セブシックOP3の思い出①~「テーマ」「第1変奏曲」 | 寝ぼけ眼のヴァイオリン 寿弾人kotobuki-hibito

 

 このブログは、個人の日記というか、記録のようなものなので、これまで記事に画像は入れてきませんでした。一番の理由は「めんどくさかった」から。

 とはいえ、これまでもヴァイオリン練習の記事を書くたびに「うわあ、言語化が大変!」とか、読み返しても「自分で読んでも読むのが大変!」という問題があったのです。

 やはり音楽について書くのに、楽譜がないと不便このうえなし!

 ということで、初の画像付き記事に挑戦。

 

 といっても、これが結構大変で、例えば、画像横に文章を入れるにはHTML(ホームページのコンピュータ言語)をいじらないといけない。

 これが地味にめんどくさい。style="float:left;margin:10px," という始まりの魔法の言葉と、

<p style="clear:both,"></p>という終わりの魔法の言葉が必要らしい。

 ただ無事、やり方は分かりました。ありがとう、ネット検索。

 

 さて、上の画像が、セブシックさんが作ったヴァイオリン教本OP3です。OPUSというのは作品番号。ヴァイオリニストでもあったセブシックさんの音楽作品というのは、ヴァイオリン奏者になるための練習曲だったわけです。

 セブシックさんのこうした作品は、ヴァイオリンを奏でる技術別に、OP1から始まってOP9くらいまであるようです。

 OP1は左指の機能訓練で、ヴァイオリンを習う人にとってはもっとも有名。プロでこれを知らなきゃもぐりです。

 

 上のOP3は、「40の変奏曲」という副題がありますが、自分の作った基本のメロディを変奏曲にしている作りなんです。

 でもこれ、よくできていて、初心者がひとつずつ変奏曲を弾けるようになることで、ありとあらゆる技術的な課題を克服できるように考えられているんです。多くの人はこのOP3は「右手の弓の技術用」といいますが、自分でやってみるとそれ以外でも学ぶところは多いんです。

 さて、これが40の変奏曲のおおもとになるテーマ(主題)です。シンプルで簡単そうな曲ですよね。

 実際、簡単です。5年前、師匠の前でこれを弾いてみせたときは「どうだ!弾けるだろ!」と言わんばかりでした。でもこれ、左上にあるように、アレグロ、速度指定が一拍132なんですよね。当時はこういうのは無視。テンポもでたらめで、伸ばし過ぎる音符があったり、短い音符があったり、そしてものすごいゆっくり弾いていただろうと思います。

 途中、左手が第一ポジションと第3ポジションのポジション移動をしますが、このへんはすでに音感とともにかなりマスターしていたので、問題なかったのですが。

 

 いまになって思うのは、ヴァイオリンってこういう簡単な曲をびしっと聴かせられるように弾くのが難しい。いまは必ずメトロノームで指定速度に合わせて練習しますが、それでもポジション移動したときの音程が狂っていないか、弓が震えないか、楽譜の強弱記号の意図する表現はできるか、など問われるところは結構あります。

 そしてこれはビブラートの練習にもいいですね。師匠に言われたのは「どの音も同じようなテンポでビブラートをかけるべし」ということ。つまり、言い換えれば、左手のどの指でも「同じリズムで」音が震える必要があるということ。非常に機能的な訓練が必要です。それから、「ビブラートは音の途中からかけるのではなく、音の頭からかける」。さらにビブラートに関しては「深いビブラート」というのがありますが、これもね、音の印象をがらっと変えるので研鑽が必要。もちろん、いまでも練習しています。

 

 そしてこちらが第1変奏曲です。

 画像は途中までしかありません。

 これもシンプルで簡単に見えますよね。独学でこの曲をやっていたら、この曲の重要性は分からなかったでしょう。

 この曲の肝は、最初の3連符にあります。Frという表示は「弓の根元で弾く」という指定です。そして音符の下の横棒は「テヌート」と呼ばれ、その音符の長さを十分に保持しろ、という指定です。簡単に言うと「べた弾き」。

 師匠がこの曲で最初に言ったのは「弓の根元5センチで弾くやつね」という言葉でした。

 これは何を意味するか?

 弓の根元で弾く行為は、もっとも弓の重さが右手にかかってきます。当然、しっかり弓を持つ必要があります。その状態で、なるべく弓を動かさずに音を出せ、ということなのです。

 何が要求されるか?手首と肘と肩をギプスをはめたように固定し、手のひらと手の指の関節だけを動かして弓を動かす、わけです。これが「指弓」という技術です。

 そう、第1変奏曲は「指弓の習得」がメインの変奏曲なのです。

 

 指弓はヴァイオリンでもっとも重要な技術と言っても過言ではないと思います。ヴァイオリンの演奏では、驚くほど速く激しく、弓の毛を弦にぶつけます。この動きには右手首や右肘が活躍します。しかしもっとも重要なのは、こうした激しい動きも含めて繊細にコントロールできるか、です。この繊細なコントロールのすべてを担っているのは、右手の手のひらと5本の指の関節です。弓をしっかり持ちながら、5本の指の関節はバネのように柔軟。これがヴァイオリンの弓の技術が難しい所以だと思います。指弓を習得するには、左手で右手首を押さえて、右手のてのひらと指だけで開放弦を弾くというのを繰り返しました。

 3連符の後の、3つの8分音符はスタッカートですから、指弓ではなく、手首を回転させて弦に弓の毛をぶつけるように弾きます。この切り替えなども、セブシックさんは本当、学習効果を高めるつくりを明らかに狙っていますよね。

 ※実はこの8分音符、よく見れば記号はスタッカートではなく、「楔」(三角形)だったりするのですが、この曲の主な狙いは指弓なので、そこには目をつぶってもいいのです。

 この曲の指弓習得には結構、時間がかかったような気がする。

 ただ、これはちょろいレベルの指弓で、レベルが上がると、この程度で戸惑っていてはどうにもならない。

 まあ、指弓の入門編、といったところでしょうか。

 

 それにしても画像があると、記したいことがスムーズに記すことができる。

 気が向いたら、次は第2変奏曲です。