コウチ・ジョー -4ページ目

コウチ・ジョー

   ★★★★★★★★★

それからも俺たちは相変わらずの生活を送っていた。


俺は執筆した書籍の映画化が決まり、以前以上に忙しくなっていた。

こう君の方は、大学の授業が増えたようで、寝る間を惜しまず働いている。



ただ、前とは違うことがあった。


一週間に一度は必ず一緒にご飯を食べる。


これは、二人で決めたことだった。

何気ない時間だったが、その時間があるから、お互い頑張れた。



仕事も二人の関係も順調にいき、俺は充実した日々を過ごしていた。


だが、幸せは永くは続かない。

幸せは、ある手紙が家に届いたその日までだった。




ある朝起きると、いつものようにこう君はいなかった。


食卓の上には、俺の朝食とメモが置かれていた。

『今日の晩は一緒にごはん食べましょう!!』


こう君はやっぱり可愛い。


そう思いながら、メモの下に置かれた封筒を見た。

俺宛になっているが、差出人の名前は書かれていない。


俺は、封を開き手紙を読んだ。


『あなたの腕のぬくもりを今でも覚えています。

またあなたに会いたい』

二人で本音をぶつけ合ってから俺たちはゆっくりと関係を進めていった。

こう君のことはもちろん好きだ
しかし、ゆうとは別だ。

ゆうにはいつも甘えていた。
たくさん好きだと言ってもらい抱きしめてもらうのが好きだった。

こう君は毎日甘やかしたいと思う。
顔を真っ赤にして照れるこう君にずっと愛を囁き、俺の腕の中でも恥ずかしそうにぎこちなく抱き締め返してくるこう君をずっと閉じ込めていたいと思う。

俺はゆうに恋していた。

こう君はそれとは少し違う気がする




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「ぼ、僕を、ヒクッ、嫌いに、ヒクッ、ならないで」

こう君は、俺にしがみつきながら、泣きじゃくった。


こう君は、いつ自分が俺に見捨てられるか不安だったそうだ。
まだ学生で何の魅力もない自分が、俺に好かれるはずはないと思っていたらしい。


「僕、ヒクッ、勉強して、ヨシオさんに、ヒクッ、見合う男になりたくて」

俺はこう君を強く抱き締めた。


こんなに魅力があるこう君を見捨てるはずかない。
「お前こそ、俺を見捨てるなよ」
次の日の朝
こう君と顔を合わせたくて、早く起きた
俺がリビングに入るとこう君は驚いた顔をした。

俺はすぐに謝った。

おはよう、昨日はごめん

こう君は笑顔で、
なんのことですか?
さぁ、朝ご飯一緒に食べましょう

と言うと、俺の椅子を引き座らせてくれた。

よかった、こう君は怒ってないみたいだ。

俺は安堵したが、なぜかモヤモヤした気持ちが晴れなかった。


普通、謝った理由やご飯を食べなかった理由を聞いてくるんじゃないのか?

俺は疑問に思った

俺に興味がないとか…

焦った俺はこう君に素直に言った

こう君、なんで何も聞かないの?

するとこう君は、何も聞くことはないですよ。変だなヨシオさんは

とまた、笑顔で誤魔化そうした。

俺はそれが気に入らなかった。
本音をぶつけて欲しかった。

こう!無理して変な笑顔するのやめろ!
なんかあるなら言えよ!

感情的になってはいけないと思っていたが、抑えることができなかった。

こう君からは笑顔が消え、泣きそうなのを必死に堪えていた。

何をそんなに我慢してるんだ。

俺はこう君を優しく抱き締めた。

こう君もゆっくりと小さな力でそれに応えてくれた。

あぁ、そうか。
ゆうには甘えてばかりだったけど、こう君は甘やかしたくなる。こう君に甘えて欲しい。

俺は少しずつこう君に惹かれている。この気持ちはゆうとは別のところにある感情だ。



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こう君が何も言わず俺の部屋の前を通り、自分の部屋に入っていくのがわかった。


いつもだったら、部屋の前で「おやすみなさい」と声をかけていくのに・・・


毎回聞こえているが、いつも俺は照れくさくて返事ができなかった。

本当はそれを楽しみにしていたんだが・・・



晩御飯に手をつけていないのを見たんだろうな。



俺は自分の大人げなさに後悔していた。

もっとこう君にかまってもらいたい、なんて本当に子供じみてる。


まだ恋人になるには早すぎるとはいったものの、

こんなすれ違いの生活、俺には耐えられない。



だったらどうしたらいいんだろう。



俺がこう君に甘える?





