『イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ
『イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
ちなみにビジネス戦略などを教えているクレイトン教授が、なぜこのような自己啓発的な内容の授業をおこなったのか? それは序講として最初に書かれています。
社会的成功という仮面の陰で、多くの人が仕事を楽しんでいなかった。離婚や不幸な結婚生活の話もよく聞いた。ここ何年か子どもたちと口もきかず、大陸の両端に分かれて住んでいるという同級生がいたのも覚えている。卒業以来、三度目の結婚をしようとしている女性もいた。
つまり、ハーバードを卒業し素晴らしい仕事につき、すばらしい人生を送っているはずの卒業生が卒業して10年以上経つと、離婚したり、逮捕されたりと、あまり良くない人生を歩みだしている人を見かけることが増えたそうです。
そこで単にビジネス的なことだけを教えるのではなく、
・どうすれば幸せで成功するキャリアを歩めるだろうか?
・どうすれば伴侶や家族、親族、親しい友人たちとの関係を、ゆるぎない幸せのよりどころにできるだろうか?
・どうすれば誠実な人生を送り、罪人にならずにいられるだろう?
ということを今まで教授が研究してきた理論を使い、企業だけでなく、私生活でも使えるのではないかと考え、始めたそうです。
なので、この本では企業における事例と、そこからその理論を使い人生においてもどうしていけば良いのか? ということが学べる本なので、ビジネス書好きな自分としては非常に楽しい本でした。
ちなにみひとつ例を挙げると、パソコンメーカーのDELLについて。
元々は自社で色々作っていたのですが、下請けだった台湾メーカーのエイスース(ASUS 100円パソコンなどで広がり始め、最近では色々とウルトラブックを出している台湾のパソコンメーカー)が、色々とDELLに提案を行ったことで、最初は小型回路だけを提供してもらっていたのが、マザーボード、パソコンの組立、そしてとうとう出荷や保守までをエイスースに委託するようになったそうです。そのため
デルはパソコンを製造していない。出荷も保守も行わない。台湾企業の製造するパソコンに、「デル」のブランドをつけることを許しているにすぎない状態に。
この例から、まず企業に対してはこう警告しています。
アウトソーシングを行えば、簡単にすばやく利益をあげられることを知っているが、その結果手放す能力を失うことのコストには気づかない
そのため
自社が将来成功するために、どんな能力が必要になるかを考えよう。この能力は必ず社内に残しておく。そうしなければ、未来を手放すことになる。
と伝えています。
そして、それを人生においては子ども教育についてあてはめています。
たとえよかれと思ってやっていることでも、親として果たすべき役割をアウトソーシングすればするほど、子どもが―おそらく最も重要な能力である―価値観を養う手助けをする、貴重な機会を失うことになるのだ。
つまり、子どもには安易に良かれとおもったことを与えるのではなく、子どもにも困難な挑戦を与えること、厳しい問題を自分で解決させることが必要だと書かれています。
以上のように、まずは企業での例をあげ、そこから人生に対してどうあるべきかということをいくつも書かれていますので、ぜひ読んでみて下さい。
=========================
目次
序講
第1講 羽があるからと言って…
第1部 幸せなキャリアを歩む
第2講 わたしたちを動かすもの
第3講 計算と幸運のバランス
第4講 口で言っているだけでは戦略にならない
第2部 幸せな関係を築く
第5講 時を刻み続ける時計
第6講 そのミルクシェイクは何のために雇ったのか?
第7講 子どもたちをテセウスの船に乗せる
第8講 経験の学校
第9講 家庭内の見えざる手
第3部 罪人にならない
第10講 この一度だけ…
終講
謝辞
訳者あとがき
=========================
あなたが望みどおりの人生を送れるか、意図したものとはかけ離れた人生を送るかは、自分の資源をどのように配分するかによって決まる
たとえば自分は慈善心のある人間だと自負している人は、自分の気にかけている大義や組織に、それだけの時間やお金を費やしているだろうか? 家族が何より大事だと言うなら、ここ一週間の時間の使い方の選択で、家族を最優先しているだろうか? 自分の血と汗と涙をどこに投資するかという決定が、なりたい自分の姿を映し出していなければ、そのような自分になれるはずもない。
忍耐強く努力を続ける決意がなければ、成功はおぼつかない
妻のためを思ってどんなに尽くしても、妻が片づけようとしている用事に目を向けない限り、夫婦の関係に幸せを求めようとする取り組みは挫折し、混乱するだけだ。
企業ができること、できないことを決定する要因、つまり能力は、「資源」「プロセス」「優先事項」の三つの分類のいずれかにあてはまる。
自社が将来成功するために、どんな能力が必要になるかを考えよう。この能力は必ず社内に残しておく。そうしなければ、未来を手放すことになる。
ライバル企業にわざと追い抜かれようとする企業などない。企業をその道に向かわせるのは、何年も前に下された、一見あたりさわりのない、多くの決定なのだ。
- イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ/翔泳社

- ¥1,890
- Amazon.co.jp
- イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business .../翔泳社

- ¥2,100
- Amazon.co.jp
- イノベーションへの解 利益ある成長に向けて (Harvard business school .../翔泳社

- ¥2,100
- Amazon.co.jp
- イノベーションのDNA 破壊的イノベータの5つのスキル (Harvard Business S.../翔泳社

- ¥2,100
- Amazon.co.jp