかし山梨県R3年2月度の補正予算で支出された弁護士費用としての費目、弁護に係る訴訟物調査費用6,600万円については、県有地特別委員会に於いて知事部局や総務部長から答弁が有りましたが、全国の地方自治体での執行状況に於いても、県の支払う費用として異例な高額さであります。

〇更に、この時の専決で上がった2億円余の弁護士費用も、時間換算で時給5万円相当での依頼や、また訴訟で勝利した場合の、成功報酬が支払われることもまた、同じく殆ど先例がなく、何より山梨県においては異例であり、行政支出の額としても、特別委員会での県側答弁でも初の試みであることと、同じくありました。

〇 この様な諸経費含む高額での弁護士委任について、此処までの弁護士選定、契約など、特別委員会での県側から述べられている主要な項目に対する答弁要旨は、以下の通りを確認しました。(答弁内容を簡明に「要旨」のみを以下に記載)

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①何故現在の弁護士に委任契約するのか?

「答弁要旨」様々な状況や現況の事件の内容、弁護士の能力の高さの比較などを考慮、勘案し、多角的に検討され判断された結果、当該県外の弁護士に随意契約したい。とのこと。

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②何故弁護士費用が2億円を超えるのか、不適切では無いのか?

「答弁要旨」当該企業に対して山梨県が主張している、違法無効の根拠である事象に対する、過去に遡る損害賠償請求額の高額さに見合う弁護士費用としてであれば、2億円は必要経費として妥当であると判断されたため。(算定方法も後に、旧日弁連の報酬等基準に規定する計算方法が示された)とのこと。

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③弁護士費用の減額交渉などの努力は成されないのか?

「答弁要旨」弁護士との契約において、県は交渉により、勝訴の場合において成功報酬額を支払うことで、敗訴の場合の支払いはしないことを前提になど、交渉により弁護士費用自体も(弁護士費用も後に、旧日弁連の弁護士報酬基準より安価に設定された)安価に設定出来る様にしたい。と回答。

 

 賛否経緯の詳細を 

(2)2月議会に於いての弁護士費用全体について

〇 先例もない高額な金額である6,600万円での調査費支出や、2億円余の弁護士費用については、県民からの税金で有ること。県内の今後の全ての住民訴訟に於いても、同じ様な費用弁済で対応すると成れば、毎回の弁護士費用金額の多寡は幾らになるのかも不明で、損害賠償等の金額に応じて高額になることが予想されました。

〇 県側の説明では、今回の山中湖県有地の係争事件について限っては、損害賠償額が高額であるので、請求額に見合う妥当な金額であること、他の県有地については、個々のケースで新たに算定していく旨の答弁で説明がされました。

〇 議会の議決権に於いて、執行部から議会に成される提案理由が議会として相応であると認められれば、あらゆる経費としての支出は、例え高額であっても議決へと至るものであります。このため議会に対し説明が求められている2月議会に於いては、知事側は執行権と執行権者の責任の上からも、本案件についての詳細説明を、県民と県民の代表である議会へ行う責任が存在しました。

〇昨年の11月議会から続く、その後の専決処分は、県民からご付託を頂いている議決権を有する議会へ、繰り返しますが丁寧な説明が必要でした。R2年度補正予算案での弁護士費用の調査費としても、議会全体に対し事前説明が少なく、他会計費目から6、600万円が流用支出されました。

〇 議会から指摘を受けた後、この後に長崎幸太郎山梨県知事から説明したい旨が議会に有り、議会として議長の下で全員協議会が開催され、知事自ら全員協議会に於いて説明不足について陳謝されて、詳細な説明が成されたことから、既に専決処分されていた6,600万円余の調査費は、この時の全員協議会で反対意見も出されず、出席全議員が承認することとなりました。

〇 この後、県が選任した弁護士への6,600万円調査費の流用支出に対する「専決処分」は、この時点の全員協議会を経て認められ決定されましたが、その後の2月議会では、もう一つの案件である、訴訟に対する反訴に係る弁護士費用着手金の2億円余と債務負担行為の設定は、否決されたことは周知の通りであります。

〇 しかしその後に於いて更に会期延長により、弁護士費用については、後に知事から提出された「再議」の修正案で2億円余から71万円に減額修正され、専決処分の6,600万円余と共に、議会として共産党を除く全会一致で了承議決されたのが今回の経緯であります。このことから議会の意思として、弁護士費用の多寡は別にして、弁護士費用の必要性はこの時点で「一部であれ認められたもの」として、議会で決せられました。

