しばらく前のことだが、書店に入ったら不思議なカバーに包まれた文庫本が売っていた。
本のタイトルなどはすべて隠されてしまっていて、
申し訳ありません。僕はこの本をどう勧めたらいいか分かりませんでした。どうやったら「面白い」「魅力的だ」と思ってもらえるのか、思いつきませんでした。だからこうして、タイトルを隠して売ることに決めました。
から始まる手書きの文章で、いかにこの本を読んでもらいたかという熱い気持ちを綴っているのである。
思わず手に取って中を開いてみたところ、既に読んだ本であった。確かにそう思わざるを得ない内容の本だったので納得しつつ、変わった宣伝手法が印象に残っていた。
この手書きのカバーが全国的に話題になっていることをインターネットニュースで知った。
http://news.livedoor.com/article/detail/12367223/
盛岡市の書店の店員さんのあえて本のタイトルを隠して「文庫X」と称して購入意欲を引き出したアイデアが全国に広がり、既に18万部の大ヒットになっているそうだ。
また、つい先日インターネットで買った本の帯も、かなり秀逸であった。
立ち読みして下さい。
買うことになりますから。
ミステリ作家・北村薫さんの文章である。相当インパクトがある。
どちらも常識とはこと逆のことをやっているのだ。
道路の逆走は大事故を引き起こすが、発想の逆走はインパクトになるのであろう。