また将棋界で珍しい反則がありました。
22日の順位戦B級1組、千田翔太7段対近藤誠也7段の対局において、後手番の千田7段が自分の先手番と間違えて初手を指してしまいました。
当然、即、反則負けとなりました。ルールだから仕方のないことですが、もうちょっと融通がきかないものかと、残念な気持ちになりました。
千田7段が初手の8四歩を指したときに、近藤7段が、「ボクの先手番だよ。」と言って、千田7段が「あっ、ゴメンゴメン」と言って8三に歩を戻して、もう一度始めればよかったのに。
反則負けは、負けた千田7段はもちろん、勝った近藤7段も、将棋ファンも、将棋連盟も、誰ひとり幸せになりません。
誰のためのルールなのか、と考えてしまいます。
ことのは学舎の将棋教室でも、子どもたちはよく反則をします。多いのは、二歩と王手見落としです。角の筋が変わっていたり、金を斜め後ろに引いてしまったり、ということもあります。
わたしが見ているときは、反則手を指しそうなときには、「よく見て!」と声をかけ、指してしまったときは、「見なかったことにしよう」と言って、指し直させます。
やはり、詰まして終わりたいのです。
反則では、勝った方も嬉しくありません。
佐藤天彦9段のマスク不着用による反則負けも、まだ裁定は下されていませんが、もっとよい解決法があったように思います。
菅井竜也8段が、「マスクを着けて下さい。」と言って、佐藤9段が「すまんすまん」と言って着けていれば、何でもないできごとだったはずです。
杓子定規なルールの適用は、誰も幸せにしません。
ミスをしたほうが悪い、と言われればその通りなのですが。
ミスと言えば。
中学1年の2学期の期末試験の国語の問題で、ことのは学舎の生徒がもったいないミスをして失点しました。
古文の問題で、傍線部を現代仮名遣いに直しなさい、という設問なのに、現代語訳を書いてしまい、3題で6点落としました。
現代語訳よりも現代仮名遣いに直すほうがはるかに簡単で、設問をきちんと読んでいれば確実に正解できる問題でした。
正解していれば学年1位という点数だったので、悔やまれます。
問題をきちんと読まなかったほうが悪いので、自業自得なのですが、先生ももうちょっと温情のある対応をしてくれたらよいのに、と思わずにいられません。
しかしまあ、本人にとってはいい薬になったでしょう。
これで凝りて、これからの試験でうっかりを無くせたら、この失敗も無駄ではなかったと思えるでしょう。ぜひ今後に生かしてもらいたいものです。
人間は間違える生き物です。間違いをなくすためには、ペナルティは必要だと思います。
ただ、そのペナルティは、間違いの度合いと釣り合うものであってほしい。
プロ棋士にとっての1敗は、大きすぎる。気の毒です。
ひとつのミスも許されない世の中よりも、大体のことは大目に見る寛容な世の中のほうが、みんなが幸せになれます。