今月の初め、群馬県で施工中の水路トンネルの貫通式があった。
この工事はダムに貯まった水を発電所まで流すためのトンネルで、片側から掘り進めるのではなく最初横側から掘り始めて目的であるトンネルの中間部まで進み、そこから上流下流に向けて掘削するという施工方法であった。
つまりお互い背を向ける方向に2本のトンネルを進め、しかもその中間箇所で重機機械などが交差混在する、という、非常に難しい工事。この難工事を若い2人の社員に指揮してもらった。
難しい条件に加えてトラブルなども多く、一時期は本当に苦しく厳しい時期もあったが、現場のみなさんがその苦しみに堪え、そして前向きに、貪欲に、より安全で効率的な取り組みを行うことで乗り越えて迎えた貫通式であった。
その経緯があったからか、現場のみんなの笑顔にすがすがしさを覚えた。
今回の式典で感動したことがあった。
それはトンネル貫通式では恒例の、酒樽を神輿にのせ施工者が坑内を練り歩く「樽神輿」である。
まさに「恒例」の行事なのだが、その冒頭に今までになかった「粋な」掛け声が入り、それがとてもカッコよかった。
トンネル屋は実際の施工貫通(貫通する瞬間)がメインで、その後行われる式典はあくまで「セレモニー」として受け身に構えてしまいがちなのが正直なところだ。
とことん前向きモードのこの現場では、せっかく当社にとっての表舞台である樽神輿に「もう一工夫」喜ばせるアイデアを加えたのがこの掛け声。(前日に思いついたのだとか!)
以下その動画、ぜひ音が聞こえる環境でご覧ください。
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https://www.youtube.com/watch?v=aKQQxxdCpFc
その後式典の祝辞で、発注者の責任者の方がご挨拶されたのだが、手に挨拶文が書かれた紙を持っていたにも関わらず、それを読まずにご自身のお言葉で話をされた。
私は現場の「想い」が伝わってそうさせたと、思った。気持ちのこもった行動には、気持ちをこめて応えたくなることを知っているからだ。
コロナウイルスの影響で全員マスクという異例の貫通式であったが、現場のみなさんの気合が満ち溢れていて、まったく気にならなかった。