シリア難民 ――朝日小学生新聞から―― | ことのは学舎通信 ---朝霞台の小さな国語教室から---

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 今日(22日)の朝日小学生新聞の1面と3面は、「シリアから逃れて」という記事であった。

 記事を書いたフォトグラファーの小松由佳さんの夫の甥の、エブラヒムさんの暮らしを紹介している。

 

 エブラヒムは2009年にシリア中部の都市パルミラで生まれた。

 まもなくシリアは内戦状態となり、エブラヒムは戦火の中で育った。

 7歳のときに難民として一家でトルコに移動し、放牧業を始めたが、生活は苦しかった。

 エブラヒムは学校に通わず、朝から晩まで働いた。

22年の夏、シリア人差別の厳しいトルコを脱出し、家族でヨーロッパへ向かった。

 ほとんどの行程を徒歩で野宿をしながらイギリスを目指した。

 最後のドーバー海峡では船が転覆して死にそうな目に遭いながら、5回目の航海でイギリスに到着した。

 トルコを出てから2か月半が経っていた。

 現在はロンドンの北、ミルトンキーンズ難民収容施設で暮らし、生まれて初めての学校に通っている。

 イギリスでは不法移民が増えたため、難民をルワンダに送る法案が議論されており、成立すればエブラヒムも強制的に国外へ送られる可能性がある。

 

 イスラエルの攻撃で亡くなったガザの子どもたちの数が13000人を超えたことが、先日のニュースで報じられていた。

 ウクライナでも、ロシアとの戦争で多くの子どもたちが命を落としている。

 エブラヒムさんのように難民として祖国をはなれてかろうじて生き延びている子どもも、世界には多い。

 わたしたちが日本で平和にのほほんと暮らしている同じ地球の上で、こんな目に遭っている子どもたちがいることを思うと胸が痛む。

 何かしてあげなければならないと思うが、いまのわたしにできることは、ほとんど何もない。

 せめてこのような現実を子どもたちに知ってもらい、一緒に考えたいと思う。

 

 かれら難民や戦火に脅かされている子どもたちを、日本に引き取って生活の面倒を見てあげることはできないものだろうか。

 莫大な防衛費の予算をすべて難民支援に使ったら、世界中の多くの人を救えると思うのだが、できないものだろうか。

 国家の安全保障のためにも、かえって有益であろう。

 軍隊を持たず世界の人々のために尽くす国家に、攻撃しようという国があるだろうか。

 人類はそこまで野蛮ではないと信じている。

 子どもたちが理不尽に命を奪われない世界を作るために、わたしたちは何をしたらよいのだろうか。