『考える技術』 大前研一 | kottsunのLogノート

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主に、読んだビジネス書のこと、iPhone関連、パソコン関連のことなどを書いています。

 ビジネスマンはこれまで通り「勤労の付加価値」のぬるま湯につかっていては、年俸は下がっていくだけ。
これからは「知識の付加価値」でメシをくっていかなければならない。

 そのためには、ビジネスマンに求められる思考回路である「論理的思考」が求められる。
この本ではその論理的思考の方法と、それを身につけるためのノウハウが書かれている。

 具体的には
1章で「問題解決のための正しい論理的思考の方法」
2章で「プレゼンテーションのノウハウを元に人を納得させるための方法」
その後は、「解のない問題に正しい方向性を見つけるための思考法」
       「新しい経済の中で新しい価値観を生み出し、ビジネスを成功させるための思考回路」
について書かれている。

 書いてある内容は以前読んだ『「知の衰退」からいかに脱出するか?』 と大きなところでは特に変わっていない。
というより、この本の出版が2004年と『サラリーマン再起動』より先であるので、この5年間、大前氏は
ビジネスマンに対して同じ警告を出してきている。
そしてようやく今、不況のせいもあって、ビジネスマンも変わり始めているのではないかと感じる。

 自分ももっと早くこの本と出会っていれば、もう少しなんらかの手は打てたのではないか? と
後悔せずにはいられない。しかし今となってはそれも小言にしかならないので、今からこの本に書かれている
ことを実行して、がんばるしかないと思う。

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目次

はじめに   「思考力格差」の次代

第1章    思考回路を入れ替えよう

第2章    論理が人を動かす

第3章    本質を見抜くプロセス

第4章    非線形思考のすすめ

第5章    アイデア量産の方程式

第6章    5年先のビジネスを読み解く

第7章    開拓者の思考

巻末資料
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・ほとんどの人は、仮説を立てた段階でそれを結論だと思い込んでしまうが、本当の勝負はそこからだ。
 問題解決力とは、仮説を裏付けていくために労を惜しまない行動力であり、それが絶対に正しいと
 結論づけられるまで徹底的に考える思考力である

・プレゼンテーションの構成
  ①最初のページで全体の結論を述べる
  ②業界の動向
  ③競合他社の動き
  ④当社の状況分析
  ⑤改善機会のための条件
  ⑥解決の道
  ⑦提言
  ⑧実行計画

・問題を羅列したところで、それらはしょせん現象にすぎない。現象の逆さまは解決策ではない。
 本当は原因に対する解決策が必要なのに、現象にしか目がいっていないのだ。日本の議論という
 のは、十中八九、現象と原因の区別さえできていない。

・ピラミッド・ストラクチャーの5つのステップ
  ①データや事柄を分析・検討し、導き出された結論・主張をリストアップする
  ②リストアップしたものを、類似テーマごとに分類してグループを作る
  ③同一グループ内での結論・主張を順序別に仕分ける
  ④同一レベルに共通した結論・主張を検討し、そこから導かれる結論・主張を一段上に位置づける
  ⑤以上の作業を繰り返して、すべての主張がピラミッドを完成するまで繰り返す。

世の中のビジネスマンのほとんどが、仕事に直接結びつかないような訓練をやろうとしない。しかし、
 じつはそれをやるかやらないかで大きな差がつくのである。

・問題解決に必要なのは、まず事実を認めたうえで「正しいことは何か、なすべきことは何か」を考える
 ことである。たとえ社長が反対の立場であっても、それを説得する勇気をもつ。どんなに相手が嫌
 がっても、事実に対しては忠実になる。これが問題解決の大原則である

・新しい世界では、起業に所属する人間であっても、個人としての能力が求められるようになる。
 物事の本質を見抜き、自らの力で問題を解決する力、新しいアイデアを生み出したり、新規事業を
 立ち上げたり、あるいはライバル企業を打ち負かす戦略を立てる力がなければ、所属する企業からも
 退場を迫られる時代になるだろう。
   だからこそ、今すぐに一人一人が論理的な思考回路を鍛え、来るべき世界に備えなければならない

・「成功パターン」の4条件
   ①事業領域の定義が明確にされている
     →「あれもこれも」ではなく、必然的に向かっていく1つの方向に特化するということ
   ②現状の分析から将来の方向を推察し、因果関係について簡潔な論旨の仮説が立てられている
   ③自分の取るべき方向についていくつか可能な選択肢があっても、どれか一つに集中する
     →今の時代、集中力とスピードがなければ勝つことはできない
   ④基本の仮定を忘れずに、状況がすべて変化した場合を除いて原則から外れない

・求められるのは、立ちはだかる既存の価値観の壁を突破していくだけのインパクトを生み出す思考力、
 言い換えればビジネスにおける突破力であり、開拓者の思考回路である。旧来の価値観に囚われず、
 自らの発想や先見性を新しいビジネスや社会のシステム改革に生かしていく論理的思考力なのである。

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