私の知り合いに、夢で度々菩薩さまがお出ましになる方がいます。
私の夢には、たまに死神さんが出てきます。特に取り憑かれているわけでもないのですが親し気に話しかけてきます。
ありがたい神様、仏様は夢見る人間の品格によって、出てくる種類が違うのかしらと思ってしまいます。
そう考えると妙に納得できて、寂しくなります。
学生の時分に、下心を出して買った画集のお姉さんにまだ取り憑かれているから、死神さんは憑くことができないのでしょうか。
さて、夢の中でどんな話をしていたのか記憶は定かではありませんが、「すぐには死なない」と云われたような気がします。特にありがたいことだとも思いません。死神さんは私に取り憑いた霊に興味があったのかもしれません。
霊よりは死神さんの方が上位だと思うのですが・・・
私は医療系の大学に勤めていた関係で、古い人体標本を扱うことがありました。
その中に古い透明の縦長の標本ビンに入ったひとつ目の赤ちゃんが ホルマリンの中に浮いていました。目がぱっちりと開いた状態で、半地下の倉庫の裸電球に照らされて佇んでいました。
さすがに最初に見た時はショックでしたが、何度か見るうちにだんだん慣れてきました。
私は「ひとつ目ちゃん」と名付けて時折眺めていました。
ひとつ目ちゃんは大きさからして、おそらく死産で生まれたか、流産で生後すぐに亡くなったのだと思います。
お母さんやお父さんには知らされずに、ひとり標本となって長く標本倉庫で眠ってきたのでしょう。そう思うと悲しさで涙がこぼれました。
ある日、背中を向けて立っていたひとつ目ちゃんが、一時間ほど他の用事をしている間に正面を向いていてびっくりしたことがありました。
解剖の教授に聞くと、地球の自転の関係ではないかと云われて、なんとなく納得したことがあります。
そのひとつ目ちゃんも、講堂が取り壊された際に火葬処分されました。
その愛らしい姿は今も忘れることができずにいます。