『サラリーマン再起動マニュアル』 大前研一 | kottsunのLogノート

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主に、読んだビジネス書のこと、iPhone関連、パソコン関連のことなどを書いています。

30才後半から40才代向けに書かれた本で、自分たちが何をしなくてはならないか?  特にWebという世界が新しい物をどんどん生み出しているので、それに対して自分をどう変えていかなくてはならないのか? ということが書かれており、参考になることがかなりいっぱいありました。

ただショックだったことは、30才後半はすでに「中年」であるということ。自分ではまだまだ若いつもりなのですが、世間はそう見てくれないですね。

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目次

イントロダクション   志のあるサラリーマンは、きつい仕事を厭わない

第1章[現状認識]なぜ今「再起動」が必要か?

第2章[基礎編]「再起動」のための準備運動

第3章[実践編]「中年総合力」を身につける

第4章[事業分析編]新大陸エクセレントカンパニーの条件

第5章[メディア編]「ウェブ2.0」時代のシー・チェンジ

エピローグ   新大陸の“メシの種”はここにある

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●日本電産の永守社長の経営哲学
 「情熱・熱意・執念」
 「知的ハードワーキング」
 「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」の3大精神
 「6S - 整理・整頓・清潔・清掃・躾・作法」


●見えない大陸=新しい経済の出現(新大陸時代)
 古い経済に取って代わった新しい経済は、いわば“見えない大陸”である。カネや情報が国境を越えるボーダレス経済となり、経済活動の中心がサイバースペースになった。金融の世界も変わり、手持ちの資金の100倍、1,000倍のカネを動かすことも可能だ。“見える人には見えるが、見えない人には全く見えない”大陸が立ち現れている。


●自己改造=再起動するための、3つの方法
 ①「お金の使い方」
  →値段が安い物でも、十分使える物がたくさんある。それを目的に応じて利用すれば、収入の多寡や世の中が不況かどうかに関係なく、安価に、しかし自分なりのライフスタイルをつくることは可能だし、そういう生き方がこれからの主流になっていくと思う
 ②「時間の使い方」
  →後述の「●準備運動(時間の使い方)」を参照
 ③「住む場所」
  →「平日は通勤の便利な都心の賃貸に住、週末は環境の良い郊外に買った安い1戸建てに済む」


マッキンゼー流 人材評価方法
 マッキンゼーでの採用のポイントは以下の3つ
 ①クラスの中でアウト・スタンディング(特筆すべき役割)を果たしているか?
 ②ディスカッションをまとめている力があるか?
 ③採用担当者の質問に対してどういう受け答えをするか?
  →知識をひけらかすタイプは現場では使えない。「あなたの質問には、こういう前提で答えていいんですか?」と相手の質問を正確に理解したかどうかを確認した上で「その場合、私はこういうふうに思います」と答えるタイプが良い。

●出来る人の共通点
 ①人生はリスクを取る物と達観している
 ②人が見ていようがいまいが、給料が上がろうが上がるまいが、自分のやりたいことをやる
 ③常にハングリーで、強い欲望や願望がある
 →一言で言えば「リスクテーカー」である。彼らは「安住の地を求める」ことよりも「死ぬまで自分の可能性を試す」ことを優先する


●新大陸時代に伸びる人
 「見えない新大陸の中で自分の会社が切り取るべきテリトリー(領土)をはっきり定義でき、説明でき、行動につなげることが出来る人。」 = 「将来の絵を頭に描けて、口で語れて、それを聞いた人になるほどと思わせて資金を集めることができ、事業計画に落とし込んで実行まで持って行ける、という能力」


●準備運動(時間の使い方)
 ・本気で自己改造して再起動しようと思ったら、「時間がない」という言葉は、禁句にしたほうがよい

 ・手帳に書いてある予定を、「超重要=緑、まあまあ重要=黄、あまり重要ではない=赤」に色分けしてマーキングしてみよう。そうやって色分けされた手帳をもとに「時間のリストラ」に着手する

