※妄想のお話です。
山の日なので浮上してみました🗻♡
お久しぶりです!
一応書いてたよー!!妄想もしてたよー!!
甘々イチャイチャ話を書いてないです、ごめんね!
最初意味わからないと思いますが…無駄に続きます!!(笑)
「あのぉ、道明寺さんからの紹介で…」
「あぁ!波多野様と成瀬様ですね。どうぞこちらへ。お待ちしておりました。」
ニコニコと迎えるその笑顔は、事前情報があるから妙に胡散臭く感じるけど…
何も知らなければ愛想の良い優しそうなお兄さんだ。
「初めまして。私こういう者です。」
名刺を渡されて、慌てて自分のものを差し出す。
「…ミヤタ、さんですね。」
名刺に書かれた名前は事前に教わったものと一致する。
楕円の銀縁眼鏡の奥の目は常に半月だが、その裏が妙に怖くなってぷるりと身体を震わせる。
「ええ。ミヤタと申します。どうぞお掛けください。…いやぁ~道明寺さんから聞いてましたが素敵なご夫婦ですね。」
「あ、そんなことまで…もう。道明寺さんてば。」
「くふふ、いいじゃない。俺の大切なハニーを取られなくて安心するよ!正確にはまだ、だけどね!」
波多野くんがにっこり笑う。
た、大切なハニーって…
男同士なんてあんま快く受け入れられないだろうに、よく恥ずかしげもなくこんなこと言えるなぁ…。
ミヤタさんは奥の席に座る男に「お茶と例の資料を」と短く言い、おいら達を応接間に通した。
パーテーションで区切っただけのとこじゃなくて、声とか漏れなさそうなしっかりしたお部屋。
多分…『そういう客』専用。
「で…早速ですが〇×区の物件というのは?」
早く見たくてそわそわしてるのを我慢してる、って直感的に思う。
おいらこういうのって鈍い方だけど、何となく。
「ええ。僕たちが新婚で愛の巣にしようとしてたところが…ねぇハニー?」
「…はい。…すっごくいい家だと思ったのに…まさか大型カジノの建設予定があるなんて。」
〇×区は比較的お金持ちの多い地域。
カジノは賛否両論分かれるだろうけど事業としてはかなり荒稼ぎ出来そうだ。
「そうなんですよ~。うちとしてはね、一日でも早く大切なお客様へお知らせしなくてはと思いまして。引っ越し等簡単にできることではありませんからねぇ。」
「そうですね。荷物を運び出したり大変ですから。うちのハニーこんな可愛いから、荷物なんて持たせらんないっ!」
「それより、そういうのって事前に教えてもらえることなんですか?ネットとか、噂とか…何も聞いてなかったんですけど。」
食い気味のおいらのセリフに「ちょっと!無視しないで!」と波多野くんがうるさいけど、無視してミヤタさんを見据える。
建設予定があるとか、実際決まれば当然、近隣住民に通達はあるだろう。
でも今回は『決定事項ではあるものの数年先に着工予定』、という『極秘情報』。
「まぁ、それは…道明寺様のご紹介ということで。」
声を小さくしてるけど、この部屋にはおいら達二人だ。
とそこへ、コンコンとノックの音が部屋に響く。
「お茶をお持ちしました。」
やる気のなさそうな声で男が顔を覗かせる。
こちらを一瞥し、見事なまでに無感情に小さく一礼。
乱暴とも丁寧とも言えないような置き方でコトリと三人分のお茶を置く。
また脇に挟んでいたクリアファイルもテーブルに置き、僅かに頭を下げて自席へ戻っていく。
「愛想なくてすみません、入ったばかりの新人なんです。」
「いえいえ。あ、お茶美味しい。」
白い陶器に入ったお茶は色鮮やかな黄緑色。
茶柱…なんてものは、ナシ。
まぁ、当然か。
『アイツ』が茶柱を見逃すとは思えない。
「とにかく…こちらの物件をお売り頂けるということですね。」
「はい、お願いします!」
「分かりました、ではこちらが契約書と査定の日程…」
「あ!ねぇ、いいの?あれ…ミヤタさんに話さなくて」
おいらの声に、「?…あぁ!」ってようやく思い出したような顔の羽多野くん。
え、これ演技?…なんだよね??
「どうかされましたか?」
「くふふ、忘れてた(笑)あのね、俺△△区に別荘があるの!それも一緒に査定に出してくれる?」
「…△△区、ですか?」
△△区はとにかく有名な日本随一のセレブタウン。
ぴくりとミヤタさんの眉毛が上がったのを、おいらは見逃さなかった。
「うん!俺のとーちゃんめーちゃ金持ちでさ。有名なお医者さんだから…いや俺も医者なんだけどね!
