韓国のりもの見学ツアー その3 ソウルBRTで都市間移動 | せき@息抜きブログ

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最近は介護ネタも出てくるかも。

さてさて、前回で1つめ(本来は2つめ)の見学ポイントな議政府軽電鉄を見ましたが、今度は次の見学・体験ポイントなソウルBRTに乗るべく、移動開始。軽電鉄の駅から南へすぐ、団地外縁の幹線道路に移動しバス停を探します。
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バス停は少し歩くと見つかり、トラック類が多く走る中、バスを待ちます。
洒落た屋根が架かっていて韓国らしいバス停ですが(韓国の郊外では屋根付きバス停が結構多くある)、ポールは別の意味で韓国風味のケンチャナヨ(気にするな)仕様。経路図には皺が寄ってるし、何かスプレー噴かれてるけどケンチャナヨ。これ位なら、まさに「気にするな」と言わんばかりに放置されたりするのが韓国だったりします(苦笑)。

そうこうしているうちにバスが来たので、そそくさと乗り込みます。
ソウルのバスは前乗り・先払い・後ろ降り方式で、現金は乗り切り制ですがICカードを使うと「都市圏統合運賃制度」が適用され、他のバスや都市鉄道に乗り換えても運賃は通算となるので便利(ICの際は降車時にもリーダーにかざす必要あり)。なのでT_moneyなどのICカード使用率が非常に高く、この運賃精算情報を基に旅客の利用状況を分析し、運行頻度や路線の改編に役立てています。

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(写真は別の訪問時に撮影した車内の様子。ほとんどの人がICカードで利用しています。)

さて、乗車したのは青色車体のソウル市のバスシステム準拠107系統・鐘路5街経由東大門ゆき。
ソウルのバスは車体の色と系統番号で路線の性格が把握できるようになっており、このバスは都市内バス幹線系統、北部エリアと都心を結ぶ路線というのがひと目で分かります。

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青は都市内バス幹線、緑は支線、赤は都市圏高速・急行バス、黄色は市街地循環系統、緑色の小型バスはマウルバスと称するコミュニティバスに類似したサービス。これらが全て共通のシステムで運行されています。運賃には差がありますが、ICカード利用時は先述の都市圏統合運賃制度」が適用されるため、抵抗なく乗り換え利用が可能です。

さてこの系統、都市内バスとはいえ比較的長距離(30km近く)を走るのですが、かなり郊外側からの乗車なのに座れません…。途中の乗降もあるにはありますが、座っている人はナカナカ降りない。このままソウル市内まで行く気か?
この系統、途中いくつかのバス停で同一方向へ向かう地下鉄1号線や4号線に乗り換えができるのですが、乗り換える人は少ない様子。乗り換えても運賃は通算だから経済的なロスはないのですが、どうも韓国人は乗り換えを嫌うらしく、バスは混雑したままBRTバスレーンへ入り、スルスルと進みます。

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道路の中央に「バス専用レーン」が敷かれ、鉄道の駅と同レベルの設備を持った「バス停」が整備されています。この高度なバスレーンとGPSを活用したバス管理システム(Bus Management System)、それを応用した旅客案内システム(Bus Information System)で構成されるのがソウルのBRT(Bus Rapid Transit)で、特にバスレーンではバス停に「追い越しレーン」が整備可能な制度になっており、先行バスの客扱い終了を待たずとも後続が発車できたり、急行運転する系統が追い越しを行えるようになっています。また各バス停には停車する全てのバスの接近状況が表示され、非常に便利です。

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(ソウルBRTバス停の様子)

このシステムは、とりたてて斬新な仕組みがあるわけではないのですが、定時運行や速達化に効果の大きい中央走行式バスレーンの大規模な整備とBMSによるリアルタイムな運行管理&データ蓄積、そして利用者への情報提供などのトータルシステムとしては優れたもので、韓国ではこれらとICマネーによる運賃収受(乗り継ぎ)システムをパッケージにして海外展開をしたいようで「韓国BRT」としてPRしています。

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インフォメーションに関しては、BMSを活用したバス停での接近表示やネット・携帯アプリへの情報提供だけでなくアナログな面でも配慮があり、バス車内には必ず「停車全バス停が記載された経路図」が掲示されています。ソウルではバスは車両ごとに運行する系統が決まっているので、系統番号や経路図はステッカーでベタ貼りされているものが大半です。車内経路図は地下鉄との乗り換え駅は共通の乗り換えマークで示されているうえに接続路線の名称が書かれているので、ハングルが読めるなら結構「使える」モノのようです。
コレ、日本だと「色々な系統で使うからこういうのは無理」と言われるかも知れませんが、韓国の他地域ではこんなのもありまして…

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窓の部分に付いているのは液晶モニターを使った経路図。これなら複数の系統で使われるとしても経路表示は可能ですよね。見た目はチャチなものでしたが、無いよりは有る方が格段に便利。こういう工夫は日本でも実施して欲しいなと思ったり。

ということを考えながらバスに乗っていたら、朝方の「のんびり」が響いてきて待ち合わせ時間に遅れそう!なので地下鉄に乗り換えることに。弥阿サムゴリ駅最寄りのバス停で下車します。

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バス停の見た目は、本当に電車の駅そのもの。駅名標もありますし(少し前にご紹介した写真をご参照下さい)、発着系統の経路図も全て掲示。上部にあるカラーラインは車体色に相当し(青が幹線・緑は支線・赤は中長距離系統)、それぞれのライン中に掲示されている番号が「停車するバス」です。経路図(時刻表)を見ずとも、どの系統が発着するのか一目瞭然です。かなりシステマティックにまとめられており、デザインも機能美を意識したシンプルかつ韓国らしいビビットさを兼ね備えたもので、見応えがあります。

さて地下鉄に乗り換えるべく道路中央のバス停から歩道へ移りますが、歩道はまさに「韓国!」な空間。狭い空間に露店が並び、色の洪水的な状況が(苦笑)。なかなかアジアンな光景で、ある意味パワーを感じます。

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ということで地下鉄4号線に乗り換え、待ち合わせ場所であるKORAILソウル駅を目指します。遅れる遅れる~~~!

(その4につづく)