6日(日)の朝日歌壇に、山添聖子さんのこんな歌が掲載されていた。
たこ焼きは夫の担当竹ぐしを持ちて子と待つ半夏生の日
(高野公彦氏選第8席)
温かい家族の団欒が目に浮かぶ。
気負いのない、山添聖子さんらしい、いい歌である。こういう何気ない日常のひとこまをさらっと切り取る手腕に、いつも感心する。
少しでも近づきたいものである。
この歌で気になったのが、結句の「半夏生の日」である。
「半夏生」は、夏至から11日目、今年は7月2日であった。
田植えを済ませる日だという。
しかし、たこ焼きと半夏生の関係が、よく分からない。
事実として家族でたこ焼きを作って食べたのが半夏生の日だったとしても、措辞としての必然性が感じられない。と思って調べてみた。
Wikipediaに、こんな記述があった。
近畿地方の一部地域では蛸を食べる習慣があり、近畿地方各地の小売店が盛んに販売促進活動を展開している。2017年より、日本コナモン協会では、たこ焼きをはじめタコのお好み焼・焼きそば、唐揚、タコ天うどんなどを促進する「蛸半夏生キャンペーン」を行っている。
この習慣、わたしはまったく聞いたことがなかった。
「近畿地方の一部地域」には、山添聖子さんが住む奈良市も含まれているのだろう。
半夏生の日の習慣で、家族でたこ焼きを作って食べる。
ますます素敵な家族である。
こういう、季節の行事や風習を大切にする家庭だから、風趣のある歌が生まれるのだろう。
季節の行事と言えばクリスマスとお正月くらいで、節分も七夕もスルーする我が家は、見習わなければならない。
来年の半夏生には、うちでも家族でたこ焼きを作ることにしよう。
たこ焼きを作ったからと言って、良い歌が作れるわけではないが。