で、とーちゃん別荘とかいくつかあってね、その中の俺の名義のやつ一個手放そっかな~って。ほらここ!お城みたいでかっこいーでしょ?好きにしていいってとーちゃんも言ってたし!」
波多野くんがスマホの画面をミヤタさんに見せると、ごくりと喉仏が動く。
「ち、因みに…何故その物件もお売りになると?今回のカジノとは離れておりますが…」
「だってあそこ、欠陥工事って聞いたよ?大悦土木で建てたやつ。」
「…なるほど。よくご存じですね!」
「ふふん。俺情報通だからね!」
「流石は超一流の波多野様です。では少々お待ちくださいね。資料を追加でお持ちします。」
いそいそと出ていくミヤタさんの背中を見送り、ほうっと小さく息を吐く。
『大丈夫?』
耳の中で、低いけどあったかい声優しい声が突然響く。
カズ特製の最新式のイヤフォン(と呼んでいいのか最早わからない)は、透明のシールみたいなやつを耳の後ろに貼るだけでいいやつ。
こんなん普通に作れるものなの?
カズって何者?
「まっかせなさい!」
『お前じゃねーよ!智くん、平気?』
でも…ここでしゃべっていいの?
不安に思って波多野くん……いや、マサキを見ると、
「小声ならしゃべっていーよ!ちゃんとカズが盗聴器もカメラもないことしっかり確認済みだから!」
とにっこり笑われてほっと一息つく。
「大丈夫…緊張した…」
『良かった…。おいマサキ!お前がリードしろよ!智くんにフォローされてんじゃねぇ!』
「ごめんごめーん!サトちゃんと恋人で楽しくなっちゃって♬︎」
『役!な!!!』
「くふふ、ショウちゃんこわぁい!」
「マサキうるさい。」
突然さっきのお茶を運んでくれてた新人さん…
カズが入ってくる。
「一応防音だけど声は抑え目にしなさいよバカ。」
「カズ、あの人どんな感じ?」
おいらが聞くとカズは手をグーにして口の前にして震わせる。
「うふふふ…大歓喜よ。鴨がネギしょってやってきたって笑いが止まんないもん。こっちですけどね、それ見て笑い止まんなかったの。」
「やりぃ♪俺ら大悦土木のカモ、第一号?」
「そうよ。あの建設会社、昔はすごい小さいとこだったけど口コミでどんどん大きくなった信頼あるとこじゃん。家もしっかりしてるし、クレームなんてまずなさそうだし。
だから売りに出してくるようなバカそうそう居なくてね。この案件、喉から手が出るほど欲しいんじゃない?」
欠陥工事だという情報は、ミヤタと名乗る男が仲間と結託して流した嘘情報だ。
ネットなどで拡散するのは大悦土木から業務妨害として訴えられる可能性がある。
そうなると簡単に流せる話ではない。
なのに何故それが可能だったかっていうと…
『ククク、俺んとこにも情報入ったよ。順調じゃん。本当の〝新入りクン〟。』
ジュンの声が突然聞こえる。
本当の新入りクンってのは、間違いなくおいらのことだ。
「あれ、ジュン今いいの?」
潜入中だと思ってたから驚いた。
『まぁね。相手シャワー中だからさ。スマホのディスプレイにミヤタって名前で電話来てたの見て隙見て音声繋いだって訳よ。』
しゃ、シャワー中…って。
……ハニートラップ担当……マジで?
「ねーねーどうだった?」
ど、どうって!なんの質問だよ!!
『マサキ!お前何聞いてんだよ!』
ほら翔ちゃんも焦ってるじゃん!!
『んーまぁ…下手ではないかな。でも俺的には小さい。もっとデカくねぇと俺レベルは満足出来ないかなー。』
ななななな何の話デスカ!?
『…!智くんのはダメだからな!!』
「しょ、翔ちゃん何言ってんの!?」
『え?サトシデカいの?マジ?でも俺サトシにならツッこみたいな、なんかかわいーし。』
つっk…!!!
『ジュンてめぇ何言ってんだよ!!仕事しろ仕事!!!!』
「いやショウさんあんたこそよ。仕事してんでしょうね?俺がハッキングしたミヤタのPCで閲覧出来るサイトの画像差し替えとか資産家のデータ書換終わってますよね?」
『たりめーだろ、智くんを危険な目に遭わせてんだから俺に抜かりは億が一にもない。何十回もシミュレーション重ねてありとあらゆる危険回避パターンも用意してる。なめんな。』
しょ、翔ちゃん…
かっこいい……。✨
「え、待って俺は?俺もサトちゃんと一緒に潜入してるけど??もしもーし?え、サトちゃんもぼけーっとしてるし何これ?ショウちゃん?あれ、接触不良?」
トントンと人差し指でワイヤレスの最新のイヤフォンを叩くマサキと、「壊れんだろがバカ!」と怒るカズ。
ここが敵の詐欺師の会社の一角だなんて嘘みたいだ。
おいら達は今、詐欺師相手に詐欺をしている。
五人でチームを組んでるけど、その目的はただ一つ。
タカヤマという詐欺師に仕返しする。ということ。
その人に騙された四人が復讐の為に集まってる。
ただ、おいらだけは…翔ちゃんの為。
ううん、違うな。
翔ちゃんの復讐の手伝いがしたいから…
……これもちょっと違う。
翔ちゃんと一緒にいたいから。
多分、そんだけの理由でこんな犯罪じみたことをしてる。
バカみたいだけど
正義感とか、同情とか、そんなんじゃなくてさ。
おいらはおいらの意思でこのメンバーに加わったんだ。
わかるかな?
まさかの約2年ぶりでビックリしました。
忘れた頃にやってくるって言ったでしょ?
私も忘れてるスタイルです(笑)