次の町までは190キロ。
キャラバンパークまでは70キロ。
もう少し走って、ブッシュキャンプにしようか迷うところだったけど、キャラバンパークでゆっくり
休養して翌日120キロ走ろうと決意。
この頃には70キロはあっという間に走れる距離になってました。初日なんてこれで結構な距離って
思ってたのに・・・(笑)
ユークラのキャラバンパークでは、マークやニコルのような車で旅をする人たちがたくさん泊まって
いたこともあって、夜通し騒いでる人たちで、さっぱり眠れなかった。
慣れてきたときこそ危ないと思い、集中力を切らさないように気を付けて走った。
でもそういうときに限って予期せぬことが起こるもんで、チャリ旅その5でかいたように
ロードトレインに巻き込まれそうになったりする。
そのときはただ驚いただけだったけど、あとになって恐怖がやってくる。
気を引き締めて走ろう。寝不足だけは避けよう。
そう思って、早めに就寝した。夜の8時(笑)
しばらくして目が覚めた。雨のせい。そして風のせい。
テントが大きく揺れるほどの風。頭の方向を考えてみると、厄介なことにこの風は向かい風・・・。
明日はこの風の中を走るのか?
だったとしたら、もう少し今日のうちに距離を稼いでブッシュキャンプでもすればよかったかな・・・。
ちょうど旅の中間地点。いろいろと考える時間もでてきた。ただ前へ前へ走るだけでいっぱいいっぱい
だった最初に比べ、時間と共に不安もでてくる。今までが順風満帆だったから余計に。
ユークラのキャラバンパークのオーナーは、命を落とした日本人の男の子の話をしてくれた。
それからレイルウェイを走ってる日本人の話もしてくれた。
彼らに比べれば自分はぜんぜんチャリダーのチャの字も語れないひよっこ(^^)
でもオーナーは言ってくれた。
「キミは強い女の子だ」と。お・・・、女の子。「子」ですよ! いや、反応するところが間違ってるか(笑)
強いですか? そんなことないですよ。ただちょっと変わってるだけで。
だって、今まさに台風のような暴風雨でテントが飛ばされそうになってて、雨でテントがぬかるんで
こないか不安だらけで、どうしようどうしようってひとりで怖さと闘ってるんですよ。
私は強いのね? そうなのね? 信じるよ、その言葉。
テントが流されたときはシャワー室で寝ればいいや。ほんとは強くないけど、そんなふうに強がって
みて、なんとか一夜を明かした。
後日聞いた話では、この日、隣の町でサンダーストームが発生し、道路が冠水し、走れなくなっていた。
私より先にセデューナを出発したイギリス人のチャリダーさんは、テントを流されてしまったそうだ。
ゆっくりゆっくり時間をかけて走っていたおかげで、嵐に遭わずにすんだのはラッキーだったのか・・・。
それは自分でもわからないし、過ぎてしまったことを考えてもどうしようもないけれど、
テントを流されてしまったと笑える余裕が羨ましかった。私にはそんな余裕なんてない。
大きく違うのは、あきらかに、経験の差。
もしこのチャリ旅が初めてではなかったら、嵐の晩も、少しは余裕でやり過ごせたのかな・・・。
朝、テントから見上げた空は、これから走ろうとしている私にとって、恐ろしく暗い、暗雲の立ち込めた
希望のかけらも見えない空だった。
進むべきか、天気の回復を待つか、決断を迫られた。
とにかく進もう。そう決意して、少し先のガソリンスタンドまで行き、これからの天気を聞いてみることにした。
最悪だった。おまけに道路はクローズしていて走れるかどうだか。
「その自転車じゃまず無理だよ」
その言葉はできれば聞きたくなかった。自分でもわかってた。このガソリンスタンドにくるまでだって、
強烈な向かい風のなか、時速8キロくらいしか出なくて、次の町まで120キロはある。ブッシュ確定。
ただそのブッシュも、この風雨のなか、テントが張れるのかどうかも怪しい。
どうしたらいいんだろう・・・。
この先チャリ旅は続けられるんだろうか。
とりあえず、昨夜までの走行距離:70キロ。トータル614.06キロ。