今日の朝日歌壇 | ことのは学舎通信 ---朝霞台の小さな国語教室から---

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考える力・伝える力を育てる国語教室 ことのは学舎 の教室から、授業の様子、日々考えたこと、感じたことなどをつづっていきます。読んで下さる保護者の方に、お子様の国語力向上の助けとなる情報をご提供できたらと思っております。

 日曜日は朝日歌壇である。

 今日は、わたしの娘の歌が入選していた。

 高野公彦氏選第9席である。

 

帰り道目が追っていたマッシュヘア音信不通の君を探して

                   (朝霞市 岩部桃香)

 

 娘は、中学に進学し、小学校時代の友達と別の学校に通うようになった。

 それでもメールで連絡を取り合い、休みの日に一緒に遊んだりしていた。

 そんな友達のひとりと、ある日突然連絡が付かなくなった。

 学校からの帰り道、同じようなマッシュヘアの男の子を見かけると、ひょっとしたら、と思って目が追ってしまうのである。

 

 2句目の「目が追っていた」が、いい。

 「目で追っていた」ではなく、「目が」としたところが、無意識に追っていた、という実感をよく伝えている。

 意識がそれに気づいた時には、もうすでにマッシュヘアを目が追っているのである。

 理屈より先に心が対象を追いかける。それが恋である。

 いい歌だと思う。

 親馬鹿だろうか。

 

 山崎まさよし「One more time, One more chance」の面影も感じられるが、この曲がはやったのは娘が生まれる12年前で、娘は聴いたことがない。

 純粋に自分自身の経験と心から生まれた歌である。

 

 新人中学生歌人が、これから朝日歌壇でどんな歌を見せてくれるか、楽しみである。