『多分、受け入れてくれるから』…か。
これは…チャンスかも?
ニノには悪いが、その気持ち、利用させてもらおっかな?
携帯のロックを外す。
お気に入り登録されてるから上に出てくる、大野智の文字を躊躇いなくタップする。
電子的な呼び出し音が続く。
出ないかなぁ。あの人電話嫌いだからな。
そう思っていると、
「…はぁい。」
間の抜けたリーダーの声が鼓膜に響いた。
思わず笑ってしまう。
「…何電話してきて笑ってんだよ。」
「いや…ごめんごめん。ちょっと頼みたいことがあってさ。」
不機嫌そうな声に更に笑いながら説明する。
「ニノの好きな奴のこと、知ってる?」
「……何で?」
「その返しは知ってる感じだね。ニノに告白させてくんない?」
「は?何で??」
「何か、自信なくしてるからさ。きっと上手くいくのに、自分ではぜってぇ踏み出せないじゃん。」
「まぁ…わかるけど…でも、何で俺?」
「リーダーにしか出来ないことってあるよ。きっと。」
何とか説得して電話を切る。
リーダーとニノが身体の関係なのは、偶然聞こえてしまった会話で何となく知っていた。
翔くんと相葉ちゃんが番組で喧嘩キスした日とか、ニノが明らかに荒れて、リーダーに「限界だから今日来て」とか言ってたり。
2人で「お前手加減しろよ」「お前がもっかい言ったんじゃん」とコソコソ言ってたり。
あの2人に聞こえなければいいと思ってんのか、気付いてないのか、俺に対してはガード甘いんだよ。
少なくとも俺はリーダーのことをずっと見てきた。
だからリーダーの恋も、その近くのニノの恋も気付いたし、注意してたからなのか、色々聞こえてきて知ってしまった。
「まさか、2人が翔くんのこと好きになるとはねえ…」
ニノは結構翔くんに憧れてる部分があるからなぁ。
同じツッコミ担当として気の合う部分もあったのかな?
でも、同じ人を好きになったリーダーと、その傷を舐め合うなんて間違ってる。
俺はリーダーをその泥沼から引き上げてあげたかった。
きっとニノの片想いを知って、ニノに提案されたか何かで流されるままにそうなったんだと思ったから。
リーダーはそういう情みたいなのに弱い。と思う。
つまり、ニノの恋が実ってしまえば良いわけだ。
ハッパをかけるには、きっと別れを切り出す位しかなくて。
しかも自分は告白せずニノに譲ると思うんだよね。あの平和主義な性格的に。
そしたらリーダーは恐らく、好きな人と慰め合ってる人を同時に失うわけだから、辛く、寂しくなるに違いない。
そこで俺の出番。
最初はその寂しい気持ちの埋め合わせでいい。
それでも傍にいたら、きっと何かは変わるよね?
「…は?」
「だから、まつじゅんのおかげでカップルが2組も!」
「…えっと?組み合わせは?」
「ん?ニノと相葉ちゃん。俺と翔くん。」
「……え、ちょっと待って。ニノの好きな人って…」
「へ?相葉ちゃんだよ??」
「………相葉ちゃん?!」
「誰だと思ってたの?(笑)」
「だっ…て、え?あんなに普段冷たくてバカにしてんのに?」
「愛情の裏返しだよね~ニノは素直じゃないから!」
「…あぁ…へぇー…」
「うふふ!とにかく、ありがとね!」
下を向いて考える。
簡単な言葉なはずだけど脳内パンク状態、俺。
「潤くん?…悪いことは出来ないね、ドンマイ♡」
ニノが近付いてきてニヤニヤ笑って言った。
………まさか、ニノ、俺の気持ち気付いてた…?
いつからお前の思惑通りなんだよ?!
ふざっけんなこの策士ーーーー!!!!!
おしまい。