先週、政府が来年度の「税制改正大綱」を公表した。
国の税金の仕組みである「税制」は社会の変化に対応するため毎年見直されており、その税制に関する法律改正のたたき台がその「税制改正大綱」である。
いわば翌年度の国の方向性を示す発表といえるものだ。
その記事が掲載された日の新聞のトップ記事が、自民党の裏金問題による閣僚の交代の話題であった。
国の税制の方針を示すタイミングで、それを決めた政治家がお金の汚職で役職を退く話題が占めたので、大事な税制の話は全く説得力がなくなくなった気持ちになった。
今秋より導入された「インボイス制度」でより正確に税金を集めようということになって、企業等も結構な負担を強いられている中、主導してきた政治側の幹部クラスの人間が不透明な収入を得ていたならば言語道断としかいいようがない。
「羊頭狗肉(ようとうくにく)」という言葉を思い浮かべる。
店の前には羊の頭を掲げ、羊の肉を売ると見せかけて、実際には犬の肉を売っているという意味から、「外見と内実とに大きな差があること」のたとえ言葉である。
連日の報道でまさにそんなふうに思わされるばかりだ。
批判だけでなく、わが身も考えなければならない。
われわれも企業としてさまざまなアピールをする中、中身をより充実させていかないと同じような方向に向かう可能性があると認識する必要がある。
調子のいいことをいうけれど、中身の伴わない会社では話にならない。