「大ちゃん、この後ちょっといい?」
「あ~……予定あるから飯には行けないんだけど…それでも大丈夫?」
「うん、ちょっと話したいだけ。俺も30分後に取材あるし。ここで少しだけならいい?」
「全然いいよ。」
撮影後、こっそり話しかけ、楽屋で2人きりになった。
「…で、どしたの?」
ニノの様子がおかしくて、でも何をしたらいいのかわかんなくて。
いつもなら翔ちゃんに相談するけど、ニノの元気がないのなら、仲良しの大ちゃんに聞くべきだよね?って思って。
それが当たり前に俺じゃないのも寂しいけど。
でも、どう聞けばいいんだろ?
ニノへの気持ちは大ちゃんは知らないわけだし…ニノに直接聞かないの、変に思われるかな?
考え込んだ俺をリーダーは不思議そうに見つめてる。
「あのさ…例えばなんだけど、大ちゃんはさ、種は蒔く派?蒔かない派?」
とっさに翔ちゃんの例え話を出してしまった。
「ふふ、何だそれ?」
「んーとね…俺はね、花は咲いちゃったら踏まれたり刈られたりするじゃん?太陽に憧れて外に出ても危険がいっぱいなら、まず蒔かなきゃいいって思ったの。だって傷つきたくないんだもん。」
これで通じるかな?無理??
大ちゃんとは感覚で通じ合ってるから、いける??
「んー、そういう話なら俺は逆だな。蒔く派。」
「そうなの??」
「うん。だって、太陽に憧れてんでしょ?咲いてみなきゃわかんないよ。踏まれてもまた次伸びりゃいいじゃん。
刈られたとしても、そこまで伸びた姿を太陽に見てもらってさ、次また頑張る方がいいよ。」
「次…?」
「おう。花って結構しぶといぜ?」
「…うひゃひゃ!確かに!」
大ちゃんは鏡台のテーブル部分に腰掛け、足をプラプラさせている。
「相葉ちゃんは、何の花が植えたいの?」
「植える??好きな花は、向日葵かな!」
「んふふ、相葉ちゃんっぽい。知ってた?向日葵ってね、太陽に向かって伸びるんだよ。
両手いっぱい広げてね、ずっと背伸びしてんだって。多分、太陽に一番近くいける花だよね?」
「そう…なの??」
「毎年毎年、夏に太陽目指して伸びんだよ。俺さぁ、もう届いてるように見える時があるんだ。手繋いでるみたいな。」
「…手を繋いで…。」
「しかも花言葉、確か『あなただけを見つめています』みたいな感じなんだよ。この前テレビでやってた。
そんで俺思ってたんだけどさ、ある意味両想いだよね?向日葵は太陽を目指して、太陽は向日葵を伸ばしてんだから。」
「大ちゃん…目からウロコだよ…」
「へ?」
「ありがとう!!もう、めっちゃありがとう!!俺、頑張る!頑張るから!!」
大ちゃんにおもいっきりハグをした。
背中をバンバン叩くと少し苦しそうな声が聞こえたけど、そんなの構ってらんない!
もう!天才だよ!!流石リーダー!!
「え、うん…。頑張れ!でもベランダで向日葵の栽培は結構大変かと…。」
「もぉー、何の話ー?!てか太陽と両想いとかちょっとクサイよ大ちゃん!ひゃひゃひゃ!じゃぁ取材行ってくるねー!」
「えっ…………。あ、うん…じゃ…。何だったんだろあれ……てか早く行かないと翔くん待ってるかな。…告白もしないと…。」
ねぇ、ニノ。
ねぇ、ニノ!
言いたいよ。
大好きって、早く言いたい。
早くお前に会いたいよ。
何回踏みにじられても、例え枯れても、それでもお前に会いに行くよ。
雲で隠れても、嵐で折られても、凍えるような雪の日でも、へこたれないでお前を探すのが相葉雅紀だよね?
両手いっぱい広げるから。
振りほどかれても、冷たく突き放されても、俺はずっと両手広げてるから。
一人ぽっちになんてならない。
だって、いつだって太陽はそこにあるんだから。
どんな形になろうと、多分、二宮和也は、ずっと相葉雅紀の隣にいるんだから。
早く会って言いたい。
明日が待てないよ!
ねぇ、ニノ!
そんなニノから、取材後、明日俺んちに行っていいかとメールが届いてた。
ああ、俺らって運命的!!
なんて奇跡だろう!
いてもたってもいられなくなってマネージャーに行き先変更を告げた。
待っててね、ニノ!