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以下の添付資料が【 提出され否決された「第2款総務費 第1項 総務管理費、1目 弁護士報酬 裁判管理費等」所謂「弁護士費用2億円余」2億1千496万円

弁護士費用2億

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 賛否経緯の詳細を 

(3)2月議会での弁護士費用2億円余の71万への減額修正について

〇 山梨県は、この2月議会の時点に於いては、当該企業から未だ訴えられておらず、訴えられることを想定し、先に訴訟費用の着手金として2億円余を積み上げておきたいと考えていました。しかし「訴訟が発生していない状況で、反訴を想定し県税を使い、多額の着手金を先付けすること」は、常識の範囲で考えても、議会は元より県民からも、訝しげに感じられてしまうことで有ります。

〇 この様な行為での2億円余については「反対」しました。しかし先ず議会は、今後の貸付料改定交渉の問題を裁判で行うことと議決していることであり、その上で県の言う県民利益が向上するのであれば、裁判に係る弁護士費用の多寡は別にしても裁判を行う上では、弁護士費用の必要性は認められるもの、として考えられました。

〇 更に、県の主張する「県有地占有の違法無効」、当該企業の主張する「契約書内容の賃貸借契約履行」の主張については裁判が進んでいる以上、双方の主張の裁定を司法に委ねることが必要であります。

〇 そして行政として県が行う裁判である以上は、県民の財産である県有地問題の裁判遂行上に必要な弁護人選定や、弁護士の契約締結について、県は当然として、県議会も県民への責任として、遅延や遺漏無く進められる体制にしていく義務があります。

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<2億円余の減額処置経緯>

〇 次にこの2億円が、71万円に減額修正されたことに付いては、上段の理由の経緯があり、2億円の弁護士費用が高いから、安くした修正案議決ではありません。先の通り、この2月24日の議会閉会時点に於いて、相手方から訴えの提起が成されていなかったことであり、提訴されていないことで有る以上は訴訟物自体が無く、単純にこの時点での諸経費71万円しか「必要が無かった」ことが減額された主な理由です。

〇 巷間言われているような、この後の弁護士費用の‟全てを安くするため″の議決では無く、反対の主な理由として、実際には「訴訟物自体無い状況では、弁護士着手金費用の2億円余は、この時点では必要無い」理由での減額修正案が執行部から提示され、議会でのコンセンサスが諮られたものです。

〇 議会としてや、執行部としても、2月議会閉会日前、もっと言えば議決前に訴訟提起が相手方から行われていたのであれば、金額の多寡は別にしても、県の求める必要な訴訟費用の着手金が必要なのは事実であることから、弁護士への「着手金の2億円がこの時点で必要が無かった理由で減額」は、双方が理解している筈だと考えます。

〇 後述しますが、この後の2月議会閉会後、6月議会前のR345に、相手方企業から訴状が提出されたことで、上記の時点で不必要だった弁護士着手金が、事実上必要となりました。

〇 執行部は専決処分について、今までの議会への一連の修正案の議決の流れや全員協議会での承認、2月議会の再議での議案の議決という事実から、先例を踏襲し『議会の意思として「必要性は認められた」』と解される事実により、従前認められていることは、今回も当然に執行部は、議会が専決処分を認めるものと解釈していたと考えられます。

〇 また訴えの提起で「反訴  [6]」する間の日程の短さは、議会が招集出来ない物理的な理由が明確であり、2月議会での専決処分6,600万円余は、訴訟代理人弁護士に原案通り既に支払われているという経過と結果から執行部は、今議会での同訴訟代理人弁護士費用着手金の14千万円余を専決処分しても反対は無く、議会の承認は通常のルーティンで進められていくものと、理解していたと考えられます。

〇 しかしながら、先例を覆してなお議会からは様々に反対の意見も多くの議員から出されたことで、何れにしても6月議会においては、弁護士費用が正しい支出である「支出するための理由立て」について、今後に疑念が湧かないように再度説明しておくことが、執行部側として「正しい理由を述べ、最終的な理解と決着を図るため」には必要なことと思えました。

