日本人の歌 | ことばの魔法 ことばのチカラ~ことば探検家ひろが見つけたコトバと人間

ことばの魔法 ことばのチカラ~ことば探検家ひろが見つけたコトバと人間

ことばに宿る、不思議なチカラ。
人間の言語習得やコミュニケーション能力の奥深さはまだ解明されていないけれど、とんでもなくおもしろい。
気づいたら私のコトバ探検は本格化されていた。

いつの間にか、自分自身に染み込んでいる“日本人らしさ”がある。

それは普段は意識していないのだけれど
外と関わったときに、初めて気づく。


 ああ、私、日本人なんだなぁ…


ある時、インドネシアのDさんが教えてくれた。
インドネシアで大人気の日本の歌があるという。

「タイトル何だっけ?」と言いながら彼女が持っていた音源を聴く。


全然知らない曲。

でも、そのメロディは間違いなく日本の曲だった。


 Dさん 「知ってる?」

  私  「ううん。初めて聴いた」

 Dさん 「あら?日本の曲じゃない?」

  私  「ううん。日本の曲だと思うよ」

 Dさん 「でもひろは知らないんでしょ?」

  私  「うん、知らない。でもこのメロディは間違いなく日本のものよ」


おそらく日本全国どこで暮らす日本人が聴いても
あの曲は『日本の曲』だと断言したと思う。

ただ、あの曲を知っている日本人がどれだけいるのかというと
さっぱりわからないけれど。

…いるのかな?


「日本らしい曲を歌って」と言われても、なかなか咄嗟には出てこない。

子どもの頃から知っているから日本の歌だと思っていたら
実は海外の曲に日本の歌詞をつけて歌われているものだった…
なんていうこともあるくらいだ。

でも、曲を聴いたときに「これは日本のメロディライン!」と感じるものはある。

その存在は、その事実を突きつけられたときに初めて気づく。


“全然知らない。でも間違いなく日本の曲”


あの感覚、すごく不思議。

でもすごくおもしろい。

日本人なんだなぁというあの感覚。
体で感じたとき、私は幸せに満たされた。