なかなか手付かずになっていました。今回読んでいる本の趣を変えようと思って、本棚から取り出した
のですが、コミュニケーションが変化する中、それに合わせてどうやって広告戦略を立てていくか? という
ことが、色々な例を取り用いて書かれていましたので、非常におもしろかったです!
特に漫画『スラムダンク』が1億冊を突破し、その感謝のためのイベントを行った内容などは、涙ほろほろ
ものです。
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目次
はじめに ~「なんだか小難しい時代になっちゃったな」とお嘆きの貴兄に
第1章 消費者へのラブレターの渡し方
~広告という名の「口説き」の構造
第2章 広告はこんなにモテなくなった
~変化した消費者と広告の20年
第3章 変化した消費者を待ち伏せる7つの方法
~彼らと偶然を装って出会うために
第4章 消費者をもっともっとよく見る
~コミュニケーション・デザインの初動
第5章 とことん消費者本位に考える
~スラムダンク1億冊感謝キャンペーンより
第6章 クリエイティブの重要性
~商品丸裸時代とネオ茶の間の出現
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●広告は消費者へのラブレター
・広告とは、もともと商品に関心すら持っていない相手にこちらを振り向かせ、あわよくば好きに
なってもらい、買ってもらうおうと画策する、わりとハードルの高いコミュニケーション。
・広告の変化
<昔の広告は>
(1)消費者は長い時間お茶の間にいて、テレビCMや新聞広告をちゃんと見てくれていた
(2)世の中に流れている情報量は限られていたので、広告は情報取得いち手段として重要だった
(3)情報ソースとして広告は信頼されていた
↓
<今の広告は>
(1)消費者はいろいろなメディア(ネットや携帯、ゲームなど)を気まぐれに渡り歩き、茶の間に
じっといなくなった
(2)情報洪水の時代になった(ここ10年で情報量は410倍以上)ことで、要らない情報はすかさず
スルーするようになった。
(3)ネットで消費者同士が情報交換するようになり、広告は疑われるようになった
(4)ネットでヨコにつながった消費者は、実際に購入した人を中心にメールや、ブログ、2ちゃんねる
の書き込みにより、商品を丸裸にするようになった
↓
<そのため・・・>
(1)「買いたい人」の身になって商品を分析するとうい受け手発想が必要
(2)消費者の行動を分析して、コンタクト・ポイントをしっかりと見極めて広告を提出する必要がある
(3)「心を動かす表現」で他のライバルを蹴落とさなくてはならない
(4)口コミの力を上手に利用して、消費者を増やしていかなくてはいけない
・ブランド・イメージが世に広がるのは購入後、ネットによって、なのである。その評判が購買に大きく
影響を与える。なので、今まで軽視してきたアフターサービスなどの「買ってくれた人へのもてなし」
が今後ますます重要になる
・「変化した消費者」を相手にするとき、商品開発コンセプトという最上流に「全体のコミュニケーション
をデザインできる人」を置くことが、これからの時代には必要になってくると思われる
●ネットの出現による変化
・2つの大きな流れが社会の底流として起こっていた。
(1)情報洪水
消費可能情報量、つまり人が処理できる情報量はここ10年でほとんど変わっていないのに、
選択可能情報量、つまり世の中に流れている情報量は拡大し続け、410倍になったらしい
(2)成熟市場
今は新商品の差別化も微細なところに向かっていて、消費者も「どの商品もきっとそんなに
違わないさ」と広告を真に受けくれなくなった。
・ネットの出現+情報洪水+成熟市場
↓
「賢い消費者」が登場
↓
「物欲を煽る手段である広告」は逆風を浴びている。消費者はその流れに乗り、より疑い深く
行動するようにあっている
・情報が多すぎて自分の選択に自身がなくなっている消費者たちは、判断を「友達・好きな人・
信頼できる人」など他人にゆだねる傾向が出ている。
●変化した消費者を待ち伏せる7つの方法
(1)消費者のコンタクト・ポイントで待ち伏せる
最近特に重視されてきたコンタクト・ポイントは「店頭」。つまり購入決定場所である
(2)新しいメディアを創って待ち伏せる
まさか広告に出会うとは思っていなかった場所にメッセージが息を潜めて待ち伏せているのは、
消費者が広告をスルーしやすい現在、認知に非常に効く。
(3)口コミを利用して待ち伏せる
(4)CGM(Consumer Generated Media)で待ち伏せる
ブログやSNSなど
(5)エンターテイメントの中で待ち伏せる
(6)検索結果で待ち伏せる
(7)メディアをニュートラルに考えてクロスに待ち伏せる
「消費者に一番伝わるメディア、もしくはコンタクト・ポイントは何か」を先入観なくニュートラルに
考えてコミュニケーションの真ん中に据える。
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