「遅いよ。」6/17(AN)3 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。

仕事前、一時停止しなかったバイクに突っ込まれました。
お互い全然大丈夫だったし警察すら呼ばない程度なんだけど、目に焼き付いた光景にメンタルがズタズタです…。(脆すぎる)
この話であんなシーン書いといてなんだけど、しょさんトラウマにもなるわな、そりゃな。と納得。(自分で自分にw)
今年厄年ではないけど厄祓い行こうかなヽ(;▽;)ノ

そして変なとこで切ってあるけどすみません。
次の話的にね、ちょっとね。(何)

あっTシャツ!
仕事終わりに2色買えたーーー!
あとは予約してきたーーーー!!!!(∩´∀`∩)♡















「他は…相葉ちゃんち泊まったんだよね?行ってみる?」


「いや…いい。」


だって、相葉ちゃんのお母さんには俺の姿で会ったけど…改めて会ったって、どんな顔をしていいのか分からない。


俺が大事な一人息子と付き合っていることは、孫が見れないことにイコールだ。


相葉ちゃんがこの先俺に飽きて女の子と付き合うなら話は別だけど。


とにかく、あの両親にとって俺という存在はあまり喜ばれるものではない。


自惚れるつもりは無いけど、相葉ちゃんの大切な9年間を奪ったのは紛れもなく俺だから…。



「じゃ、学校行こうか。」


風間は相変わらず楽しそうにその道を行く。


後に続く俺も、案外脚が軽い。


母校に帰る感覚だ。


夏休みを挟んでたんだから、通った回数なんて数えるほどなんだけど。


人目のつかない公園や、相葉ちゃんが小石を蹴って歩いた田んぼのあぜ道。


家まで迎えに来てくれて、3人で歩いた道。


全部全部、切なくも温かく胸を締付ける。


例えば、海風に晒されて錆びた自販機の凹み。


例えば、今にも倒れそうな斜めに生える大きな木。


例えば、いつも甲高く吠えまくるのに相葉ちゃんにだけはしっぽを振る憎たらしい藤井さんちの犬。


あの頃と変わっていない小さなものが、居なかったはずの俺をあの頃に帰してくれる。




「案外遠かったね、歳かなぁ。明日絶対筋肉痛だわ俺。」


風間がトントンとふくらはぎを叩く。


ダンサーとして最低限は鍛えてるから、俺は平気だけど…


憎まれ口のひとつも叩く暇がない。


「なつかし……。」


当たり前だけど、なんも変わってない。


言うなれば、校舎には大きく珠算部全国大会出場の垂れ幕がかかっている位かな。


…珠算部ってところがこの学校らしくて、思わず笑う。


この学校で色んなことがあった。


相葉ちゃんと風間と。


クラスメイトと。


ここが自分の母校、って思えるほどの濃厚な思い出を抱えている。



「ふふ、懐かしい人もでてきたよ。」


「え?」


職員用玄関口から出てきたのは…


「…鳴海…先生……!」


張り出されたテストを正式に採点してくれて、智を助けてくれた人。


二学期からの2週間、世話になった数学教師。


そして…櫻井さんの従兄。


「よっ、久しぶりだね風間。」


くしゃりと笑う顔は今思うとやっぱり櫻井さんに似てる。


家を出て以来、あの人と会うことはなかったけど。


「お久しぶりです~。校舎入れます?」


「どーぞ。テスト前で部活動も休みだし、誰もいないからご自由に。」


風間に続いてぺこりと頭を下げると、通り過ぎざまに鳴海先生がぽんと頭を撫でた。


「ゆっくりしておいで。」


「…っ」


多分、ここの生徒と勘違いしてる。


一応櫻井さんの連れとして図書室で会った事あるし、きっと見覚えがあるから卒業生だと思ったんだろう。


だけど…ようやく恩師に『自分』を見てもらえた気がして。


それだけのことで、泣きそうになった。




「ま、俺らといえば2-7の教室でしょう。」


風間がゆっくりと階段を上がっていく。


上履きなんてないから来客用のスリッパだ。


パコ、パコ、と間抜けな音が足下で響く。


「なぁ、いくら誰もいないからって部外者が教室なんて入っていいの?」


「ナルミンに許可もらったんだしいいでしょ。ニノは部外者じゃないし。それに…」


ガラリと引いた戸の方へ掌を向けられる。


「それに、何だよ。」


それに従わず訝しげに風間を見ると、


「いいか、らっ!」


「ぅわっ!」


教室へと背中を押され、体勢を崩しながら数歩踏み入れる。


「っぶねぇな何すん…!」


顔を上げたそこには。



「おかえり、カズ。」



居ないはずの、相葉ちゃんがいた。



驚いて振り返ると、風間はニッと笑う。


「…それにさ。


先客がいるから大丈夫なんじゃない?」



…ヤラレタ。


くそ。


あのドヤ顔が憎たらしい!


そうか、それで風間を見た時の鳴海先生のリアクションが薄かったのか…。


「ったく、何でいるのよ…。」


「そりゃ、カズの誕生日だからだよ!」


当たり前でしょ?と相葉ちゃんがヒマワリのような顔でにっこり笑う。


「だってお前、仕事…」


「嘘ついてごめんね!仕事は最近中断してる。将来のための、大事な準備をしてたの。何より大切なカズとの、思い出のこの場所で!」


相葉ちゃんが両手を広げる。


「準備…って…」


中断してまで、何をそんなすることがある?


たかだか誕生日じゃないか。


親ですらその日をきっと忘れて生きてるっていうのに。


くふふ…と相葉ちゃんが楽しそうに笑う。


そして、ぴょんと跳んで俺との距離を詰める。


まるで見えない境界線を飛び越えるかのように。



「俺、カズにプロポーズしようと思って!」



………はっ?


突然の予想外過ぎる宣言に、口が開いたまま塞がらない。


何?


プロポーズ…って何だっけ??


アホみたいなことが頭に浮かんでるのに、処理が追いつかず疑問は疑問のままふわふわと脳内を漂う。


そんな俺をお構い無しに、相葉ちゃんは目じりに皺を寄せて優しく俺に視線を合わす。



「カズ。


世界中の誰より大好きです!


俺と結婚してください!


そんで、一生一緒にいてくださいっ!!」