※妄想のお話です。
皆様はちゃんと山の日にエンドを持ってきているであろうに、私は山の日スタートという…
ごめんなさい…
ちゃんと後でイチャイチャさせるから許して…( ノД`)(笑)
アクトク不動産。
え、その名前大丈夫?みたいな名前だけど、実態は全く大丈夫じゃない会社だし、作者がセンスないから仕方ない。←
だってここは詐欺師がやってるような会社だから。
(因みにカズが潜入できたのは『道明寺』…ジュンの差し金だ。どうやったのかは怖くて聞けない。色んな意味で。)
ここはタカヤマの息がかかっている。
何故それがわかったかというと、被害者に会って直接話を聞いたからだ。
今を遡ること2ヶ月前。
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「…あなたがタカヤマ被害者の…?」
「…ふん、そうだよっ!何だよジロジロみやがって!若造が!!」
ひょろっとしていて、ヒビの入った細いメガネ。
クマもすごい。
ホームレスをしているのか、格好もかなり汚い。
本当はカフェに入るつもりだったけど急遽変更して公園にした。
それ位、男はみすぼらしい格好をしていた。
「若造とか関係ないでしょ。お互い被害者だよ。」
ギッ、とジュンの座ったブランコが揺れる。
その男はすぐ隣のベンチに座っているから、おいらは2人に向かい合うように立っている。
ジュンとおいらで聞き取り調査をしに来たのだ。
本当は翔ちゃんがおいらと行くって言ってたけど…カズに却下されてた。
おいらが選ばれた理由は、詐欺に遭った人間を目の当たりにする必要があるからだって。
「とにかく、教えてくれませんか?どういう被害にあったのか…。」
おいらが言うと、はぁ、と大きなため息の後に苦々しく男が口を開く。
「……あの野郎に、事業を立ち上げた資金を巻取られたんだよ!せっかく心機一転、上京してきたのに!!」
チッと舌打ちする男。
「具体的に言えよ、わかんねぇ。」
ジュンの言うことはもっともなんだけど、言い方がさぁ…!
「…不動産だよ。」
吐き捨てるようにその男が言う。
「不動産?」
「アイツが持ちかけた不動産売買の話に乗ったんだよ。新しいオフィスにって、儲け話に食い付いたら裏切られて…持ち金全部パア。何故だか詐欺の片棒担がされたことになって逮捕されて、家族も俺の元から去った。俺はアイツに全てを奪われたんだ!!」
…タカヤマという男は
翔ちゃん、マサキ、カズ、ジュンの家族だけじゃなく
色んな家族を奪ってるんだ。
それを目の前の男の格好でまざまざと実感する。
奪うのは金だけじゃない。
その人の…人生そのもの。
「額は?」
「三千万。親や学校だまくらかしたり家売ったりしてコツコツコツコツ貯めてきたっつぅのによぉ!」
突然ガンッて近くのごみ箱を蹴飛ばすからビクッと飛び上がる。
「ほんとかよ?そんな簡単に三千万も貯まるか普通?」
ジュンは一切動じない。流石だなぁ。。
「ふん、俺は『嘘をつかないこと』がモットーなんだ。元々教師だからな。」
「へーぇ、教師だったんだ?何教えてたの。つか何でそんな安泰の仕事辞めて開業なんてしたわけ?」
ジュンが意外そうに目を向ける。
「数学だよ。…まぁちょっと色々あってな。…コイツに似た生徒と、それを守ろうとした鳴海のせいで!!」
おいらに似た生徒…?
キッと睨まれるけど、それ完全に八つ当たりじゃん…。
絶対この人が悪いと思うんだけど…気のせい?
「ははっ、数学の教師が数字の計算で負けたんだ(笑)もう昔の見る影もなさそうだね、知んねーけど(笑)」
「ジュン!もう!!」
「うるせぇ!お前らに何がわかる!!…人は簡単に変わるわけねぇんだっつうの…クソ…大野と相葉と風間の野郎…っ」
大野、っておいらと同じ苗字だ。
まぁ結構多い苗字だけど、つい反応してしまう。
「で、詐欺の窓口は?タカヤマと直接だったの?」
自分で聞いといてジュンはもう興味無さそうだ。
「いや。タカヤマは最後の契約の時にトラブルがあって、その時現れた。そこで全てを指示してたのはそいつだってことを知ったんだよ。逮捕されたときサツにもタカヤマの仕業だろうって言われたしな。でも基本、俺の窓口になってたのは──」
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「──あ、ミヤタさん。」
ノックの音にカズが立ち上がる。
「お待たせしました。有明クンありがとう。もう下がって。」
カズはおいら達の相手をするように言われてたらしい。
ハイ、と不愛想に頭を軽く下げて出ていくカズに小さく一礼する。
カズはここでどういう役割を担ってるんだろう。
おいら達は全貌は知らされてない。
全て頭に入れておいたほうが良いタイプとそうではないタイプがいるらしい。
おいらとマサキは後者。
……あれ、これもしかして、バk……き、気の所為だよね?
