東京のオフィス街を歩いていたところ、ある飲食店のランチの案内看板に目に留まった。
書いてある文章は 「ランチタイムでも店内でタバコ吸えます!」
飲食店で「タバコ吸えます!」だなんて、常識から考えると客を遠のかせる文章だと思うのだが、世の中のニーズはひとつだけであるはずはなく、これだけタバコが制限される世の中だからこそ、昼時くらいは気兼ねなくタバコを吸って食事をしたい、という人もあるはずである。
これはなかなか面白い発想だと思った。
企業が戦略を考える時、どうしても世の中の主流の動きに対応しようとしまいがちだ。
「環境」が叫ばれると「環境」の取り組みを、「価格競争」が主流になると「安く」なる取り組みを、というように。しかし、禁煙ブームの裏には、喫煙者の苦しみもあってそこにニーズがあるように、世の中に主流の動きとは異なるけれど、必ず存在するニーズもあるのだ。
主流の動きは常に競争が激しい。みんながそっちに向かうので相手がたくさんいるわけだから、競い合いになる。
今は建設業の以前に比べれば仕事量も多く、人手も資材も不足しているので価格競争も以前ほどは激化していないが、いずれまたいつか叩き合いの時代が来るだろう。
しかし、このタバコの吸えるランチの店のような発想で、主流とは別の、競争のあまりないニーズに対する分野に取り組みをしておくことは、将来のために必要なことだと思っている。