 ・スケジュールをカットする3つの方法
  ①仕事の質・精度を落とす
    →自分が必ずしも出席する必要がない会議などには、最初からでないようにする
  ②他人にデリゲート(委譲)する
    →同僚や部下に出席してもらい、後でブリーフィングを受ける
  ③アウトソーシングする
    →案件を別の人間に完全に任せきる
 
 ・宵越しのeメールは持たない
   →上がってきた案件はすぐに処理して、決断を引き延ばさない

 ・忙しい時のスケジュールの立て方のコツは、「どうしてもやらねばならないこと」を真っ先に手帳に書き込む

 ・プロフェッショナルになりたければ、自分は今日なにをやらねばならないのか、今週何をやるべきなのか、今月なにをなすべきなのか、という目標をしっかり定め、それを効率の良い朝を活用して達成すべきなのである。

 ・1日の行動計画を立てたり、その日の会議でどんな資料を使い、どんな発言をして自分の考えに賛同させるか、といった戦略・戦術を最も冷静に考えて組み立てられるのも朝である


●語学の勉強法
 ・まず「聞く」ことと「話す」こと。
   自分の思考をどんどん英語にしていく。どんな簡単な言い方でも良いから、アナウンサーになったつもりで、自分の考えていることを英語で口に出して録音する。あとはとりあえず通じればよい。そう割り切ってコミュニケーションの場数を増やすこと。

 ・「インプット力」-筋トレのように退屈ではなるが、分法と語彙の基礎力を徹底的に鍛える
  「アウトプット力」-実際に起こりえるビジネスシーンを想定してネイティブスピーカーとロールプレイ形式レッスンを行う


●成熟・低成長期の今は「発想力」「創造力」「構想力」によって、昔と違うこと、すなわち"レールから外れたこと"をやるのが企業戦略の要諦になっている


●デジタルの世界では企業の競争条件が一変する。ここで勝ち残るためには、他社に先駆けて全く新しいトレンドを生み出し続けるブランド・リーダとなるか、「部品屋」「受託生産屋」(OEM、ODM等の相手先ブランドでの設計・生産や電子機器製造受託サービスEMSなど)に徹するしかない。


●プロジェクト
 ・プロジェクト・マネージメント力
  既存の組織にとらわれないプロジェクト、自己否定するプロジェクトを推進するという発想が必要

 ・プロジェクトは、対極的な発想をする人たちが仲良くやっていった時に最も成功するものだ。つまり論理思考の強い人とエモーショナル型の人、発想型の人と数字の分析に強い人、というように全く違うタイプの人間を組み合わせることが一番大切

 ・企業のプロジェクトの目的
  ①同じことや類似のことをよくする「Do More Betterプロジェクト」
  ②新しい物を生み出す「新規開発・新規事業プロジェクト」
  ③起死回生のために極めて難しい問題を解決する「ブレークスループロジェクト」

 ・自分の足で歩き回るときに最も重要なのは、自分はこういう視点で見てこよう、というスタンスを決めたうえで、先入観を払拭してニュートラルな気持ちで行うことだ。松下幸之助さんがいうところの「とらわれない素直な心」が、真実を知るなによりも大切な心構え。

 ・目の前にある情報を自分の今の仕事に関係ない、という理由で遮断したり拒否したりしてしまう人がいる。これは非常にもったいないことだ。いつどこでどんな情報が役に立つかわからない。だからこそ、まずはあらゆる方面にアンテナを張り、情報の棚を持つこと。


●中年総合力
 ・インプットした情報をプロセッサーにかけて自分なりに、"醸成"し、いつでも「整理棚」の引き出しを開けてアウトプットできるようにしておく。世の中の森羅万象に常日頃から関心を持つ。会社内の他部署にいつ配置転換されてもやっていけるような幅広い関心を持つ。それが"中年力"を高めることにもつながる。