「ではこちらの資料にサインを」
査定の契約書。
…本当に大丈夫なのかな?
だってこの家、当然おいら達の家じゃない。
本当にお城みたいなとこで、確かに波多野さんというお医者さんが住んでるところだけど…。
家の査定なんて、家主が違う人が簡単にできるわけがないよね?
「その前に…査定はいつ?」
マサキがペンをくるりと回し、コロンと落ちて慌てて拾い上げる。
ペン回し、苦手ならやらなきゃいいのに。
「それが…一か月先が最短となります。」
「えーっそれじゃ遅いよ!ねぇサ…ハニー?」
サトちゃんて言いかけてんじゃねぇか!!
しっかりしてくれよ先輩なんだから!!
「そうだね、ちょっと遅いかなぁ…僕達、新婚旅行行きたくて。海外のんびり回る予定なんです。」
「ね~!こんなんじゃ間に合わないよ…他のところで売る~?」
「そうだね、早くしないと旅行が遠のいちゃうし…」
あ、ミヤタさんの顔色が変わった。
そりゃそうだ。
自分が抱える特定の顧客にだけに流した嘘の噂が、他の不動産会社に知られたら「そんな話聞いたことがない」と言われてしまい調査が入ってしまう。
そうなれば言い訳なんてできるわけもなく、一刻も早く逃げるしかない。
「しょ、少々お待ちください!」
慌てて出て行って…またしばらくしてから戻ってきた。
「道明寺様のご紹介ということで、特別に!最優先とさせて頂きます。いつでも予定をつけられますが…いかがでしょうか?」
『はいかかった~。手は打ってある。明日の昼12時で。』
翔ちゃんの声にマサキと顔を見合わせて、にっこり笑った。
「「明日でお願いします。」」
*
ドン、と肩と肩がぶつかる。
のを、おいらは柱の陰から見ている。
白い壁と床で覆われた一階、吹き抜けのホールは天井が高い。
立派な病院だ。
「あ、すみませ…あ。」
「すみません!…あれ、渡海センセ!どうしたんですか?!」
とかいせんせい…?
マサキを見上げると、「実は今別件の、数年後に悪徳病院経営者を釣り上げる仕込みに…ちょっとね」とウィンク…?をされる。
医者になりきるとかそんなん普通出来なくない?
詐欺師ってなんでも出来ちゃうの??
けど、だからこそ今回波多野先生の家を使わせてもらおうということになったわけか、と一人納得する。
多分色んな名前を使い分けている皆は、それぞれこうやって死線をくぐってきたんだ。
その上での今回の任務。
それを…おいらがぶち壊しちゃいけない。
ぐっと拳に力が入る。
「お久しぶりです、『町医者』さん。今終わりっすか?」
本物の波多野先生は、町医者、と呼ばれているらしい。
大きな病院の医者なのに不思議だ。
「終わりですよー!夜勤疲れちゃった~!渡海先生何でうちの病院に?」
「まぁ色々勉強にね。そうだ、ちょっと付き合ってくださいよ。俺腹減ったんスけど。」
「えーっ!渡海先生からのお誘いなんてめちゃくちゃ珍しいじゃないですかぁ!行きましょー!!今恋人が海外に出張中で寂しくって!」
「相変わらず順調なんですね。ヨカッタですよ。」
「ありがとうございます!ねぇねぇ~何食べます?」
「卵かけご飯の上手い高級レストランで。」
「難しくないッ!?」
あれ、カズって生卵苦手なんじゃ…?
これも役作りのひとつなのだろうか。
卵かけご飯をわざわざ指定するほど好きな人間、と記憶にインプットされてしまえば、その男を説明する時にそればっかり思い出しちゃう…みたいな。
「今日は俺が車出しますよ。」
「え、こっちも車ですよ?」
「いいのよ。昼だけどアンタ飲むでしょ。俺飲まないんで家までは送るよ。明日はタクってここに来てもらうことになるけど。」
「え、いーんですか?やったぁ~!」
「俺野暮用済ますんで五分後に駐車場で。」
「あ!15時のおやつの時間は絶対甘いもの食べに行きますからねっ!」
カズが返事の代わりにひらりと片手を上げ、こちらに歩いてくる。
そしてすれ違い様に僅かに口を開く。
「とちんなよ。」
「そっちこそ。」
マサキと小さく会話して、カズは病棟の奥へと消えていった。
「…今ので鍵、受け取れたの?」
よく見てたけど全然わかんなかった。
最初に本物の波多野先生にぶつかった時に車のキーをスッた時も、今回マサキにぶつかって渡した時も。
「も~サトちゃんぼーっとしてぇ。ポッケのどっかに入ってるはずだよ!じゃ行こっか!」
どっかにって…
マサキもわかってないんじゃん!!
もしかしたらわかってくれた方もいるかもしれません。
ヒョロメガネ先生は過去に登場しています。
その話のあとがきにも書いた気がするけど、
もう一つ未消化のものが…というのはこれでした(微妙過ぎるエピソード)
波多野先生はラストホープ、相葉さんのドラマですね!(/・ω・)/