海外で出ると、思わぬ日本の姿を見せつけられる。
それは時に、
「違うんだけど、でも実際“そう”だからなぁ…恥ずかしい…」
と弁解の余地がないまま、自分のことではないのに恥ずかしい思いをさせられるなんていうことも。
オーストラリアのハイスクール。
今回は高校2年生(くらい)の日本語クラスのお手伝いをしていたときのこと。
先日短期留学をしたときの体験を書いたという日本語の作文添削中、おかしな一文に目が止まった。
『日本では、授業中に寝ていいです。』
いや、良くない…
寝ている生徒がいるという事実は別にして、
私たちは「授業中は寝てもいい」なんて許可されているわけではない。
なのでこう、あまりにも堂々と作文上で断言されてしまうと、ひとこと物申したくなる。
というわけで、当然私は物申した。
「授業中に寝ちゃダメだけど…」
しかし相手は手強かった。
何といっても、生徒達は実際にその体験をしているわけだから。
「でも(生徒は)そういう経験をしましたよ」
しかも先生は注意しなかったらしい。
う…
返す言葉がなくなってしまった私。
確かに日本の高校生は授業中に寝る(子もいる)。
それを先生は注意しない(場合がある。学校や先生によるけれど)。
ちなみに授業中におしゃべりしてても注意されずに放置される(こともある)。
これらはすべて、基本的には“ダメ”なことだ。
でも、実際はそれが黙認されているケースが多々ある。
そして彼らは、そんな黙認校に短期留学し、そういう経験をしてきてしまったわけだ。
うーん…
ナニモ言エマセン…
「本当はダメなんだけどね…」なんて私が1人で言い訳しても、彼らのしてきた体験が事実。
そして「本当にダメ」なら、何故するのか。
何故教師はさせるのか。
そんな論議になってしまう。
そして「授業中に寝るの推奨派」ではない私がいくら説明をしたところで
相手にとって私の言葉は「そんな彼らを擁護している」ものになってしまう。
というわけで、私は早々に納得してもらうための説得を諦めた。
ひとこと「本当はダメなんだけど…」という言葉を残して。