酒席で、2種類の日本酒の味くらべをして美味しい方を一升瓶で頼もうということになり、店の人のお願いして2杯のお酒がテーブルに置かれた。
6人の人間が口に含みながら、「こっちが辛い!」「こっちの方が味が深い」「こっちはあっさりしている」などと味比べをしたのだ。
全員の意見で美味しい方を決め、そのお酒を運んでくれた店の人に「こっちは何ていうお酒?」と聞いたところ、「どちらも同じ〇〇〇ですよ」という答え。
私らが依頼した意味を全然理解していなくて、同じお酒を2杯持ってきたのだそうだ。
それまで一生懸命味比べをしたわれわれは、びっくり。
「いや、そんなはずがない!味が違う!」と言うのだが、店の方は「同じお酒です!」と譲らない。
そう言われてもう一度飲みくらべをすると、うむ、確かに同じ味・・・あれれ・・・。
人間の脳というのは、思い込むと判断を誤ってしまう、ということなのだろう。
目の前の2杯のお酒は「違う」種類、ということが脳にインプットされると、味を判断する舌などの機能も「違う」という判断をして誤った反応をしてしまうのだ。
6人の大人が全員そうなったのだ。
これぞヒューマンエラー。
工事の事故のほとんどはヒューマンエラーである。
人間の脳や身体は、思ってもいないエラーを起こすもので、その1つがこのような思い込みによる脳の誤作動だと思う。
この現場は安全だ、と思い込んでしまうと、目の前の大きな危険を認識しないことがありえるのだ。