 ・「言われなくてもやる」「自ら進んで難しい仕事にチャレンジする」「上司が見ていなくても自分のために働く」「世の中の森羅万象に興味を持って常に勉強する」

 ・新大陸で発想を拡散・飛躍させて新しい構想を練り上げるためには、自分とは異質な人、とりわけ"新大陸の掟"を本能的に知っている若い人たちの「集団知」を借りざるを得ないのだ。それを一つにまとめて成果をつなげていくことが30代後半~40代の中間管理層に求められる指導力や管理力なのである。

 ・プレゼントは、データに基づいてすべてを自分の頭で組み立て、トップが最後はどう意思決定すればよいのかということを、一言でいわなければならない。だから、解説者が出てきたらテレビの音をオフにして、自分がもし解説者席に座っていたらどう答えるのか、と考えたり、自分が社長ならどう考えるのが正しいのか、トップの視点で考える訓練を平素から積んだりしておくことが必要。

 ・会社に勤めた以上は、社長になれるゼネラリストとしての能力を磨くことが重要であり、社長になるのがむりだとなったら、専門分野を一つ選び、その分野では余人をもって代え難いといわれるスペシャリストを目指すべき。


●新大陸企業
 ・パソコンのデルは、商品を買ってしばらくすると、「ご機嫌いかがですか?」「何か問題は起こっていませんか?」と連絡してくる。つまり、デルはパソコンをハードウェアではなく、顧客との双方向コミュニケーションの道具と見ている

 ・ユニクロのような大量のロットをまとめて中国でドーンと安く作るのではなく、ジャスト・イン・タイム方式の多品種少量生産とオンデマンド・システムによって、世界のどこでも24~48時間以内に商品を届ける。だから店舗在庫もない。これこそが「現場力・現場感覚」を生かしたZARAの強みであり、"アパレル業界のデル"と呼んでもいいだろう

 ・「ウェブ2.0型企業」と「ウェブ1.0型企業」の違いは、顧客ニーズの変化をすぐに感知して対応できる企業体質になっているかどうか、ということである。

 ・毎年の大幅な人員削減は、会社にとっても残った人にとっても非常に大きなプラス効果がある。まず、コストが下がる。そして残った人は切られたくないから一生懸命に働く。人が減れば減るほど仕事の権限がどんどん増え、給料もどんどん上がる。だからみんないっそう一生懸命に働いて、個人の能力も会社の業績も上がって行く。

・あなたが勤めている会社がリストラで希望退職を募ったり早期退職制度を設けたりしたら、それを利用して転職することをお奨めしたい。なぜなら、そういう会社は自ら将来性がないと認めたことになるからだ。そんな会社に長居する必要はない。
(傾いた会社が単なるリストラで蘇る可能性はほとんどないのである。数百社の会社を分析した私の経験から言うと、反転する確率は10%以下)


●WEB2.0
 ・あらゆる企業が広告宣伝戦略を変えねばならない
 例)旅行会社の場合
  ①過去に自分の会社を利用したお客さんをデータベース化して属性を分析し、ナロー・キャスティング、ポイント・キャスティングをすればよい
  ②ネット上にお客さん同士の情報交換用チャットルームを設置・運営する
   それを参考に専門知識を生かして具体的で格安なツアーを企画し、チャットルームの参加者に募集をかければ、格段に少ないコストで商品が売れる

 ・新しいビジネスモデルを導入するセンスと従来のビジネスモデルを捨て去る勇気。この二つがあらゆる業界の経営者に求められている。

 ・今後のネット社会は利用者同士がP2Pでダイレクトにつながるコミュニティに比重が移っていく。ということは、これからのカギは個人である。というか、個人以外にはありえない。企業は世界中の約10億人、日本だけでも約9000万人に達しているURL保有者の中から、自社の商品やサービスに対する反応が一番良いセグメント(すなわち財布を開いてくれるかもしれない人々)を見つけ出してくる方法を知り抜かねばならない。

 ・eコマースの"成功のカギ"は「ポータル」「決済」「デリバリー」である。つまり、商品の検索、代金の支払い、そして物流の三位一体になならいとダメ。
  
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