「あした するよ」 ――かえるくんとがまくん―― | ことのは学舎通信 ---朝霞台の小さな国語教室から---

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考える力・伝える力を育てる国語教室 ことのは学舎 の教室から、授業の様子、日々考えたこと、感じたことなどをつづっていきます。読んで下さる保護者の方に、お子様の国語力向上の助けとなる情報をご提供できたらと思っております。

 最近、アーノルド・ローベル「かえるくんとがまくん」シリーズを読んでいます。

 国語教室の教材として使えないかと思って読み始めたのですが、教材のことを忘れて、夢中になって読んでいます。

 特にドラマチックなできごとが起こるわけでもなく、ストーリーらしいストーリーもないこの作品の魅力を説明するのは難しい。

 ほのぼのとした、子供向けの絵本でありながら、わたしの心に響くものがあります。

 

 『ふたりは きょうも』に入っている、「あした するよ」というお話。

 

 がまくんが、部屋を散らかしたままにして寝ています。ぬぎっぱなしの服も、汚れた食器も、いすのほこりも、窓拭きも、植木の水やりも、「あした するよ」と言ってほったらかし。でも、明日しなければならないことを思うとゆううつです。

 いま片付ければ明日しなくて済む、そう思ったがまくんは、ひとつづつ片付けていきます。すべて片付けたがまくんは、「あしたはね。ぼくは のんびり できるってわけさ。」と言って、ベッドに戻り、ふとんをかぶってねてしまいました。

 

 がまくんは、ぐうたらで、なまけもので、グズで、いじけていて、ダメダメなヤツです。

 読んでいていつも、しっかりしろよ!、と思ってしまいます。

そして、実はこのがまくんは、わたし自身です。

 

 がまくんも頑張って片付けたのだから、わたしも寝る前に教室の片付けと、明日の教材の準備をしておこうか。

 しかし、今日は疲れたから、「あした するよ」と言ってもう寝ることにします。がまくんよりダメダメじゃないか!

 

 「かえるくんとがまくん」が子どもに人気なわけがよくわかります。

 がまくん、のびたくん、まる子ちゃん。グズグズでダメダメな人は、見ていてホッとする。グズグズでダメダメでも、何とかやっていける気がする。

 みんながみんな、出木杉くんにはなれないよ。

 あした するよ。たまには、きょう するよ。

 

 そんながまくんを、責めもせず、導きもせず、助けもせず、見守る、かえるくんの存在も、うれしいよ。