いつもは朝日新聞を購読しているのだが、現在は自宅を離れており、手元に読売新聞がある。
1面の見出しに、「憲法改正「賛成」63%」とある。
同紙の世論調査によれば、憲法改正に63%の国民が賛成しているらしい。
記事を読んでみると、憲法9条1項(戦争放棄)を改正する必要がない、と答えた人が75%とある。
この結果に従って「憲法9条1項改正不支持75%」という見出しにすれば、全く反対の印象を与えただろう。
切り取り方ひとつで、印象は変えられるのである。
読売新聞の世論調査では、憲法9条1項に関する質問は、以下の通りである。
「戦争を放棄すること」を定めた1項については、改正する必要があると思いますか、ないと思いますか。
改正する必要があるかないかを答えさせる問いになっており、絶対に改正すべきでない、という意見は回答に反映されない。
アンケートの問い方も、答え方をコントロールできるのである。
憲法9条を改定して日本を戦争する国にすることに賛成か、という問いにしたら、回答は違うものになるだろう。
「憲法改正」という呼び方も、危険である。
「改正」とは正しく改めることであり、中立的表現ではない。
憲法9条を変えるのは「改定」と呼ぶべきである。
わたしは、「改悪」だと思っている。
そもそも、憲法改正に賛成か、反対か、と問われたら、わたしも賛成と答える。
9条2項(戦力の不保持)に、「いかなる外国の軍隊も日本に駐留させてはならない」という条文を加えるべきである。
24条1項の「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し」という部分も、「両性の合意」を「両者の合意」と改めるべきだと考えている。
ひとつひとつの条文について、国民全体で十分な議論をするべきである。
「集団的自衛権」「敵基地攻撃能力」「殺傷兵器輸出解禁」などのときのように、十分な議論も行わず憲法解釈の変更だけで戦争の準備を進めるという姑息な手段は許されない。
国民はきちんと政府の動きを注視し、選挙で国を正しい方向に動かさなければならない。
全体に憲法9条改定、軍事力強化、という論調の読売新聞の中で、「市民の意見30の会」が出していた「殺すな!殺させるな!」という全面広告が目を引いた。
その一部を引用しておく。
武力で平和はつくれません。武器輸出をさせない!基地をつくらせない!原発を廃炉にする! 今、その声をさらに強く上げる必要があります。
平和も民主主義も、主権者の不断の努力によってこそ実現します。憲法9条の実現を尊重する政治家・政党に投票することで、日本を再び戦争できる国にさせない、非戦の未来を選べます。
憲法記念日だけでなく、いつも憲法のことを考えていたい。