最近書店においてサムスンに関する本が目立つようになってきました。昔はサムスンと言えば二流メーカーというイメージがあったのですが、気がついてみれば、今では日本の電機大手メーカー8社(パナソニック、ソニー、東芝、日立製作所、富士通、 NEC 、三菱電機、 シャープ)の営業利益を足してもサムスンにかなわないのですから、「なぜサムスンはこんなにも成長できたのか?」は非常に気になるところです。
この著者の吉川さんは、そのサムスン電子の常務を務められ、その成長を間近に見てきた人であり、なぜサムスンがそこまで成長したのか? そして日本企業は今後どうすればよいのか? ということが書かれています。
韓国では1997年にIMF危機が起こり、それによりサムスン電子も非常に危ないところまで来たようです。それが逆に転機となり、大改革を起こしてここまで大きな会社になって来たわけです。日本の経済も今非常に厳しい中にいるわけで、ぜひこの逆境をバネにして、日本企業がグローバル企業へと新たに生まれ変わるのを願うばかりです。
そのためには、社員それぞれが「危機意識を持ち」、そして「グローバル化へシフト」していく必要があります。
「グローバル市場に適応可能な組織能力の構築」
「グローバル人材の育成」
「現地、現材、原人の体制」
「グローバル競争に適応したITの活用と全体の最適化」
「意思決定のスピードを上げること」
上記のことを日本企業はもっと考えて行く必要があると、筆者はうたっています。
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目次
序章 「意思決定の速さ」がなければ生き残れない時代
第1章 決定のスピードと情報管理でビジネスを制する!
第2章 サムスンはこうして世界を制した
第3章 危機におけるリーダーと組織の役割
第4章 グローバル時代の「ものづくり」
第5章 これから日本はどこへ向かうべきか
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石橋ではなく、木材が腐っているような橋なら渡ります。
サムスン電子にしても、 「どこの会社が導入している実績ある商品だ」というような売り込みを受ければ、その取引は受け入れることがまずありませんでした。日本のように「実績を作ってから出直してきなさい」といった追い返し方をするのとは全く逆の発想です。
誰もやっていないからこそ、自分がやる。利益を出すため、勝者になるためには、そういう姿勢こそが大切です。
だからこそ、求められるのは「決定の速さ」になるのです。
それをどう使うかという技術と発想、そして決定力。それを持っている企業やベンチャーが伸びていくのがグローバル化が進んだ社会の現実です
日本のメーカーは、世界のどこに出しても恥ずかしくない「日本品質」にこだわりますが、品質というのはお客さんそれぞれが判断することです。日本品質にこだわるよりも、お客さんに合わせて臨機応変な製品ラインナップを考えるほうがはるかに重要です。
顧客は最初にデザインによって心を動かす
消耗品などの諸経費も認められなくなったので、仕事で使うボールペンやノートなども社員それぞれが用意しなければならなくなりました。それは厳し過ぎると思われるかもしれませんが、このことによって、無駄なメモ書きコピーは消えて、連絡は電子メールで行う習慣が付いていったのです。それによってITの活用が進んでは予想外の副産物でした。
指示待ち人間はだめだという言い方をされますが、そういう人たちだけを責めることはできません。そんな言い方をしている人たちが、細かい指示を出しすぎていることに問題があるのです。
メーカーの側にしても、消費者よりもむしろ量販店がお客様だと考えているようにも見えてしまいます。そういう考えを改めて、販売現場でお客さんの顔を見て、声を聞き、それを商品作りに生かしていくスタンスが求められてくるのです。
お客様が何を望んでいるかを考え、他社にはない特徴のあるものを提供していくことで、後発でありながらも、あっという間にシェアを伸ばしていけたのです。
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