フェールセーフ | 寿建設 社長ブログ

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福島県福島市にある建設会社です。
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「フェールセーフ」という言葉がある。
故障や操作ミス、設計上の不具合などの障害が発生することをあらかじめ想定し、起きた際の被害を最小限にとどめるような工夫をしておくという考え方のことをいう。

笹子トンネルの天井板落下事故の報道などで、よく使われていた言葉だ。

笹子トンネル事故の際、ある防災の専門家が
「問題なのは、万が一ボルトが壊れたり外れたとしても、大事故が起こらないようにワイヤーを張って落ちないようにするなど、最悪の事態を想定した措置をとっていなかったことではないでしょうか。トラブルが起こったとしても、最悪の事態を防ぐ“フェールセーフ”という考えが足りてなかったのではないかと思いますね」
というコメントを出していた。

原発事故も「100%安全」という設定ではなく、もしも何らかで爆発が起きて放射性物質が飛散したら、と「フェールセーフ」の考えで事前にもっと研究や対策方法が設定されていれば、ここまでの事態にはならなかったかもしれない。

当社現場の安全対策で、「ダブルロックKY」という取り組みをしているが、それは「フェールセーフ」に近い。
ある作業のリスクに対して安全対策を決めた後、それでも何か起きたらどうするか、という二重の発想をするのだ。




たとえば。急坂で車を止める。なんらかの原因で車が動き出してしまう可能性がある。その対策として「歯止め」をする。当社ではルール化し全車両やっている。
しかし、さらになんらかの原因で歯止めを乗り越えてさらに走り出してしまうこともありえなくはない。そうなった際に被害を最小限にする方向にタイヤ切りをしておく。というダブルのロックである。
↓↓現場の事例
http://ameblo.jp/kotobuki5430511/entry-11374128141.html


当社では、さらに「歯止めをする習慣を徹底するため、平地でも歯止めをする」というルールをしているから、三重ともいえる。

対策を講じていても、「想定外」の行動や現象で、危険が起きたらどうする?というこの発想を、持つのと持たないのでは安全管理上の大きな差が出てくるのだ。

意識を持って、ほんの小さなことでも二重の対策をすることで、命を失うことや大きなケガから救われることも十分ありえる。

参考論文「建設労働災害におけるフェールセーフ的考察」
http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00524/2002/09-0043.pdf