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 [6] 反訴  原告が被告を訴えている裁判を「本訴」、被告が原告を訴え返した裁判を「反訴」と言います。反訴した被告を「反訴原告」、反訴された原告を「反訴被告」と言います。つまり、反訴が行われたら本訴と同じ裁判官が同時に本訴と反訴を審理します。本訴で主張された内容や提出された証拠は、反訴の手続き内でも共通の主張や証拠とされ、判決も同時に言い渡されます。反訴が認められるのは、関連する訴訟を同時に処理することによって、無駄な時間や労力を削減するためです。反訴できなかったら、被告は別に同じような訴訟を提起して、あらためて似たような証拠を提出し、別の裁判官が別の機会に審理しなければなりません。反訴すれば、本訴と反訴を一括して処理できるので、当事者にとっても裁判所にとっても手間と時間を削減できて、メリットが大きくなります。この様な理由から本件裁判は、改めて別訴を起こすことより、反訴が妥当だと考えられます。

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 賛否経緯の詳細を 

 (4)2月議会での「弁護士費用の債務負担行為」への反対表明の経緯について 

〇 一旦、少し戻って、2月議会に提出された「弁護士費用の債務負担行為 [7] 」についての賛否の経緯を述べていきたいと思います。この所謂「債務負担行為の議案」には「反対を表明」しました。

〇 先ず債務負担行為とは、地方自治体の会計である予算、決算において、一会計年度では収まらず、1年以上で多年度会計に渡って予算を措置しなければならないものであり、多年度に渡る場合には「債務負担行為」の設定をしなければなりません。

債務負担行為の詳細とは長期間にわたる土地購入等の契約や償還金などのように、将来の財政負担が具体的に定まっているものと、損失補償や債務保証などのようにあらかじめ限度額を定め必要が生じた場合にその限度額の範囲内で負担することと決められております。

〇 本件の弁護士費用については、当然に訴訟費用は多年度に渡ることが予想されています。従って弁護士費用についても債務負担行為が設定されます。しかし議会に提出された債務負担行為には、 「期間」は今年から終結の日までとは「無期限」であり、「限度額」は裁判に掛る実費と、勝訴した時の成功報酬の掛る分というのでは「成り行き」であり、瑕疵があるとの指摘が否めない内容で有りました。

〇 以上の理由から、この執行部からの理由立てや執行部説明により、賛成することは出来ませんでした。以下がこの時に提案された、最初の債務負担行為の議案書内容で有ります。

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 [7] 債務負担行為  歳出予算の金額、継続費の総額又は繰越明許費の金額に含まれている ものを除き、将来にわたる債務を負担する行為を指す。債務負担行為は、必ずしも次年度以降に 限らず現年度であっても、歳出予算等に含まれているもの以外に債務を負担する場合も含まれる。 また、債務負担行為として予算で定めた案件については、義務費として歳入歳出予算に計上されることとなる。 分かりやすく言うと、将来に発生する見込みはあるけれど、今年中には支払う予定がない費用のことです。

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以下の添付資料が【 第2款総務費 第2項 企画費「債務負担行為(修正前原案)」】

【 第2款総務費 第2項 企画費「債務負担行為(修正前原案)」】

 

〇 上記添付資料の通りの「債務負担行為(修正前原案)」内容で有ったならば、先ずもって県民に対し、一つ目の課題は「債務負担行為は未来に渡る債務の設定行為であり、議員任期4年しかない責任範囲を、先が見えないほど大幅に超えること」には、慎重に対処しなければなりません。執行部側からは丁寧な説明の上に、更に設定には幾つもの検討が必要なことであります。

〇 必要である弁護士費用の安い高いはさておいて、二つ目の課題として「県が必要と考え、今後継続的に長期間支出されていく、訴訟に係る弁護士費用についての支払いの根拠と、法的裏付けの明記について」は、山梨県が今後も県民より疑義を呈せられることの無い様に、債務負担行為自体に条件等、詳細で明記させることが必須だと考えられました。

〇 上記の二つの課題に拠り、上程された債務負担行為の内容は、賛成できない内容であったため、2億円も同じ款の中に在り、債務負担行為と深く関連した内容であることから、反対であるというのが「反対の経緯」であります。

〇 この債務負担行為には議会としても、反対多数の採決が成され、議決されましたが、後に知事から提出された「再議  [8]」では、執行部より以下の通り、修正された「債務負担行為」が再び「修正案」として提出されました。これには「事項」が更に細分され明確化され、「期間」には「期限が明記」され、「限度額」にも訴訟代理委任に伴う実費も「明文化」されたことで(以下に添付しました『第2款 総務費 第2項 企画費「債務負担行為(修正後案)」』を参照願います)、弁護士費用に関する「債務負担行為」に関して議会として「賛成多数」で議決され、以上の明確な理由が示されたことで「修正案には賛成」しました。

