【アーティスト考察】syam | 超個人的音楽のススメ。

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syam(シャム)
3月19日生まれ左利き。
2011.8.17自身初のミニアルバム「syam」をリリース。収録曲
「手の平のキミと僕」はテレビ東京ゴールデン番組のEDタイアップに抜擢され、同曲がUSENイン
ディーズチャート3位を獲得する。1人で過ごす幼少期から、歌を唄い、絵を描き遊んだ事により
彼女が描く独特の歌世界を築き上げた。sg「みっつのココロのえぐりかた」を2013.8.7にリリー
ス、リード曲「フォリ・ア・ドゥ」のMusicVideoでは、禁断の愛を表現した衝撃作を自らの手
(監督・制作・主演)で創り上げる。2014.6.18、VAPよりリリースされた「ガールズトーク
V.A」に「君の中で死んだ僕の憂鬱」が収録される。
お遊戯の時間は、もうおしまい。
(公式プロフィールより)


とりあえず細かい事は、それこそプロフィールすらも置いておくとして
一度この『フォ・リア・ドゥ』を聴いて頂いたい。

私は一聴して、心を奪われた。
否、ぶっ飛ばされたのだ、その衝撃に。

裸だ、と思った。
無防備なのではない、隙だらけなのではない、一切の防御を捨て去っているといった意味では
無防備という表現が近しいのかもしれないが、裸、裸の感情、裸の歌声、
自分の底の底にある心の一番ヒリヒリした部分、それを知られる事に何の躊躇も無い。
彼女の歌は、歌声は何の躊躇いもなく裸のままで聴き手の前に立ってみせる。

だからこそ衝撃を受けたのかもしれない、その倫理観の違いに。
そしてこの歌声は、いとも簡単に私の心の一番触られたくない部分に触ってみせた。

と、ここまで難い言葉でツラツラと書いてみたものの、しかしながらこの感覚は既に言葉では
説明しづらいもので、私は彼女の歌声を聴いたそれぞれの主観に任せる事しか出来ない。


ただ最大の語弊と、最高の賛辞を込めて言及するが、響く人にしか響かない音楽だな、と思う。
苦しいと言えない人の苦しみに寄り添い、人知れず涙を流す人に手を差し伸べ、
救いを求める人だけを救う、そんな聴く人を選ぶならぬ、救う人を選ぶ音楽だ。

しかし私はそれでいいと思う、それがいいと思う。
何万人を感動させる音楽は確かに素晴らしいだろう、音楽とは、エンターテイメントはそういうものだ。
しかしその陰で、独りきりで生に打ちひしがれた誰かがまさに手首に当てんとするカッターナイフを置かせる。
それはそれで数万人のそれと等しく奇跡なのだと思う。

MVに漂う自滅的な空気感や、極めて内相的な歌詞、そして少女性を内包した歌声、
とこうして言葉にしてみると「あーはいはいはい、そういう系ね」と早合点するコアなリスナーも
多い事だあろうと思う。その判断は至極正しい、ただ、そういう人にこそ聴いて欲しい。