No control150《繋がる》 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。


さぁ、疑問だったところの答え合わせです。
奇しくも、150話目に100話のセリフを
引っ張ってくることになるとは。。笑
(過去のセリフ探すの毎回めっちゃ苦労する)









【Side 大野】


周りの隠せぬ好奇の視線は気になったものの、誰に何を聞かれるでもなく無事業務を終えた就業後。


俺はジムに行く予定だった岡田を無理矢理呼び出し、飲みに行くことにした。


聞きたいことは目白押しだ。


飲むなら、と連れてこられたのは、岡田がすすめてくれた居酒屋。


「らっしゃい!お、岡田さん!また来てくれたんだね!適当に座って!」


まだ早い時間だから、人も従業員も少ない。


店主が岡田を見て嬉しそうに声をかける。


開けているがもう内密に話をする必要はあまりないし、そもそもこういう開けた場所の方がワイワイと賑わって隣の会話も聞こえなかったりするものだ。


「ここ2回目って言ってなかった?」


「そうだよ。何で?」


席に着きながら首を傾げる。


「何で大将は岡田の名前知ってんの?」


「あー、おっちゃん?まぁ色々あってな。とりあえずビールでいいだろ?おっちゃん、全員生!」


「あいよー!」


岡田はあまり自分のことは語らない。


…って、俺が言うのもなんだけど。


「お前な、俺のジムを邪魔するとはいい身分だな?」


「悪かったって。どうしても聞きたかったんだ。昼休みに誘おうとしたら居ないから…。いつもボッチのくせに。」


「俺だって飯一緒に食いたい奴位いるわ!」


軽口を叩いて笑い合うのは、やっぱり居心地がいい。


「…で…この仏頂面何とかなんねーの?」


…隣の侑李は機嫌悪そうだけど。


そう、ずっと口を開かなかったけど、侑李も一緒だ。


お待ち!と置かれた3つのジョッキをそれぞれ持ち上げ、とりあえず乾杯する。


「ぷはー、うめぇー!」


「で、侑李はさっきから何でそんなに岡田を睨んでるの?」


「お二人めっちゃ仲良しじゃないですか。その打ち解けた雰囲気、ずるいですよ!」


またそんなこと?!


「つーか大野!俺に聞きたいことがあるっつってたくせに何でこいつも?」


「侑李にも改めて謝りたかったんだ。まぁ、別で話すつもりだったけど…」


岡田を誘った時にたまたま聞こえたらしく、「僕も連れてってください!!」と駆け寄ってきたのだ。

(結構離れてたのに何で聞こえたんだろ…俺の声小さい方だと思うんだけど…)


「こいつに聞かれていいんだな?…お前が俺に聞きたいことは何となくわかってるけど。」


迷い無く、こくりと頷く。


「いずれ…侑李にもちゃんと全てを説明したかったから。それに、櫻井さんがね、二人きりよりはマシだからって。」


櫻井さんは山際さんの所へ顔を出すから遅れるとのことだ。


課長のことかな。


もう課長は帰ってると思うけど、もしかしたら山際さんと櫻井さん、仲良くなったのかもしれない。


ニノと山際さんちょっと似てるしね。


「櫻井に信用されてねーな、俺!」


笑いながらぐいっとビールを喉に流し込む岡田は、見かけより酒に強くはないらしく案外ペースは遅い。


「あの人は心配性なんだよ。」


「ヤキモチ妬きすごそうだもんな。」


「まぁ、気持ちはわかりますけど。大野さん危機感ないから。」


侑李の一言に岡田も確かに、と笑って、不満げに口を尖らせると


「「そーゆーとこ!」」


と笑われた。


どーゆーとこだよ?!


