日曜日は朝日歌壇である。
今日は、食べ物を詠んだ歌が2首あった。
カルパッチョにたいなものとチャンボッタなのかもしれぬ今夜のおかず
(東京都 夏目そよ)
チャンボッタがいかなるものなのか、知らなかった。早速検索してみた。
南イタリアの野菜煮込み料理らしい。ラタトゥィユと似ているが、チャンボッタにはじゃがいもが入るという。
温かくても美味しいが、冷やすとなおおいしい夏の料理だそうだ。
食べてみたい!
カルパッチョは知っている。刺身にオリーブオイルをかけた、イタリア料理である。
夏目そよさんの家で「カルパッチョみないなもの」と言って出された今夜のおかずは、はたしてチャンボッタだったのだろうか。
チャンボッタという名前が楽しい。
今夜のおかずは「チャンボッタかもしれぬ」と考えるだけでも楽しい。
わたしは、今までの人生で今夜のおかずが「チャンボッタかもしれぬ」と思ったことは一度もない。
宿題はやさいサラダを作ることしあげはぼくのオーロラソース
(大阪市 下和田信)
楽しい宿題である。
作者は小学5年生だという。
5年生で、オーロラソースを知っているとは、かなりの食いしん坊であろう。
しかも、「ぼくのオーロラソース」というのだから、ただマヨネーズとケチャップを混ぜただけではあるまい。
大阪の子どもだから、たこやきソースかお好み焼きソースでも混ぜるのだろうか。
5年生でオリジナルのレシピを持っているとは、将来が楽しみな子どもである。
文学性や詩情は感じられないが、生活の匂いのする、朝日歌壇らしい歌である。
こういう歌に触れられるのも、朝日歌壇の楽しみである。
食べ物の歌と言えば、同じ面の「短歌時評」に小島なお氏のこんな歌が載っていた。
カウンターは食べる横顔見るところ餃子八個に夜ががはじまる
宮崎市の歓楽街である西橘通りの老舗の餃子専門店「黒兵衛」の餃子を食べて作った短歌だという。
結句の、「夜がはじまる」が、さすがである。
この一句で、詩情が生まれる。
プロの技に感心する。
こんな歌が詠めるように、もっと練習しようと思う。