〇 当初提出の債務負担行為の内容では、抜けや齟齬が見て取れることや、この様な文言では後々に問題提起される恐れも有りました。修正された新たな債務負担行為の提出により、支出に関する明確なルールが決められ、明文化されたことで、今後の他県有地でも同様の措置での支出のための明確化として、一定の方向性も確認できました。

〇 以下添付の「第2款 総務費 第2項 企画費「債務負担行為(修正後案)」の傍線部抹消が修正前、その上に記入されたのが修正後の案。実際に見比べると、賛否の正統性が一目で確認できるものと考えます。しかし本来であれば、県民と共に、県民の代表である県議会に対し、今後の未来に渡って債務を負担させる内容であることから、以下の添付資料、修正後の案に示された「理由立て」を、県民、議会に対して当初から説明する必要があっただろうと考えております。

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以下の添付資料が【 第2款総務費 第2項 企画費「債務負担行為(修正後案)」】

【 第2款総務費 第2項 企画費「債務負担行為(修正後案)」】

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〇 全てに於いての案件については、山梨県の意思決定の最高議決機関である議会の議決を経るという重みを考えなければならないことであります。県民から民意という信託を得ている住民に一番近い議会への丁寧な説明がなされなければ、議会議員は県民への詳細な説明が出来ず、県民は非常に分かり難いということになります。

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[8] 再議  再議、再議制度とは、首長が議会の議決や選挙について違法又は不当と認めた場合に、異議を述べ、再度の審議と議決等を要求するものである。また、再議は、首長制を採用する場合に特徴的な制度であり、議会の議決の効力を失わせるものであることから、長の拒否権と捉えることができる。地方自治法は、長に異義があれば発動できる一般的拒否権と、特別の要件の下で長に発動が義務付けられる特別拒否権について規定している。

一般的拒否権とは、「議会の議決について異議がある場合に、長は、その送付を受けた日から10日以内に理由を示して再議に付することができるとするものである(地方自治法176条1項)なぜ承服できないかもその箇所を指定して具体的に明らかにすることが必要である」

義務的再議である特別拒否権とは、第1に「議会において違法な議決や選挙があった場合であり、議会の議決や選挙が、その権限を超え、又は法令・会議規則に違反すると認めるとき」第2は「議会において義務費の削除・減額の議決があった場合であり、議会が、法令により負担する経費、法律の規定に基づき行政庁の職権により命ずる経費その他の自治体の義務に属する経費を削除・減額する議決をしたとき」第3は「議会において非常費の削除・減額の議決があった場合であり、議会が、非常災害による応急・復旧の施設のために必要な経費や感染症予防のために必要な経費を削除・減額する議決をしたとき長は、理由を示して再議に付さなければならない(同条1項2号)。しかし、長等の執行機関の側としては、再議によるのではなく、議会の議決に対して執行しないという形での異議を示す手段もありうる。

これに対する議会の対抗手段はなく、その責任を問おうとするならば不信任議決等によるほかないことになる。

 

 賛否経緯の詳細を 

 (5)2月議会での「山梨県顧問弁護士の選任等に関する条例制定」と「付帯決議」の賛否について

〇 議第三号「山梨県顧問弁護士の選任等に関する条例制定の件」についての賛否は、「採決の際に議場を出る」意思表示を示しました。この理由は地方議会にあっても、立法・行政・司法の三つの独立機関が相互に抑制しバランスを保つための「三権分立」の精神を斟酌すべきであり、もうひとつには熟議と慎重審議を勘案したことにあります。

〇 本条例案は議会として、当然に抑制やバランスに配慮しなければならない事案であること。三権分立の観点からも、議会から司法の領域に対し、拘束力を示す条例案の議決をする場合には、慎重の上にも慎重審議を行う必要性が有るものと考えられます。

〇 またもう一つには慎重審議に必要な条件である、熟議の必要性が考えられることであります。条例案が提出され、実際に条例案を確認できたのは3月16日、19日には議会に上程され、22日に採決される短さであったこと、施行も4月1日からと、施行実施までの日程もタイトでもあり、これでは急遽の感が否めず、熟議が必要との誹りも、議会内外や、法曹関係者から提起される等も、免れないことと考えられました。

