10年ほど前、ワーキングホリデーで渡豪。
9ヵ月半ほどオーストラリアで過ごしていた。
住居形態は基本、ホームステイ。
“ネイティブと過ごしたかったから”と“英語の中にいたかったから”
というのが大きな理由だったけれど、さすが移民の国!
ネイティブオーストラリアンの家庭と出会うことの方が稀だった(笑)
もちろん共通言語は英語だけれど。
おかげで
レバノンから移住してきた両親とオーストラリアで育った子どもたち、とか
南アフリカから移住してきた親とオーストラリアで育った子ども、とか
オーストラリア人の奥さんとペルーから移住してきただんなさんの家庭、とか
いろいろな人たちと過ごすことができた。
そして、いろいろな言語訛りの英語と触れ合うことができた。
日本だと、よく『イギリス英語』『アメリカ英語』なんて言われる。
そして『オーストラリアの英語は訛っている』と。
確かに、イギリスやアメリカの英語を基準にすればそう言えるのかもしれない。
「a boy」は「エイ ボーイ」だし、「Good day!」は「グダーイ!」だしね。
でもまぁ、それはそれ。
訛りと言われようが何だろうが、彼らの言葉だ。
移民がたくさんということは、そんなネイティブの訛りよりももっと
『○○語ちっくに訛っている英語』が溢れているということ。
例えばカンタンに言うと、日本人の英語が――特に発音や話し方が――
“日本語っぽい英語”だということ。
イメージできるかしら?
おかげで英語が第一言語ではない人たちと英語で話すときの耳が育っていた…
と気づいたのは、帰国後5年ほど経ってからだった。
オーストラリアの場合、家族の中でもそれが起こる。
親が移民で子どもがオーストラリアで育っている場合。
(このパターンは実に多いのだけれど)
この場合、子どもの英語は完全にオージーの英語だ。
親が英語で苦労していても、子どもはそれが第一言語。
でも親と話すときは親の母国語。
…なんていうことは日常に溢れている。
私がおもしろいなぁと思ったのは、私のホストシスターKが言ったひとこと。
ちなみに彼女の親(私のホストマザー)は南アフリカからの移民。
南アフリカも英語圏なので、彼女の母国語は英語だ。
南アフリカの英語。
これは私にとって、とてもキレイに聞こえる聞きやすいものだった。
そしてホストシスターはオーストラリアで育っている。
でもそんなにオーストラリア訛りは強くない。
どうしてかな?
親がサウスアフリカンだからかな?
そう思ったけれど、どうやら違う。
他にも、生粋のオージーだけど
私にとって聞き取りやすいキレイな英語を話す兄妹を私は知っていたから。
彼らの英語にも、きついオージー訛りは全然ない。
でも彼らのお父さんの訛りはすごくて、私とは全然会話が成立しなかった。
何だろう?
環境かな??
さて、そのホストファミリーの親戚に、
ご主人がイギリス系の方という夫婦がいらした。
彼らのことを話していたとき、Kが言った。
「彼の英語って変だよね。そう思わない?」
へーーーっ!!
もちろん、私はそう思わなかった!
たぶんあれは、彼女が英語ネイティブだからこそ感じること。
話し方、発音、音の響き…
私が北海道に来て、標準語を話していると思っている北海道人の
北海道ならではのイントネーションに感じる感覚と同じようなもの。
おもしろいな~
『オーストラリアの英語は訛っている』
その言葉は、オーストラリアを外から見た人から出る言葉だ。
中にいれば、それが彼らの言葉。
それが標準。
だから“イギリス訛り”の英語が『変』となる。
おもしろい!
訛りだらけ。
すべてが訛っている。
すべてが訛っているということはもう、「訛りって何?」という話だ。
言われてみれば日本語だってそうよね。
今の標準語は、「これを標準語にしましょう」ってあとから決めたものだもの。
おもしろい!