小売り業の事故 | 寿建設 社長ブログ

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新聞記事のタイトルとリード文を読んで驚いた。

 

小売りの労災事故、建設超え

小売業で労働災害の増加が深刻だ。年間の死傷事故件数は過去20年で4割増え、建設業を上回った。主な原因は従業員の高齢化と自動化の遅れだ。建設や製造と比べ死亡や重いケガが少なく、安全への意識が不十分なことも背景にある。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC026K40S2A200C2000000/

 

以下のグラフの通り、小売り業の事故数は年々増えており、休業4日以上の事故発生件数が建設業を上回っているという。

労働災害発生状況は毎年確認しているので建設業が年々減っていることは知っていたが、小売業が増えているという認識はまったくなかった。

にわかに信じがたい数字である。

 

小売り業、つまり仕入れた商品を一般の消費者に直接販売する仕事のことであり、スーパー、コンビニエンスストア、衣料品店、ドラッグストア、家電量販店、書店・・・など、つまりは私たちが買い物をするほどんどが小売り店である。

大型重機や電動工具といった接触するとリスクのある機械が多数あり、また高所や傾斜などでの作業も多い建設業の環境と比べると、率直にどうしてそんなにも事故がと思ってしまう。

休業4日以上の事故がどこで発生するのかも想像しにくい。

 

調べてみたところ、全事故のうち「転倒」で全体の3分の1以上を占めており、全産業の2割程度よりはるかに多い。その他、「動作の反動・無理な動作」、「墜落・転落」、「切れ・こすれ」がそれぞれ1割程度づつで、「切れ・こすれ」についても全産業の5%の倍程度である。

ちょっとしたヒューマンエラーで転んだり、足を踏み外したり、手など切ってしまったり、という事故なのではと推測する。

(参考)

 

それにしても件数が多過ぎると思い、労働人口を調べてみた。最新の労働力調査(総務省統計局)によると、労働力人口は建設業が460万人、小売業は卸業と併せて1050万人とのこと。東京都における小売業と卸売業の従業者人数のデータで割合見たところ、どちらもほぼ同じ。半分とみればさほど違いはない。

(ざっくり調べた上の感覚なのでご了承下さい)

 

記事を読むと増加がとまらない原因に「高齢化」とあるが、これはどの業界でもいえることであり、特に建設業はもっと全産業以上に高齢化している

にも関わらず事故は減っているので本質的な理由だとは思えまない。

 

本文にあったこの文章が原因だと思えた。

経営者の安全意識の低さも指摘される。(略)小売りの現場で起きる事故の多くは転倒や切り傷など軽微なものが多い。(略)「製造業や建設業では経営と安全は不可欠だが、小売業にはそうした認識が比較的薄い」

 

確かに販売をする店で「安全対策をしっかり」とはなかなか思えないだろう。

「安全管理」とか「リスク対策」とか「危険予知」とか、そんな意識も持つこともあまりないようような気がする。

とはいえ建設業を超えるほどの事故数に小売り業界も危機を感じており、しっかり対応する企業も出てきているようで、コンビニのローソンなどは転倒防止に滑りにくい材質の床材を使うなど事故対策の優先の方針を出しているのだとか。

 

この記事を見て改めて感じたのは、安全管理の基本は「危ないと思うこと」だということだ。

以前毎日小学生新聞で紹介されていた、この言葉こそ重要なのだと改めて思う。