昭和12年の大事故 | 寿建設 社長ブログ

寿建設 社長ブログ

福島県福島市にある建設会社です。
会社や現場の取り組み、
日々の仕事や取り組みの中での
エピソードや思うことを綴ります。

ある調べものをして、図書館で昔の地元新聞データをいろいろ探していたところ、すごい事故記事を見つけた。
昭和12年10月、福島市の阿武隈川に建設する水力発電所(蓬莱発電所)の水路トンネル工事で17名が生き埋めになる落盤事故の記事である。



字が小さく保存状態も悪いのでよく読めないのだが、落盤によって坑内にいた17人がそのまま生き埋めとなり、現場にいた300人総動員の必死の救出作業で60時間後に全員が生きて戻ったということのようだ。
今なら現場をテレビカメラが何十台も追っかけるような大事故である。

直径三寸(約9センチ)の空気を送るための鋼管が坑内と坑外をつなぐ役目を果たし、この管を通じてやりとりしたり、牛乳瓶やおにぎりを送り渡したりしたようだ。

当社の創業者である祖父が、若い頃に落盤事故に遭遇して、同様の対応をしながら救助したという話を聞いたことがある。


記事の後半を読むと前の月にも落盤事故があってやはり3人が生き埋めになって2名が亡くなったということだ。当時は今ほど死亡事故で騒ぎにならなかったようで、その件に関する記事はなかった。

そのちなみに3名のうち生き残った1名の方は、次の事故の17名にも含まれており、1ヶ月で2度も落盤による生き埋めから生還した「幸運の人」と記事に書いている。

↓↓新聞記事はこちらに掲載
http://www.kotobuki-c.net/topics/forsyain/s12minpo.pdf

ちなみに施工元請は大倉組(現・大成建設)で、私の母方の祖父がこの現場で仕事をしていたはずなのだ。
この事故の話は聞いたことがなかった。
もしかして、と記事の中に名前を探したが、それはなかった。