【Side 雅紀】
「マジっすか?!」
「ええっ?!おめでとうございます!!」
松潤と知念くんは目を丸くし、翔ちゃんは薄々勘づいてた感じで、智が苦笑する。
「全然気付かなかった、いつの間に?」
「お前がオメガだって知った後だよ。本社のジム通ってる時に意気投合してさ。まさかお前らが従兄弟だとは全く知らなかったけどな。」
こっちこそ、あの時はまさか准くんが智のオメガを知ってるとは夢に思わなかった。
会話の流れから同期だってことは聞いてたけど。。
「ジム!それで毎日せっせと通ってたのか。まぁくんと会ってるなんて思いもよらなかった。。」
「むふふ、俺鍛えてたの知らなかったのー?こう見えて結構筋肉あるんだよ♪」
むんっと力こぶを作ってみせる。
スーツの上からじゃわかんないだろうけどね!
鬼コーチのおかげでどんどん筋肉質になってるけど、俺の筋肉は脱がないと分かんない。
だから…准くんしか知らない!
きゃー、えっち♪
「確かに雅紀さんにジムのイメージ無かったです。」
翔ちゃんが笑う。
「えーほんと?でも智には、マッスル部作ろうと思うんだけど!って誘ったことあったじゃん!」
「あぁぁ~…ってわかんないよ!未だに!!何マッスル部って!」
「わかんない?マッスルって筋肉意味だよ?」
「わかってるよ馬鹿にすんなっ!」
え~じゃぁ何がわかんないわけ~?
「あ…ちょっとすみません。」
松潤がかかってきた電話に対応するため外へ出る。
ふふ、ニノかな?
突然誘っちゃって悪かったかも。
折角こっちまで来たから准くんと外でお昼一緒に食べたけど、「帰り大野に飯誘われた。多分お前の事聞かれるけどどうする?」ってメール入って。。
それならいっそ俺も行く!って向かおうとしたら松潤もいて、声掛けたんだ。
恋人を紹介するなら皆にしたかったからね。
「お、鮫島さん!生でいい?」
おっちゃんが俺を見つけて、嬉しそうに顔を綻ばせる。
「へへ、また来ちゃった!うん、生で!松潤も生でいいよね?」
電話しに行った松潤の分も勝手に頼む。
「まぁくんも大将と仲良しなんだね?」
「うん!つっても2回目なんだけどね!」
言わずもがな、1回目は准くんと来た。
あれ数ヶ月前かな?
何気なくこの店に入ったんだよね、そしたら色々あって…
懐かしいなぁ。
「いつから俺らがいとこだって知ってたの?」
隣のテーブルをくっつけ、俺が准くんの横に、松潤が俺の横に座るよう皆で席を用意する。
「本当に最近だよ。雅紀ずっと黙ってたよな?」
「そう、流石に付き合ってるからってペラペラ喋るのはしたくなくて…ずっと秘密にしてたの。でもね、ちょっと怖くなってきて。翔ちゃんと運命の番だって聞いて、ヒート起こっちゃって…。会社でもフェロモン増えちゃったらどうしようって…。
だから准くんに智の話をして、気をつけてもらおうと思ったの。そしたら、オメガだって既に知ってるんだもん!ビックリしちゃった。」
クスクス笑うと、智が眉を下げる。
「心配しすぎだよ。でも…ありがとう。岡田も。今日に関しては感謝してもしきれない。本当にありがと。」
「俺は別に。雅紀が『もしもの時は自分の名前を出して智を守って欲しい。バレてもいいから。』って言っててさ。」
「ちょ、准くん!」
智には内緒って言ったのに!!
「いいだろ、もうバレてんだよ。どうせ忠犬中島あたりが言ったんだろ。」
そうなの?
ぎく、って肩が揺れる智。
わかりやすい(笑)
「流石に雅紀の名前を出すのは俺が嫌だったから伏せたけど、雅紀の希望通り言わせてもらったよ。だから大野、俺は注文の多い恋人の言いつけを守ったまでだ。」
片眉あげて困った顔で俺を見る准くん。
ふふ、その顔よくされる。
「……それでも。2人には感謝してる。まぁくんのこと…俺のせいなのに。ありがとう。」
智が頭を下げる。
「…智のせいじゃない。おかげだよ!」
膝に置いてあった准くんの手に自分の手を重ね、顔を上げた智ににっこり笑いかける。
「オメガだってバレてなければ、准くんと恋愛になってなかった!他の役員にオメガだってバカにされてたのをたまたま見かけた准くんが、『俺はお前がオメガで安心してる。惚れた男がオメガで。お前のフェロモン俺だけのものにさせてくれないか。その代わり一生お前を守るから。』って……」
「わーわーわー!!!!」
准くんが大声であわあわと止めるのを見て、皆吹き出す。
「それでそのムキムキの体ですか。」
「お惚気ご馳走様で~す。」
「岡田ってそんなキャラ?」
翔ちゃんと知念くんと智がクスクス笑って、准くんが「うるせぇ!」と真っ赤になる。
くふふ…可愛いんだからうちの准ちゃん♡
「お待たせ!ごめんね、従業員まだ来てなくてさ!」
俺と松潤のビールが運ばれる。
「ううん、全然いいよー!」
おっちゃんと入れ替わりに松潤もちょうど来て、あの…と言いづらそうにする。
あ、ニノを呼んでいいか悩んでる?
「ニノ?呼ぼうよ!」
智も「丁度いいじゃん!」と笑顔になる。
「あの、でも…」
チラッと准くんと知念くんを見る。
「結構…内容的に……」
言い淀む松潤に、ああ、と翔ちゃんが頷く。
「ゲームの方か。」
「…はい。クリア特典映像の件で話したいって…」
あー、芸能人の映像って話?
確かにそれは話しづらいよね。
佐藤くん?だっけ?
進展があったのかな?
「聞かれてまずいなら俺ら席外すか?でも…手伝っていいんなら手伝うぞ?俺にとっても他人事じゃねぇから。」
准くんが、お前は?と知念くんの肩に手を置く。
「勿論僕も手伝いたいです!もう大野さんへの気持ち伝えたし、それなら…堂々とあなたの役に立ちたいですから!オメガ差別、僕だってなくしたい!!」
「岡田、侑李…。…ありがとう。嬉しい。」
キラキラした目で知念くんが智を見てる。
「僕に出来ることだったら、何だって!協力させてください!お願いします!!」
握手を求める知念くんに智が手を伸ばしかけたら、翔ちゃんがガシッとそれをとる。
「ありがとうございます知念さん!俺感動しました!俺の大野さんのために、ありがとうございます!!!大切な恋人が素敵な後輩に恵まれてて俺も嬉しいですよ!」
……ヒッ、翔ちゃんの目!怖!!怖すぎる!!!!
「いえいえ!付き合いは僕の方が長いので!!それに櫻井さんて出向1年間だけじゃないですか、僕が大野さんをサポートしますから安心してくださいね!!」
な、何か2人の腕に血管浮き出てるんだけど…
あれ、握手?
握手してるんだよね……?
「ありがとね!本当に心強いよ!」
あー智、気付いてない!
2人の後ろのこの燃え盛る炎!
バチバチ鳴る火花!!!
「…准くん、松潤、智の警戒続けてくれる?あの二人の戦い含め。」
「「…了解(です)。」」
3人でため息をついた。