昨日(23日)の朝日小学生新聞1面は、地球温暖化対策の新技術として「ブルーカーボン」を利用する、という記事であった。
「CO₂海中にとどめて「削減」」「海の生き物がためこむブルーカーボン」という見出しである。
植物は光合成というしくみでCO₂を吸収し、酸素や栄養をもたらす。
CO₂は海水にも溶けるので、海草や海藻に吸収させてCO₂を減らそう、というのがこの新技術である。
陸上の動物が貯める炭素を「グリーンカーボン」と呼ぶのに対して、海の中の植物が貯める炭素を「ブルーカーボン」と呼ぶ。
海草や海藻などの海の植物は数年しか生きられず、寿命を終えた植物とともにブルーカーボンは海底にたまったり深海へ運ばれたりする。
海底では分解が進みにくく、長ければ数千年、炭素をとどめられるという。
これが「ブルーカーボン」を利用した地球温暖化対策のしくみである。
なんだかスッキリしない。
海中の植物にCO₂を分解してもらうのかと思ったら、そうではないらしい。
海底に貯めておいてもらうのである。
貯められたCO₂はどうなるのか。
ブルーカーボンについて調査する筑波大学下田臨海実験センターの和田茂樹さんによると、海底にとどめておける炭素の量をふくめ、わからないことばかりだという。
どのくらい貯められるのか分からないけれど、海底に数千年貯めておいてもらおう、というのがこの温暖化対策の考えである。
これは、臭いものにフタをしただけではないのか。
とりあえず陸上のCO₂は減るだろう。
しかし、海底に貯めきれなくなったらどうするのだろう。
地球上のCO₂の総量は、減っていないのである。
地球温暖化の影響で、肝心の海藻も減っているが、大丈夫なのか。
福島第2原発のトリチウム微量残留汚染処理水を海に放出して処分したのと同じである。
原発の使用済み核燃料を地下深くに埋めておく、というのも同じである。
処理できない厄介なものを、とりあえず目の前から消しただけのように思われる。
あるいは、時間稼ぎをしてその間に新しい技術を開発しようということか。
今後の経過を見守りたい。