「大野さん、二股でいいんで僕と一回お付き合いしてみません?それから判断して頂いても…」


「侑李、何言ってんの!」


「知念、お前…案外性格悪いな。」


岡田がククク…と肩で笑いながら取っ手ではなく本体を掴んだジョッキで侑李を指す。


「岡田さんよりマシですよぉ、全部知ってたのに僕使って偵察させるなんて!」


「知ってたっつってもざっくりだし、櫻井とのことは知らねーし。それにお前程の大野ガン見してる適任者、使わない手はないだろ(笑)」


「僕の純粋な恋心をなんだと思ってるんですか!」


「使えるなーって」


「酷いっ!大野さぁん(泣)慰めてくださぁい(泣)」


俺にしがみついてきた侑李の頭を撫でるべきか悩んでいると、突然誰かに後ろからベリッと剥がされる。



「知念さん、冗談が過ぎますよー。」



えっ?と顔を見上げると…ゼーハーしてる櫻井さんで。


「櫻井さん!いつの間に!」


「たった今です。走ってきて正解でした。」


荒い息を整えつつ侑李を手で追い払う仕草をして、席を立たせた瞬間自分が座る櫻井さん。


俺の隣に座ってた侑李は居場所を取られ呆然と立ち尽くしている。


「店の場所すぐわかった?」


「ええ、俺らの会社の近くですよここ。で、今はどこまで話したんですか?」


「あ、まだ何も…」


「まずはそれ知りたいよね?さ、知念さんも座って?」


にっこり促され俺の前の席に侑李が渋々座る。


ああ、更に不機嫌な顔になっちゃった…。


櫻井さんが「生で!」と奥の大将に叫び、すぐに運ばれてきたそれでまた乾杯する。




乾杯後、俺は一通り包み隠さず説明した。


鮫島役員…まぁくんといとこだってことも、含めて。


属性を偽るきっかけの事件から、計画の全貌まで。


侑李は驚きながら聞いてくれて…


岡田は。


案の定……



驚いてる様子じゃなくて。



「…岡田。お前、何で知ってたの?」


「は?オメガだってことか?だから残業中、お前がヒート起こしてる時覗いちまったって…」


酔いが回ってきたのだろうか、岡田はネクタイに指を入れ、シュルっとそれを引き抜く。


あちー、と言いながら第二ボタンまで外してワイシャツをバサバサと前後に揺らして風を送る。


「じゃなくて。全部の課に回って説明してくれたんだろ?『大野はある人間に対して罪の意識がある。だから人生かけてその人間のやりたかったことを守ろうとしてる。』って。」


え、と櫻井さんが驚いた声を上げる。


「……誰だよ、全員にぜってぇ言うなって言ったのに。」


「風の噂。」



──あ、大野さん、そういえばさっき…



中島がこっそり教えてくれたこと。


それは、朝の事件後、俺らがセキュリティセンターへ行ったり会議室で話したりしている間、岡田が一生懸命俺を許してやってくれと課を回っていたという事だった。


「…知ったのは本当に最近だよ。俺はお前がオメガだってことしか知らなかった。」


きっと、一気に色々動き出したから…


いざと言う時のために、彼が岡田に言ったんだろう。


岡田が何故それを知っていたのか。


考えれば、行き着いた答えはひとつ。


櫻井さんも勘づいてるのか、じっと岡田を見つめている。


いつだったか、ジムに通う理由を聞いた答え。


──大切な奴をいざと言う時に護れるように、かな。



「……岡田の『守りたい奴』ってさ……」


ガラッと引き戸の開く音。



「あ、いたー!やっほー!お待たせー!!」


「お疲れ様です。」



ニコニコ入ってきたのは、


「まぁくん…と、松潤!」


「さ、鮫島さん!お疲れ様です!」


侑李がピシッと立ち上がって挨拶する。


そりゃそうか、侑李にとっちゃまぁくんは、話す機会もないような偉い社長令息だ。


「遅れてごめんね准くん!松潤もたまたま会ったから連れてきちゃった!いいでしょ?皆お疲れ様ー!さっきはありがとね、えーと、知念くん…だよね!」


まぁくんの言葉に侑李と櫻井さんはぺこりと頭を下げ、岡田は「よっ」と片手を上げる。


岡田の守りたい人。


それは、



「……まぁくん、なんだね?」



岡田に目配せをする。


「まぁな。これからは同期じゃねぇ、親戚だ。よろしく!」


右手を差し出され、その手を取った。


岡田が前かがみになった時、開けられたワイシャツの隙間からキラリと小さな光が反射する。


首から下げられたチェーンの先につく宝石は



11月の誕生石、トパーズ──。



『俺の恋人の誕生日が、11月だからさ。』


いつかのまぁくんのセリフがリフレインした。