4月に父が亡くなった。
倒れた当時、また元気になって
家に帰れると思っていた。
数年前に倒れた時は点滴ですぐに回復し、
あれが欲しい、これが足りないとメールを送って来るものだから、届けるのが大変だった。
今回もそうなって、猛烈にリハビリをして。
家に戻ってくると思っていた。
今回は薬の効果が出ず、
意識もはっきりしたりしなかったり。
言葉が出なくなり、意思疎通が
ほとんどできなくなった。
こちらから話しかけたことに、
時々瞬きで答えてくれたけれど、
それすらも本当に返事だったのか。
確かめる術がなかった。
父の気持ちを汲み取るには、
手がかりが少なすぎた。
色々と話したかっただろう。
文句の一つも言いたかっただろうし、
してほしい事もたくさんあったはず。
短い面会時間の中で、
日々のことを話しかけながら
手や足をさすったり、
背中をゆるく掻いたり。
孫の写真を見せたり。
そんなことくらいしか出来なかった。
自分で動けなかったから、
本当にしんどかったと思う。
そんな父を、ずっと見守るしかなかった母も、
辛かったと思う。
危なかったり持ち直したりを何度か繰り返した後、
病院からいよいよ危ないとの連絡に、
急いで駆けつけたけれど間に合わなかった。
ごめんね、間に合わなくて。
父を迎える準備をするため、
母と弟には先に家に帰ってもらい、
私が父に付き添って寝台車に乗った。
ずっと帰りたかったはずの家に、
救急車で運ばれる時にいた部屋に、
やっと戻ることができた。
父が家にいられたのは半日。
それでも、
「必ず連れて帰る」
そう決めておいて良かったと思う。
葬儀会場に移動してから湯灌をし、
顔を整えてもらったら、
とても穏やかな表情になった。
花の写真を撮ることが好きだったから、
花いっぱいの祭壇にして、
棺にもたくさん入れた。
自分で撮った写真と、
よく着ていたジャケットと帽子も。
「また会おうね」
最後の最後に、母が言った。
「今までありがとう、またね」
私もそう言って、父を見送った。
もし、本当にまた会えたら
その時はもっと話をしようね。
お母さんのことを
見守ってあげてください。







