山崎の「寿荘」は、二階建て12軒のいわゆる文化住宅でした。
「寿荘」は昭和50年建築で、私は54年から59年までの6年間住んでいました。
家の前に小さな畑があってその向こうに春楡の大木の林が見えて池がある、山崎の古き良き佇まいを残した風景が台所の窓から見えました。玄関のドアを開けると二畳の台所にトイレ、四畳半と六畳の和室があり狭いお風呂と一畳に満たないベランダがありました。
正月明けの土曜日に引っ越して、左隣は子連れの夫婦、右隣は若いOLらしき人でした。
入居してふた月ほどすると、夜遅くOLの部屋にサラ金関係の男が二人、取り立てに来るようになりました。大声で「いるんだろ、扉を開けろ。ご近所の迷惑になるぞ」と叫んでいます。「お前らが叫ぶから、迷惑なんだと」と思いつつ。私は自室の電気を消して木刀を片手に扉の影に潜んでいました。まだ若かったので、飛び出す覚悟はあったかと思います。
そんなことが何度かあって、いつの間にか隣人は引っ越して行きました。
(続く)