〇 本来の条例案が起案され、議決され、施行されるまでのプロセスは、先ず条例制定等の特別委員会、或いは、現県有地特別委員会に上程、議決が諮られ、会派代表者会議を経て、後に議会運営委員会の承認を受ける。幾ら議会提案、発出の条例であったとしても、自治体で施行する以上、その後は行政側執行部の法制部署に確認を行うことが必要になります。

〇 当然それぞれのプロセス上では修正が有る筈です。修正が有る度に、特別委員会報告と議会運営委員会での承認を受けて、初めて原案がまとめられます。その後はパブリックコメントを県民から受け、その結果を待ち、全てのルーティンで完了をみたものが、初めて議会本会議に上程されます。

〇 本件条例案は先ず司法に対しての内容であることから、先の通り慎重審議が必要であり、次に、先に述べた必要なプロセスが不足しており、必要なそれぞれのプロセスも経ていなかったことから、条例は必要だが「賛否」はつけられない状況との判断ができました。

〇 また、先の三権分立の精神からして、行政側である山梨県が提訴されている裁判の進行に対し、本条例案を制定することによって、必要としている弁護士の委任を妨げると認められた場合には、行政権に抵触する恐れも排除できず、且つ地方自治体への執行権の侵害なども憂慮されることが想起もされます。やはり開かれた議会として、慎重に審議すべき案件だろうと考えられます。

〇 しかし、「過去の県が委託を決める弁護士や、弁護士事務所についての選定基準としては曖昧で明確な決まりごとは無く、明確な選定をするための条例、規定、綱領、要綱、方針等の無いなか、同一弁護士事務所に委託している」などの場合も、過去はあったことも確認されていました。

〇 上記のような決まりごとが明確で無いなかでは、弁護士選定の為の規定や条例を制定することには、大いに賛成であります。しかし先の理由により、今議決に於いて「弁護士を選定するための条例」そのものに反対を表明した場合、今後に於いての未来に、必要なプロセスを踏み、熟議され、新たな条例案等が提出された場合でも、今回反対の立場を選択した場合には、相応の理由立てが必要となります。

〇 また条例案内容に於いても、県内弁護士に限定となると、今後は仮に県産品の輸出や海外との関係性などで、国際上の係争事件の発生時や、大きな疑獄事件が発生した場合などでも、契約したいと考える、専門的エキスパートの県外、海外の弁護士がいる場合でも、委託できないことが想定されました。

〇 以上の考え方から「県民にとって条例案提出と、制定することは大いに賛成であるが、 必要なプロセスを経ずに、能く熟議せず議決することに反対 の立場を示し「賛成、反対討論での慎重審議を聞いて、深く熟慮した上で、どちらも妥当と判断し、議決は不能と考えられる」ため「採決の際に議場を出ること」と致しました。

 

以下の添付資料が【 廃案となった「山梨県顧問弁護士の選任等に関する条例制定(案)」内容】

【 廃案となった「山梨県顧問弁護士の選任等に関する条例制定(案)」内容】

 

〇 次に付帯決議については、今後正しく条例案が策定され、制定施行される場合に於いては、重要な付帯事項である為「最終的な再議の時点で賛成」しました。本会議での最初の議決賛否の時点では、議第三号「条例案」、議第四号「付帯決議」が同時採決だったため、双方のなかで第三号の賛否を優先して議場を出ましたが、後の再議の審議では、三号、四号が分けられた審議に変更されたため「2回目の再議での第三号の条例案は前回賛否態度と同じく議場を出、以下添付資料(原文)に記された第四号の付帯決議は賛成」と致しました。

 

以下の添付資料が【 廃案となった「山梨県顧問弁護士の選任等に関する条例に対する付帯決議(案)」内容】

【 廃案となった「山梨県顧問弁護士の選任等に関する条例に対する付帯決議(案)」内容】

 

〇 議会から提案された「山梨県顧問弁護士の選任等に関する条例制定の件」については2月議会にて廃案となりましたが、執行部より改めて「弁護士選任指針(訴訟代理人)」「弁護士選任指針(顧問)」の原案が、R3年3月31日に長崎幸太郎山梨県知事出席で開催された全員協議会に執行部から提出され、全員協議会の場で議会として承認され、以後の弁護士選定に係る基準が「弁護士選任指針」決定され、以下の指針で今後の選任が執行されることとなりました。

弁護士選任指針(顧問)  ※クリックで全文が確認できます

弁護士選任指針(訴訟代理人) ※クリックで全文が確認できます 

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