とりあえず明日の朝に謝ろう。

バイトから帰ると朝書いて出たメモ用紙がゴミ箱に捨てられているのを見つけた。

どんなにバイトが大変で、勉強との両立に心が挫けそうになっても、この家に、ヨシオさんの元に帰ってこれることが僕の支えだ。

なのに…
ぐしゃぐしゃになったメモ用紙、手のつけられていないご飯。

涙がでそうだ

なんで?僕なんかしたかな?
ヨシオさんの嫌いなものだったのかな?

僕はヨシオさんに直接なにか言われるのが怖くて、部屋に逃げた。

僕は、ヨシオさんを大切にしたい。
守りたい。僕を好きになってほしい。だからどんなに大変でも必ず美味しいご飯を作っていようと思った
それが僕がここに置いてもらえる理由だから。でも、家事だけなんて誰でもできる。
いつか他の人にヨシオさんを獲られてしまうかもしれない。
毎日怖くて必死だ。
そんな僕を知られたくない。
強く賢い人になってヨシオさんを守れるようになりたい。
だから、だからヨシオさんもぅ少し待ってててよ。





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それから二人の生活が始まったのだが、

お互い顔を合わせることはほとんどなかった。



俺は、小説などの執筆に追われ、不規則な生活を送ることが多かった。

朝起きたら、こう君はいない。


彼は、朝早くから俺の分の朝食と昼食を作り、アルバイトに行く。

そして、知らない間に大学から帰ってきて夕食を作り、またバイトに行く。



夜は、俺が部屋から出てくる時間には、こう君は疲れて寝てしまっている。


そんなことがここ最近続いていた。



今日もまたテーブルの上に晩御飯とメモが置かれていた。

『チンして食べてください

バイト行ってきます』


俺はメモを丸めてゴミ箱に捨てた。



僕が守るって言ったのは何だったんだよ


しまったと思ったときには

ガチャリと扉が閉まる音が部屋に響いた

慌ててこう君のあと追いかけた。

玄関をでるとすぐ横でうずくまっているこう君がいた

なぜ、僕を追いかけてきてくれたんですか?

こう君は俯いたまま言った

わからない。体が勝手動いた。

俺は正直に言うと


僕は期待してもいいですか?
最初は兄の代わりでもいいです。でも少しずつ僕を見てくれませんか?

こう君は俺を見上げ切なそうに見つめてきた


ゆうのことをまだ忘れられない。俺の初恋だから…
でもこう君が居なくなるのも耐えられない。まだ、答えは出せないけど、期待して待って欲しい


うずくまったまま俺の話しを聞いていたこう君の手をとり、俺たちは、お互い無言で部屋に戻った

俺たちはゆっくりと進もう


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「一緒に住むって・・・そういうことじゃないんですか?」

こう君は少し悲しそうな顔をしていた。

俺たちの間に沈黙が続く。
こう君は俺からの返答に期待しているようだ。


こう君の気持ちは素直に嬉しかった。
だが、同時にゆうに申し訳ない気持ちになっていた。
ゆうを失って、こんなに早く恋人ができるのは・・・


「ごめん。
今はそんな気にはなれないんだ」

こう君はそれを聞いた途端、涙を流し始めた。
「わかりました」
そう言い、こう君は部屋から出ていった。
お金のことでこう君は少し渋っていたが、不動産も一緒に説得してくれたおかげで、部屋が決まった

いきなり始まった新生活。

新生活。
その響きだけで俺のカイワレは1センチ伸びた

初めての夜はこう君がすごいご馳走を作ってくれた。

あまりの美味しさに俺は始終ご機嫌だった。
こう君は本当に素敵だ。

俺はますますこう君に惹かれていった。

でもこんなに素敵なこう君に恋人がいないわけがない

俺はさりげなくこう君に恋人はいるのか聞いてみた。
すると意外な答えが返ってきた。



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